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25-May-2017

MOOC: 環境問題、シックハウス原因物質について

講義資料 非常勤講師:山本博志  2012.1.12

2012.1.3

日本の化学産業の強みは、高度成長期にさんざっぱら公害問題をやらかし、環境問題をないがしろにすれば結局は高くつくと身にしみて分かっていることだと思う。こうした環境関連技術は海外に打って出るための大事な強みで、きちんと理解しておこう。

厚生労働省の医薬食品局が出した、室内濃度指針値がある。

こうした化合物はシックハウスの原因物質として室内濃度が規制される。幾つかの化合物についてはなじみが無いだろう。それはこんな構造だ。

クロルピリホス

防シロアリ剤

ダイアジノン

ハエ、蚊、ゴキブリ防虫剤

フェノブカルブ

防蟻剤

 

蒸気圧:

アルデヒド類は合板用接着剤、芳香族の溶媒は塗料の溶媒、スチレンは断熱材、フタル酸類はプラスティックの可塑剤に使われる。これらの室内濃度が規定されているが、それでは25℃での蒸気圧はどれだけか、どうすれば分かるだろうか?一般的な溶媒などはアントワン定数が分かっており、それから蒸気圧が計算できる。アントワン定数の文献値が無い場合にはどうしたらいいだろうか?

課題
上記化合物についてYMBを使って物性推算を行いなさい。その際に実験値の沸点があるものは実験値を使い、実験値の無いものは推算値を使いアントワン定数を求め、25℃での蒸気圧を求め、下のテーブルを埋めよ。

厚生労働省による濃度指針値のある物質

BP

VP@25(mmHg)

VP-YMB(mmHg)

アセトアルデヒド

294

899.91

 

トルエン

383.78

28.40

 

キシレン

417.58

6.64

 

エチルベンゼン

409.35

9.48

 

スチレン

418.31

6.18

 

パラジクロロベンゼン

447.21

1.79

 

クロルピリホス

320F (Decomposes)

 

テトラデカン

526.727

0.010046424

 

フタル酸ジ-n-ブチル

613.15

8.40304E-07

 

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル

657.15

 

ダイアジノン

 

フェノブカルブ

 

 

 

文献値Antoineから

YMB-Antoineから

結果をプロットすると以下のようになる。

特に沸点の高い化合物は25℃での蒸気圧は非常に小さくなる。それにしては、YMBで求めたAntoine定数は文献値のものと比較して非常に精度高く蒸気圧を再現できていることが分かると思う。 PirikaのAntoine定数推算技術に関してはこちらを参照していただきたい。蒸気圧自体はPirikaのこちらの記事を参照の事

吸着:

シックハウス症候群(新築、改装の家で、アルデヒドなどの為に頭痛、吐き気などの症状が現れること)が出た場合に、誠意の無い業者は屋根裏、床下に活性炭の袋を積み上げ対策したと言いはり、トラブルになるケースがある。

課題
こちらの記事を参照し、シックハウス原因物質の活性炭吸着予測量を算出し、下のテーブルを埋めなさい。

厚生労働省による濃度指針値のある物質

Sqrt(SA)

Hansen totHSP

予想吸着量

アセトアルデヒド

8.73

21.7

 

トルエン

11.52

19.5

 

キシレン

12.28

19.2

 

エチルベンゼン

12.35

18.4

 

スチレン

12.02

18.1

 

パラジクロロベンゼン

11.99

20.8

 

クロルピリホス

17.59

19.4

 

テトラデカン

18.24

16.1

 

フタル酸ジ-n-ブチル

18.48

19.2

 

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル

22.33

18.1

 

ダイアジノン

18.36

19.5

 

フェノブカルブ

16.05

22.8

 

シックハウスの原因物質が活性炭で吸着除去できるかどうか判断しなさい。

対応するブラウザーを使い、上のキャンバスに分子を描けばどのくらいの吸着量かを得る事ができる。詳しい分子の描き方などはPower ToolsのSmilesを参照して頂きたい。 このように、一旦モデル式が作成できれば容易に新しい溶媒を使った時の吸着量を推算できる。Web版は制限があるが、それはハンディだ。同じ機能のソフトを使ったら学生に勝ち目は無い。学生はダウンロード・バージョンを使ってテーブルを埋めるように。色々な溶媒の吸着量を計算してみて欲しい。トップデータの吸着量を見つけた学生にはAを上げよう。社会に出てからも、こうしたサイクルをまわせば他所(先輩)に負けない研究ができるだろう。しかし、コンピュータだけに頼らず”何故”を考えるのは非常に重要だ。

