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05-Dec-2018

物性化学:分子の密度、体積関連の物性値

2011.6.24

非常勤講師:山本博志 講義補助資料

 

Pirikaで提供するプログラム

Pirika法-JAVA旧バージョン 2004.11.14
Yen-Woods法-JAVA旧バージョン 2004.11.14
Volume-原子団寄与法-Java旧バージョン 2004.11.14
Volume-Surface-NN法-JAVA旧バージョン 2004.11.14
HTML5制限バージョン(分子体積、表面積の推算のみ 2011.6.13)
YMBシミュレータ(HTML5 プログラム 2011.6.10)

最新の推算方法は、HSPiP ver.4 Y-Predictに搭載されました。企業の方はこちらをお使いください。HSPiPの機能概要(2013.1.18)
HSPiPの購入方法

プログラムによってどんな原子団が使えるかはこちらで確認のこと

定義など

密度:1つの量が空間、面、線の上に分布しているとき、微小部分に含まれる量の、体積、面積、または長さに対する比をいい、体積密度、面密度(面積密度)、または線密度とよんで区別する。一般には体積密度をさす。各種の物理量や数学量に対して用いられるが、単に密度といえば、質量についての密度をさすのがふつうである。

比重(Specific Gravity):ある温度で、ある体積を占める物質の質量と、それと同体積の標準物質の質量との比をいう。液体・固体に対しては標準物質として普通4℃における水を採用する。同じ場所で測れば両者の重さの比をとってもよいので、比重という名がつけられた。4℃の水の密度は0.999973g/cmであるから、比重の0.999973倍がSI単位で示した密度に等しい。しかし実用上は、この差異は無視してさしつかえない。液体の比重は、その温度(たとえば25℃)と基準となる水の温度(たとえば4℃)を付記し、d254=0.7912(またはd2540.7912)などと記すことが多い。また気体の比重を表すには、標準として0℃、1atmにおける空気をとるが、水素または酸素をとる場合もある。

密度は,物質の重さと体積の比率で,例えば,グラム/cm^3や,ポンド/フィート^3などで表現される。純物質の密度はサンプルごとによって大きくは変化しないので,密度は物質の特性量と考えてよいだろう。ほとんどの物質は暖められると膨張する。従って暖められると密度は減少する。特にガス上の物質は顕著だが,物質はそれにかかる圧力が増えるにつれ圧縮され体積が小さくなる。これらの理由で,大抵は温度が何度で圧力がいくつの時の密度が測定されたかを特定しなければならない。しばしば,ガス状物質の密度は標準的な温度と圧力(STP)に数学的に換算される。 水の膨張は一般的ではない。水は3.98℃の時に最大の密度を持ち,それ以下に冷却された場合には密度は減少する。
沸騰の科学についてまとめました。こちらから参照してください

推算法

物性には大きく分けて2種類ある。分子が大きくなると増加する物性、例えば沸点や臨界温度、蒸発潜熱などと、分子が大きくなっても増加しない物性、例えば密度、溶解度パラメータや屈折率などだ。分子が大きくなると増減する物性は、原子団寄与法を用いて推算するのに適している。しかし、例えば密度を原子団寄与法を使って推算すると、分子が大きくなるに連れ密度がどんどん大きくなってしまう、つまりポリマーの密度は金属よりも大きくなってしまうなどと言う事になる。そんな式は作らないと思うかもしれないが、事実、溶解度パラメータの推算式、屈折率の推算式で原子団寄与法を用いたものはたくさん存在する。そのような式を使う場合には、パラメータを作った母集団がどんなものかが明らかになっていないと使えないが、それについてはほとんど公開されていない。

原子団寄与法を使うのであれば、原子団が増減することによって、物性値も増減するような物性値を選ばなくてはならない。例えば、密度は分子量を分子体積で割ったものだ。そこで分子体積を原子団寄与法で推算出来れば、密度も推算することができる。YNU-シミュレータには167種類の官能基の加算値が決定されており、下図に示すように分子体積を推算する事が可能になっている。用いたデータは6461化合物の室温での密度から計算した分子体積の値だ。

この機能はHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)というプログラムに搭載されている。最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい。

これを構築するのに苦労した点は、実験値とされている密度に、固体の密度が混じっている場合があるということだ。化合物は液体から固体に変わるときに(水のように例外もあるが)密度は高くなる。しかし、化合物の融点の実験値は少なく、室温での密度が記載されていても、それが固体か液体かはわからない場合も多い。そうしたものを根気づよく取り除かないと精度の高い推算式は得られない。

それにしても、167種類の原子団全ての加算値を決めるのは不可能であった。そこで利用したのが、分子構造をMOPACなどのソフトを使って構造最適化した後に、分子体積を計算するソフトウエアーだ。WinMostarなどのソフトにその機能が搭載されている。

