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25-May-2017

MOOC: こだわりのポリマー

講義資料 非常勤講師:山本博志  2012.1.12

2012年1月6日(赤文字の会社名は横浜国大の卒業生がいる会社を表す)

ポリフッ化ビニリデン(ポリビニリデンフルオライド)はリチウム電池の負極剤のバインダー樹脂として用いられている。
日立化成のテクニカルレポート (No. 45)
http://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/report/045/45_r1.pdf

この樹脂がLiBの溶媒、EC:DMC:DEC=1:1:1に膨潤して性能が低下してしまうと言う問題がある。

ポリフッ化ビニリデン(PVdF)は、クレハが世界シェアー70%を握るキーマテリアルだ。この膨潤を考えてみよう。
定性的に溶ける溶けないの議論ならHansenの溶解度パラメータ(HSP)の記事をお読みいただきたい。これを定量的に扱うには一工夫が必要になる。

PVdFに3次元架橋がかかってゴムになった場合には、膨潤し重量増加する事はあるだろうが、溶解してしまうことはない。ところが架橋がかかる前のPVdFは溶媒によっては完全に溶解してしまって、それらの溶媒で定量的な値が得られない。本来は大きな値であるので、その溶媒をのぞいてしまうと予測性能が出ないという問題がある。

溶媒

重量増加率%

methanol

2.2

Ethanol

1.7

Acetone

S

Carbon tetrachloride

1.7

Chloroform

4

trichloroethylene

3.4

toluene

2.2

xylene

1.8

benzen

2.5

n-hexane

0

methyl ethyl ketone

S

aniline

4

ethyl acetate

S

diethyl ether

1.6

dioxane

S

formaldehide

0.7

phenol

1.3

このPVdFのパッキンの耐溶剤性はこちらで検討を行った。そちらの溶媒と共通のものから、換算式を作って、このSとされているものにとりあえず値を与える事にする。

Acetone=17.0, MEK=16.6, エチルカーボネート=8.8とデータ補完を行い、YMBを使って重量増加率を定量的に検討してみる。

PVdF重量増加= A*logKow +B*Hansen水素結合 +C

VSMRを使ってA-Cの係数を決定しよう。

ジエチルエーテルをのぞき、それなりに実験値を再現できている。
(logKow:オクタノール/水分配比率についてはPirikaの記事を参照

課題:
logKowとハンセンの水素結合項はどのように重量増加に寄与しているか考察してみよう。
カーボネート類の溶解性予測値のテーブルを埋めてみよう。

溶媒

溶解性

予測値

Dimethyl Carbonate

 

ethylene carbonate

 

Propylene Carbonate

 

ethyl acetate

Sol

 

dioxane

Sol

 

このポリマーををどう改良するかの検討はこちらを参照してみてください。

電子線レジストポリマー

照明:家庭内の消費電力の16%、 60W相当の明るさなら,白熱電球54W,LED9.2W(17%)全てをLEDに変えれば,電気代1割削減できる。電子線レジストポリマーをうまく使うとさらに効率が良くなるというJSTの研究がある。

 

三菱レイヨン:PMMA世界首位
日本ゼオン:MCA
東レ:EBR-9  Macromolecules 1984,17,2761-2764
JSR:半導体用フォトレジスト(感光性樹脂)で世界首位
三菱化学:フラーレン含有レジスト
大日本印刷、富士フィルム

ポリマー

Gs

HFIM

3.9

TFEM

2.3

MFA

0.05

MCN

3.3

MMA

1.3

MCA

6

TFMMA

4.9

TFMAN

2.9

課題:
ポリマーユニットをYMBで計算し(繰り返し末端にはとりあえず水素をつけて計算する)Gs値のモデル式を作製してみよう。
モデル式=A*ハンセンSP値-B*生成熱-C*最小負電荷-D
VSMRを使ってA-Dの係数を定めてみよう。

EBR-9の予測値と論文にある値とを比べてみよう。(生成熱に関してはPirikaのこちらの記事を参照のこと)

この相関式が得られれば、任意のGsを得るためにどんなモノマー構造を作ればいいかを検討する事ができる。片っ端から分子の絵を描いて計算して必要なGsのモノマーを特許で押さえても良いし、プログラムやスクリプトが書けるのであれば、自動的に探索させても良いだろう。企業での研究の仕方はそういう方向へ移ってきている。

ポリカーボネート(PC)

ポリカーボネート(PC)の比重1.2と比べ、ガラスは2.5、鉄は7.9とPCは軽い。車一台あたりガラスは平均36Kg(バス、電車などではもっと多い!)使っているので、樹脂窓を使う事による軽量化の効果は大きい。眼鏡用のプラスティク・レンズも以前は高屈折のCR-39というカーボネート系のレンズが使われる事が多かった。DVD用の基板や住宅用の合わせガラスの内部、各種ケース、ノートパソコンの筐体などに広く使われる、耐衝撃性と透明性が売り物のエンジニアリング・プラスティックである。ところがこのPC、みかんの汁がついた手で触ると溶けると言われていた。実際にはあやふやで、ポリスチレンなどの安価な透明プラスティックがみかんの汁の主成分、リモネンに溶解する事からプラスティク・レンズはみかんの汁に弱い、ポリカはみかんの汁に弱いとされてきたのかもしれない。みかんの汁はリモネン100%では無い事を念頭に、PCの耐溶剤性を考えてみよう。

Name

25℃重量増加

75℃

25℃補間値

メタノール

1.47

 

 