吸収:

化学系の実験設備では除外塔を使い、酸性物質、塩基性物質、水溶性物質を除去することは普通に行われている。家庭内で吸収塔を建てるのは不可能であるが、例えば金魚のブクブクを使って部屋の中の空気中のシックハウス原因物質を水に吸収させることを考える。

ヘンリー定数(Wiki)は、気体の溶解度は圧力に比例するという法則で、その比例定数をヘンリー定数と呼ぶ。

p = KHχ

溶質の蒸気圧をp、モル分率をχとすると、KHは比例定数になる。この値が小さいものは、一定濃度水に溶かしたときの蒸気圧が小さい、つまり水に吸収されやすいことを示す。(ヘンリー定数のPirikaの記事はこちらを参照)

課題:YMBでは標準出力に水に対するヘンリー定数の推算結果が入っているので、下のテーブルを埋めてみよう。

厚生労働省による濃度指針値のある物質

ヘンリー定数文献値

YMB

ホルムアルデヒド

7.6622E-07

 

アセトアルデヒド

0.000096174

 

トルエン

0.0063522

 

キシレン

0.0041895

 

エチルベンゼン

0.0081413

 

スチレン

0.0026021

 

パラジクロロベンゼン

 

クロルピリホス

 

テトラデカン

1.3705

 

フタル酸ジ-n-ブチル

3.6957E-07

 

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル

 

ダイアジノン

 

フェノブカルブ

 

 

結果をプロットすると以下のようになる。

構造のみからヘンリー定数が良好に推算できていることが確認できる。

 

大気寿命:

吸着、吸収などの操作を行っても除去できなかった化学物質は大気へと放出される。そして大気中に豊富に存在する水酸基ラジカル(OHラジカル)に水素を引き抜かれ分解する。そこで分子中に水素を持たないフロン化合物はOHラジカルで分解されず、成層圏まで到達しオゾン分解した。(逆に言えばオゾン層を壊し、大問題になった。)

このOHラジカルとの反応速度と大気寿命をプロットすると非常にきれいな相関関係があることが上の図のように示される。従ってOHラジカルとの反応速度が分かれば大気寿命が予測できることになる。

課題
VOC化合物のOHラジカルとの反応速度のテーブルを所定の場所からダウンロードし、化合物をYMBを使って計算しよう。そしてVSMRを使ってモデル式を構築し、シックハウス原因物質の大気寿命を予測しよう。

このモデルでは化合物のHOMOが重要になる。ラジカルがHOMOにアタックするためだろう。しかし、HOMOが引き抜かれる水素のところにあるとは限らず、モデル式の精度はあまり高くならない。目安程度の利用となる。

 

生物濃縮性:

大気中では、雨によって化学物質は湖、海に流れ込む。特に非水溶性の高い化合物は生物中の脂肪などに濃縮され、食物連鎖によって人間にも影響を与える。

課題
VOC化合物の生物濃縮性のテーブルを所定の場所からダウンロードし、化合物をYMBを使って計算しよう。そっしてVSMRを使ってモデル式を構築し、シックハウス原因物質の生物濃縮性を予測しよう。(化合物は大気寿命のものとかぶるので、同じものは計算を省略できる。)

この生物濃縮性を求めるモデル式で一番重要なファクターは何であったか?

これで、家庭内で取り扱う化学物質のアセスメントの基礎ができあがった。それでは実際に設計を行ってみよう。

実務例、その1

家庭内で使われる化学物質として、マニュキュアの除光液を取り上げよう。マニュキュアとは、工業用などのラッカー塗料とほぼ同様で、アクリルやニトロセルロースなどの合成樹脂を着色し有機溶剤に溶いたものである。有機溶剤としてはアセトンなどが用いられるが、アセトンは使いすぎると爪を黄変させたり、引火性なので取り扱いに注意が必要だ。アセトンはシックハウス原因物質とはされていないが、化学産業の現場では、HAP(Hazardous Air Pollutant、有害大気汚染物質)と認定され厳しく使用が制限されている。このアセトンの代替溶媒を設計してみよう。