分子軌道計算は、理論的な計算なので分子の構造さえあれば計算できる。実際には密度はそうした構造がパッキングされるので、真空中の1分子の体積とは完全には合わない。そこで上の相関を使って、密度が未知の化合物の体積の計算値を、実際の密度から計算される体積に変換し利用した。

臨界温度や臨界圧力の推算の補正項として、この体積を使うことが非常に有効であることは既に述べた。

この密度いう物性は温度が高くなると小さくなるという性質を持つ。例えばアセトンの例を見てみよう。

一番右の点は、臨界温度における密度、臨界密度である。このように臨界点近傍では急激に密度の低下がおこるが、沸点(329.44K)ぐらいまでは直線的に密度は低下する。極めて大雑把に言ってしまえば、多くの有機化合物では熱膨張率は1℃あたり-0.001g/cc であるとされている。当然のことながら、臨界温度が低い化合物では成立しない。

液体の密度を推算する式は次の物が知られている。

これらの式を用いるには,臨界温度(Tc),偏心因子,臨界圧力(Pc)の値が必要になる。例えば、Yen-Woodsの式は次式で任意の温度での密度を計算する。対応状態原理法の1種だ。

この方法を使って、実際に"The properties of Gases & Liquids"にあるデータについて計算を行い、精度を検証すると以下のようになる。

大雑把にはいいのだが、Zc、圧縮係数を求めるには臨界温度と臨界圧力が必要で、それと臨界密度が必要になる。

しかも臨界密度を計算するのに必要な臨界体積の実験値は非常に限られていることが解っている。臨界体積の推算式はJoback法にも搭載されているが、実験値が殆ど無いのであまり意味があるとは思えない。

臨界定数を測るような化合物は既に密度の温度依存性も測定され、データとして利用可能であろう。そこで、先に作成した室温での分子体積に温度の依存性を付け加えた、QSPR(定量的構造物性相関)式を構築する事を考える。

このような式を開発してしまえば、任意の温度での密度は、計算で出すことができてしまう。ちなみにアセトンで計算した例を赤四角で付け加えると、このようになる。

この密度の温度依存性は非常に重要である。他で述べる熱伝導度や粘度の温度依存性は、ここで計算される密度の値を使って推算を行っている。

分子表面積についてもここで解説しておこう。分子と分子がこすれあう、といったときには表面積が重要だろう。しかし、残念ながら分子表面積と直接的に結びつく測定可能なデータは無い。そこで分子体積で説明したWinMostarを使って計算した分子表面積を再現できるような原子団寄与法を開発した。2560化合物についてWinMostarを使いMOPACで構造を最適化した後に、分子表面積を計算した。その値を用いて、167原子団の加算因子を決定し、推算式を構築した。

分子が大きくなると、構造の最適化が十分でなく、ずれが見られるが、十分な精度で推算する事が可能であることが判るだろう。

次にOvalityについても説明しておこう。日本語では卵型度と訳されているようだ。これはある分子の表面積をAとして体積をVとした時に、

ovality=A/(4*pi*((3*V)/4*pi)^(2/3))

で表すことができる。これは何を意味しているかというと、ある分子があったときに、その体積が最小表面積になるのは、その分子が球形の時だ。その球の半径はV=(4/3)*pi*r*r*r で求まる。
r=( (3*V)/4) ^(1/3)になる。
その時の表面積は4*pi*r*r, つまり、4*pi*( (3*V)/4) ^(2/3)になる。

実際の表面積Aをこの表面積で割った値がOvalityというわけだ。模式図で書くと次のようになる。

直線的に伸びた分子は大きな表面積を持つ。しかしその分子が体積は同じまま畳み込まれて球形になったら、その表面積は最小になる。その比をOvalityという。もともと分子は常に広がりきった構造でいるわけでは無い。Ovalityの大きな分子は、伸びきった時と縮んだ時とで差が大きい分子であるといえる。そうした分子は時として物性値が大きく変動する。四塩化炭素のように分子が球形のものは、Ovalityが1で、そうした変化を示すことができない。この値は細かい補正に威力を発揮する事が多い。極性がほぼ同じで沸点もほぼ同じなのに、ガスクロのリテンションタイムが異なる。などというときにOvailityで整理すると傾向がはっきりわかる。

このOvalityもWinMostarを使って計算できる。

これを推算値の分子体積と分子表面積から計算してみると上図のようになる。比較的誤差が大きくなる。これは分子を原子団に分割した段階で結合情報が失われ、特に混み合った分子、環状の分子で分子体積と表面積の相対値が保持できなくなるためだろう。そのような分子については実際に3次元構造から計算しなくてはならない。

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