エタノール

0.5

3.41

イソプロピルアルコール

1.39

0.13

n-ブチルアルコール

0.12

1.86

n-アミルアルコール

2.69

0.35

n-オクチルアルコール

0.12

-0.08

エチレングリコール

-0.06

0.04

グリセリン

-0.07

0.06

エチルエーテル

15.4

四塩化炭素

7.9

トリエタノールアミン

-0.21

 

 

課題
PCを溶媒に浸漬した後の重量増加のテーブルを見つけた。75℃のデータしかないものは25℃へ補間し25℃での重量増加を検討してみよう。溶媒をYMBで計算しテーブルを用意する。

ここでのポイントは、重量増加の定量的なデータが無くても、PCの耐溶剤性が◎☓の溶媒を集め、それが正しく予測できているかを確認しながらモデル式の作製を進める方法の習得だ。上のテーブルの溶媒はアルコールが多く、それだけを再現するようにモデル式を組んでしまうと、とんでもないモデルになってしまう。例えば下のテーブルでXをつけたものは、重量増加が大きいと予測しないモデル式は駄目だということだ。

リネモン

??

l,4-dioxane

X

cyclohexanol

cyclohexanone

X

chlorobenzene

X

Tetrahydrofuran

X

モデル式を構築しよう。重量増加をlogをとるために(マイナスの値はlogをとれないので)すべてに0.3を足してからlogをとるように。

得られたモデルで、リモネンを計算すると、2.85になった。
みかんの汁(水がほとんどで、リモネンがわずか)なら問題にはならないと思うが、携帯電話のカメラのレンズ部分には触れない方がいいと思う。日本ゼオンのシクロオレフィンポリマー(COP)であったら、リモネンには非常に弱い。

ちなみに、このリモネンはアレルゲンとされているので使用には注意が必要だろう。

このような透明性を要求されるポリマーの耐溶剤性を上げるには、ガラス成分をコーティングする、ハードコートが使われているので、高級品であれば大丈夫だろう。

ポリマーのガスバリアー性:

ガスバリア性についてはこちらのHPに非常に良くまとまっているので参照していただきたい。

PET:

汎用のポリマーで忘れてはいけないのはPETだろう。PETフィルムでは東レ、帝人、三菱化学、東洋紡績で世界シェアー70%を占めている。PETのバルクとしては、三井化学、日本エステル、三菱レーヨン、旭化成、クラレ、ユニチカ、カネボウが大手だ。ペットボトルの9割が飲料用容器として用いられている。このPETボトルは酸素透過性が高く、内容物の酸化劣化があるため多くの飲料で酸化防止剤としてビタミンCが添加されている。長期保存に向かないためワインには使われないが、2009年ボージョレ・ヌーヴォーでPET入りで販売。ガラスの瓶と比べ軽く、輸送コストが安く済む。アサヒビール(株) 容器包装研究所では、ボトル内面にガラスの成分である酸化珪素の膜を蒸着させ、キャップには酸素吸収樹脂を使用。一般的なPET容器に比べ、酸素バリア性を約20倍、炭酸ガスバリア性を約4倍に向上することに成功。 という記事があり、ビールもPET入りが出るのかと思ったが、未だに販売はされていないようだ。 三菱重工、プラズマによりDLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)を蒸着する装置を開発。無機物蒸着と異なりリサイクルには適している。三菱樹脂、日本酒用に展開

 

EVOH:エバール、エチレン-ビニルアルコール:

クラレ世界1位、シェアー65%、日本合成化学。医薬品、食品の包装材料として広く使われる。プラスティックの中で最高の気体遮断性を持つ機能材料。酸素の透過はプロックできるが、水酸基を持つため、水には弱い。そこで表面に耐水性の高いフィルム、中間にEVOH、内側にヒートシールできるフィルムのように3層で使う。削り節ミニパックにOPP/EVOH/PEという構成で使用され、ハイバリヤー材として一気に著名になった。

ポリマーへの酸素透過性のテーブルを所定の場所からダウンロードし、ポリマー骨格をYMBで組み立てて(繰り返し末端は水素を置く)テーブルを埋めよ。

Name

logPO2

Polyethylene

 

Polypropylene

 

Poly(vinyl alcohol)

 

Polyoxyethylene

 

Poly(vinyl fluoride)

 

Polyacrylonitrile

 

Poly(cis-1,4-butadiene)

 

Poly(vinyl chloride)

 

Polymethacrylonitrile

 

Poly(vinyl acetate)

 

Poly(methyl acrylate)

 

Polychloroprene

 

Poly(vinylidene chloride)

 

Polytetrafluoroethylene

 

Poly(methyl methacrylate)

 

Polystyrene

 

VSMRを使ってモデル式を構築しよう。

対応するブラウザーを使い、上のキャンバスに分子を描けばどのくらいの酸素透過度かを得る事ができる。(Pirikaではポリマーは両末端にPoを付加するが、このプログラムでは何もつけなくてよい)
このように、一旦モデル式が作成できれば容易に新しいポリマーの酸素透過度を推算できる。それをバッチで走らせて自動設計なども簡単にできてしまう。Web版は制限があるが、それはハンディだ。同じ機能のソフトを使ったら学生に勝ち目は無い。学生はダウンロード・バージョンを使ってテーブルを埋めるように。色々なポリマーの酸素透過度を計算してみて欲しい。トップデータの酸素透過度を見つけた学生にはAを上げよう。社会に出てからも、こうしたサイクルをまわせば他所(先輩)に負けない研究ができるだろう。しかし、コンピュータだけに頼らず”何故”を考えるのは非常に重要だ。

EVOHが酸素透過性が低いのは、どの物性によっているか考察しよう。

PETのように主鎖に官能基が入るポリマーはビニル系のポリマーとは同じように比べられない。

 

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