代表的なマニュキュア液と除光液を調べてみると次のような代物であることがわかる。
マニュキュア液:ニトロセルロース(10-20%)トルエン(10-35%)、酢酸エチル(10-20%)、酢酸ブチル(0-40%)、アセトン、エタノール
マニュキュアの除光液:アセトン(60-90%)、酢酸エステル(0-60%)

これらのうち、
アセトン:小児の経口中毒量2-3ml/kg、ラット、LD50:9750mg/kg
トルエン:ヒト経口最小致死量 50mg/kg、ラット、LD50:636mg/kg
は毒性も高く、家庭内に漂ってほしくない溶媒だろう。

ネットなどで検索すると、最近、ノン・アセトンタイプの除光液と大々的に宣伝しているものがある。その除光液の組成を調べてみると、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロパノール、水の混合液とある。ノン・アセトンで、MEKというケトン化合物を使うか!? しかも、MEKはラット経口のLD50=2737mg/Kgとアセトンの9750mg/kgより小さい、つまり急性毒性が高い。こうした溶媒の代替を探す場合、毒性の少ない溶媒を探しても意味が無い。まずマニュキュアの光り輝いている部分、つまり、ニトロセルロースを溶解する溶媒でかつ毒性の少ない溶媒を探さなくてはならない。ではどのような溶媒を探せばニトロセルロースをよく溶解するのだろうか?

同じ量ポリマーを溶解したときに、溶け方によって変わる物性は何だろう?

ある溶媒にある分子量のポリマーを溶かし、その濃度を数点ふり粘度を測定しプロットする。濃度が0の所に外挿した点を固有粘度と呼ぶ。(固有粘度の推算に関してはPirikaの資料を参照のこと)

ηrel=η/η0 ηrel:相対粘度,η:溶液粘度,η0:溶媒粘度
ηsp=ηrel-1 ηsp:比粘度
ηsp/c=A*c+[η] [η]:固有粘度(極限粘度) , c:濃度,A:定数

この分子量に対する[η]:固有粘度の関係をMark–Houwink 式で整理する。
[η]=K・Mα
[η]:固有粘度、M:ポリマー分子量、k,α:系特有の定数

多くの場合、αの値は0.5<α<1.0の範囲に入り、 α=0.5で貧溶媒 α=1.0で良溶媒となる。

そこで、溶媒の種類によるαの値が溶媒の構造から推算できれば、溶媒が良溶媒か貧溶媒か見当がつく。ニトロセルロース場合このMark–Houwink 式のパラメータはポリマーハンドブックに記載がある。

課題:ポリマーハンドブックを調べ、下のテーブルを埋めてみよう。そしてαとKの関係をプロットしてみよう。

Solvent

tempK

MW*10000

α

K

Acetone

298

26

 

 

Butyl formate

298

26

 

 

Cyclohexanone

298

22

 

 

Ethyl acetate

298

26

 

 

Ethyl butyrate

298

50

 

 

Ethyl formate

298

26

 

 

Ethyl lactate

298

65

 

 

2-Heptanone

298

26

 

 

Methyl acetate

298

22

 

 

Nitrobenzene

298

22

 

 

Pentyl acetate

298

26

 

 

αとKの間には下図のような関係があるので、どちらか一方が推算できればよいことが分かる。

次に、YMBを使い溶媒の物性値を計算して、αを予測するモデル式を構築しよう。
モデル式=A*Hansen dD +B*Hansen dP +C*Hansen dH +D*log(Viscosity)+E
のA-Eまでの係数を決定する。

αはハンセンの溶解度パラメータ、dD, dP, dHとlog(粘度)で表現できることがわかる。粘度の推算に関してはPirikaのこちらの記事を参照の事

Solvent

α予測値

 

Solvent

α予測値

エタノール

0.603

 

セロソルブアセテート

0.922

MEK

0.823

メトキシブタノール

0.955

炭酸プロピレン

1.096

ブチルセロソルブ

0.871

リモネン

1.078

メチルメトキシブタノール

0.948

イソプロパノール

0.709

 

