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27-May-2017

iPadで分子の電荷計算(電荷平衡法):

2011.5.29

非常勤講師:山本博志 講義補助資料

 

電荷平衡法(Charge(Q) Equilibration(Eq) : QEQ)はカルフォニア工科大学のGoddard教授らにより1990年前後に提唱された分子中の原子の上の電荷を簡便に計算する方法だ。自分はGoddard教授の元に1990-1991年留学していた縁もあり、先生の論文を元にPC用に簡略版へ書きなおした。PC版のポイントは弗素原子の取り扱い(先生の論文ではフッ素のパラメータは、LiFなどの無機物の電荷を元にしているのでマイナスの値が大きすぎる)を有機物ベースに変えたことと、窒素原子などのパラメータを窒素の種類によって値を変えたことだ。自分で作成したパラメータは実測のダイポールモーメントを再現できるように調整を行った。それと、PCは処理能力が低いので、原子間の距離に応じて当てはめるポテンシャル曲面の計算を簡略化した。簡単に利用できる分、正式なものではないが、化学工学で扱う分には十分だろう。

詳しい説明は、CMC出版、機能材料、2005年11月号、Vol.25 No.11 pp 5-42に特集記事があるのでそちらを参照して頂きたい。多くの専門家が素晴らしい理論を構築して様々な分野へ応用されているのがわかるだろう。問題はいくら素晴らしくても、じゃー自分の分子を計算してみたいって思ったときに(その研究室に知り合いがいて計算してくれるならともかく)計算できない事だ。それなら精度は低くても簡単に計算できる方がいいというのがYNU-シミュレータのコンセプトだ。他のところでも書いたが、計算機化学を目指す専門家はきちんとしたものを使って欲しい。

原理を簡単に紹介しよう。有機反応を行うときなど、有機合成屋さんは、”ここがδ+でここがδ-だから、あーなって、こーなって”という反応式を頭の中だけで自由にやってのける。その基礎は各原子の電気陰性度だ。どのくらいδ-になりやすいかの尺度と考えて良いだろう。有機合成屋さんは、フッ素で3.98,酸素で3.44と大きいので、これらの原子の上には電子がいっぱいあり、δ-がある。その分電気陰性度の小さい原子上にδ+がくるとかで判断しているのだと思う。この概念はPaulingらによって初めて導入された。データブックなどに周期律表の全ての原子についてこの電気陰性度は記載されている。Mullikenは電気陰性度が原子のイオン化エネルギー(I)と電子親和力(E)から

Χ=1/2(I+E)

という式で表せるとした。
原子は結合を作る際に、電気陰性度が互いに等しくなるまで(平衡に達するまで)電子密度を変化させる。そこで、最初は全ての原子上の電荷が0から出発して、電子は電気陰性度の小さい原子から大きい分子へ流れる。原子上に電子が貯まれば電気陰性度が低下する。平衡に達すると各原子の電気陰性度は等しくなり電子の流れは止まる。こうした繰り返し計算を行うのが電荷平衡法だ。これを古典力学を使って解くなら、実は3次元座標は必要ない。原子の結合様式がわかればいい。しかし観測量であるダイポールモーメントなどは誘起される電荷を扱わなくてはならないので、3次元座標中のケミカルポテンシャルが一定になるまで電荷を移動させるGoddard教授の方法をここでは採用している。(実は窒素などの種類によってパラメータを変えたりしているので、両方のハイブリッドのような方法だ。)

難しい話はここまでにして、実際にYNU-シミュレータを使って電荷計算を行ってみよう。

繰り返しになるが、ほとんどの学生はWindowsのPCでアクセスしていると思う。Windowsの場合このシミュレータが動作するブラウザーはChrome、Safari、FireFox4.0だ。IE8以下はHTML5をサポートしていない。IE9はHTML5のサポートが完全でないので動作しない。Macの場合にはSafariを推奨する。iPadのMobile Safariでも動作する。対応するブラウザーを使っている場合にはリンクが下に表示される。リンクをクリックすると別画面が開く。こちらの画面で説明を読みながら操作してみて欲しい。

 

YNU-シミュレータを立ち上げたら、まず最初に最初の授業で伝えるパスコードを入力する。(パスコードがないと使える原子はH, C, N, Oだけになる。)

最初にメタノールの分子構造を作ってみよう。

そして、電荷を計算するパネルへ行き、Calc Chargeボタンを押す。Show Chargeにチェックを入れると各原子上の電荷が表示される。その時のダイポールモーメントの値が表示される。いろいろな構造を作って試してみて欲しい。

YNUのパスコードを持っている場合には、Si(OMe)4の構造を作ってみよう。(WebユーザーはH, C, N, Oしか計算できない。)

メタノールを計算するのとほとんど変わらない計算時間で電荷が計算できるのが判るだろう。

化学工学の学生には必要ないので、塩素以降の原子は使えなくしてあるが、Atom typeでotherを選び元素記号を入れることによって、中心をTiに変えることもできる。

塩素より大きい原子の電荷平衡法の検証はまだ完全ではないが、こうした計算が瞬時に、遷移金属まで含めた周期律表103番原子、Lrまで、できるのが電荷平衡法の特徴だ。

酢酸のナトリウム塩を計算すると上のようになる。MOPACなどで計算しても、アルカリ金属は電荷が+1(Sparkle Atom)になってしまうので、電荷平衡法の方が都合が良い。

カリウム塩に変えると上のようになる。

また、酢酸イオンの場合には、Total Chargeを-1に指定して計算を行うと上記のような結果になる。

実際に計算して試してみて欲しい。

 

授業の最初にパスコードを与えるので、それを入力すればフルに使えるが、無くても機能制限はあるものの、動作する。プログラムはHTML5+CSS+JavaScriptを使って開発している。HTML5はまだ馴染みがないだろう。これはブラウザーのみでプログラムを走らせることのできる、新しい規格で今後のWebページを見る方法の主流になる。Chrome、Safari、FireFoxの最新版をインストールしてあれば走らすことができる。iPadなどのMobile Safariでも動作可能だ。

YNU-シミュレータO

分子の読み込みと表示

 

3次元分子の構造作成:

 

分子構造の最適化(分子力学計算):

 

分子の電荷計算(電荷平衡法):

 

分子の半経験的分子軌道計算(CNDO/2):

 

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