乳酸メチル

0.885

ノンアセトンの除光液に記載されている溶媒の他、いくつかの、いわゆるグリーン・ソルベントのα値を予測してみた。(グリーンソルベントに関しては2012年講義資料を参照するように) この中で非常に興味深いのは乳酸メチルだ。これは、バター、エーテル香の合成香料でラット経口のLD50=5000mg/Kgと食べても安全、生分解性も高く、魚毒性も低い。引火点は49.4℃で危険物第4類・第2石油類になる。アセトンは引火点-17℃で第1石油類なので、それと比べれば遥かに使いやすい。と喜んでいたら、特開2000-119142という特許が既に乳酸エチル、メチルを押さえていた。しかし考え方は間違っていないことが立証された。特許に無いような溶媒、混合溶媒を設計してみてほしい。

対応するブラウザーを使い、上のキャンバスに分子を描けばどのくらいの溶解度かを得る事ができる。
このように、一旦モデル式が作成できれば容易に新しい溶媒を使った時の溶解度を推算できる。それをバッチで走らせて一番いいものを探すなども簡単にできてしまう。Web版は制限があるが、それはハンディだ。同じ機能のソフトを使ったら学生に勝ち目は無い。学生はダウンロード・バージョンを使ってテーブルを埋めるように。色々な溶媒の溶解度を計算してみて欲しい。トップデータの溶解度を見つけた学生にはAを上げよう。社会に出てからも、こうしたサイクルをまわせば他所(先輩)に負けない研究ができるだろう。しかし、コンピュータだけに頼らず”何故”を考えるのは非常に重要だ。

最近、新聞で報道されている、ジクロロメタン、ジクロロプロパンのαの予測値を求めてみよう。(2012年グリーンソルベントの講義資料を参照するように)

 

実務例、その2

家庭内の化学物質として、2番目にはインクジェット・プリンター用のインキを例題にあげよう。今ではそんなことは無いだろうが、昔のインクジェット・プリンターのインクには、キシレン、トルエンなどが溶媒として使われたいたと思う。従って年賀状印刷の季節、部屋の中には有機溶剤が充満することになる。このインク、現在ではどんなものが使われているのかを、MSDS(Material Saftey Data Sheet:化学物質安全性データシート, 社会人になってMSDSって知りませんってことの無いように必ず覚えておくこと!)を入手してみた。

すると、C社製のインクのMSDSは上記のようになっている。グリコール類と書いて営業秘密として詳しい構造を明かさない以上、毒性のあるものであるはずが無い。(もし毒性のある溶媒をつかいながら、内容を明かさないのであれば製造物責任法、PL法違反が問われるるだろう。)グリセリン(ラット、経口LD50=12600mg/Kg)、イソプロピルアルコール(ラット、経口LD50=5045mg/Kg)なので急性毒性上は問題ないだろう。そこで特許を調べ、C社のインクの特徴を調べると、インクに酢酸セルロースを溶解しておき、溶媒が紙に移行すると酢酸セルロースが皮膜を作り、これが耐水性皮膜になるというのがポイントらしい。このインクの特許は実はインクメーカーの特許で、溶媒の種類によってはインクジェットのノズルが詰まってしまうことをクレームにあげている。それでは、ノズルの詰まらない、安全で耐水性の高い印刷を与えるインクを設計してみよう。(インクジェット技術に関しては2012年講義資料を参照のこと)

まず、最初に大事なのは、マニュキュアのときと同様に、ポリマーは鎖がのびて溶解している必要がある。左のようにくしゃくしゃして溶けていると、溶媒が蒸発して乾燥したときにポリマー鎖同士が絡み合わず、きれいな膜ができない。従ってポリマーがニトロセルロースから酢酸セルロースにかわっただけで、必要なのは、Mark–Houwink 式のαが大きな溶媒を探索することだ。

2013.8.5 Eastman社のカタログからセルロース誘導体の溶媒設計を行う方法を解説した。

酢酸セルロースのKとαの値もポリマーハンドブックに記載されているので下のテーブルを埋めよう。

Solvents

K

α

Acetone

 

 

Chloroform

 

 

o-Cresol

 

 

Dichloromethane

 

 

Dimethylacetamide

 

 

Dimethyl sulfoxide

 

 

Tetrachloroethane

 

 

Tetrahydrofuran

 

 

Trifluoroacetic acid

 

 

そして、上記溶媒をYMBで計算してVSMRのデータセットを準備する。そしてマニュキュアのときと同じく、
モデル式=A*Hansen dD +B*Hansen dP +C*Hansen dH +D*log(Viscosity)+E
αは同じくハンセンの溶解度パラメータ、dD, dP, dHとlog(粘度)で表現できることがわかる。(当然、A-Eの係数は異なる)粘度に関してはPirikaのこちらのページを参照の事。

対応するブラウザーを使い、上のキャンバスに分子を描けばどのくらいの溶解度かを得る事ができる。
このように、一旦モデル式が作成できれば容易に新しい溶媒を使った時の溶解度を推算できる。それをバッチで走らせて一番いいものを探すなども簡単にできてしまう。Web版は制限があるが、それはハンディだ。同じ機能のソフトを使ったら学生に勝ち目は無い。学生はダウンロード・バージョンを使ってテーブルを埋めるように。色々な溶媒の溶解度を計算してみて欲しい。トップデータの溶解度を見つけた学生にはAを上げよう。社会に出てからも、こうしたサイクルをまわせば他所(先輩)に負けない研究ができるだろう。しかし、コンピュータだけに頼らず”何故”を考えるのは非常に重要だ。

このモデル式が得られれば、後はグリーンソルベントのテーブルにある溶媒のα値を片っ端から計算し、αの大きいものを選択すれば良い。ちなみにグリコール類だけを抜き出してみると以下のような結果になった。少し疎水的なフェニルエーテルを持った構造がαを大きくしている。他の成分、グリセリンやIPAは完全水溶性なのでうまく混じるかがちょっと懸念材料だ。片方の水酸基をアセテート化せずに残したプロピレングリコールフェニルエーテルあたりが良いかもしれない。

Green Solvent

α

プロピレングリコールメチルエーテルアセテート

0.765

ジプロピレングリコールジメチルエーテル

0.802

1,3-ブチレングリコールジアセテート

0.842

プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート

0.907

エチレングリコールエチルエーテルアセテート

0.756

プロピレングリコール-n-プロピルエーテルアセテート

0.803

プ ロピレングリコールフェニルエーテル

0.927

プロ ピレングリコールジアセテート

0.821

diethylene glycol ethyl ether acetate

0.789

Diethylene Glycol Butyl Ether Acetate

0.816

ethylene glycol diacetate

0.813

Ethylene Glycol Monomethyl Ether Acetate

0.754

グリコールにこだわらなければ、

benzyl lactate のαの予測値は1.02になり、酢酸セルロースは完全に広がった状態になることが予想される。この化合物も香料で、floral fatty butter fruityな匂いとされる。引火点は117℃で危険物第4類、第3石油類なので取り扱いはかなり楽だ。毒性のデータは無いが、加水分解物のベンジルアルコールも乳酸も安全な化合物であるので安全性は高いであろう。このように乳酸エステル類は生物由来のことが多いため、高沸点溶媒としては魅力的な溶媒だ。特許も自分が見たところでは出ていないようだ。

さらに、インクジェットのインクに使うには、インクの液滴の大きさを決めるであろう、表面張力粘度、乾燥時間の指標になる、RER(酢酸ブチルを100としたときの相対揮発度)などが重要になってくる。

グリーンソルベント類のRERを沸点に対してプロットすると以下のようなる。

低沸点のものは、蒸発する際に蒸発潜熱を奪い(蒸発潜熱に関してはPirikaのこちらのページを参照の事)、基材の温度が低下する分、揮発度が減るなどの効果が混じるため精度は低いが、高沸点溶媒では沸点がわかればおおよそのRERの値は沸点から予測することができる。

表面張力と粘度についてはYMBの中に推算する機能がついている。これをグリーンソルベントのテーブルにある化合物に適用した所以下のようになった。

精度は低そうに見えるが、構造だけからここまで推算できる方法は他には無いと自負している。表面張力の推算法のまとめはこちらの記事粘度の推算法のまとめについてはこちらの記事を参照していただきたい。

インクジェットに関する他の技術は2012年講義資料を参照

グリーンソルベントの作り方はこちらの資料を参照の事

アルデヒド類のHPLC分析はこちらを参照の事。

 

 

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