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悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

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02-Jan-2013

食  事            (64)
  
 以前、転勤先の社宅の事情で単身赴任・独身寮にしばらくご厄介になったことがある。同じような事情の人が、この寮に二~三人いたのだが、、夕食時、まずは一杯傾けながら世間話ーーー。
 そのうち適宜、食事をすますのだが、その中にT・Sさんという関取級のお腹の出た人がいた。その人は、食事を終わると、必ずそのお腹をポンと叩いて ”ああ、うまかった”というのである。

 誰に云うのでもなく、自分自身に言い聞かせるかのように、とにかく晩酌がすんで食事が終わると ”ポン、あゝうまかった”とくる。
 これがわざとらしくなく、とにかく自分で納得がいった風でーーー、強いていえば、一日の労働を無事終わった、これで食事もすんだーーーというピリオドでもあったろうか。この ”ポン、あゝうまかった”が実にさわやかに聞こえるのだった。

 人間関係とか、管理人さんをいたわろうとか、感謝の気持ちをさりげなく伝えようとかいったけれん味のみじんもない、むしろ、行儀作法からみれば、流儀にないところが何ともいえずにいゝーーー。
 女房子供を故郷に残し、仕事のために単身・任地に赴任しての独身生活の中で、毎日の夕食を ”ポンあゝうまかった”と締めくゝれるこの人をうらやましく眺めたものだった。
 そして勝手な勘繰りではあるが、厨房でこれを聞いていた管理人さんにとっては、この声が他人行儀な ”ご馳走さま”より何にも勝る励ましとなっていたのではあるまいかーーー。

         ちり紙交換            
  
 土曜・日曜ーーーゆっくり静養を、と思っていると、大きなスピーカーで必ず回ってくるあの、 ”コチラ・チリガミコウカンデゴザイマス。・・・フルシンブン・フルザッシ・・・・”の呼び声は何とかならないものだろうか。
 あの調子は何ナマリというのだろう。あのいやったらしい抑揚、そのうえ超低速で舐めるように細い路地裏まで入り込んでくる、あのしつっこさ――。

 昔、富山の日本海石油に勤務していた頃、日曜日の朝になると飛んでくる飛行機からのマイク宣伝に腹を立て、 ”空からの音の暴力”と新聞に投書したことがあったが、しかし今にして思えば、あれはまだスピード感もあったし、愛嬌もあった。
 この ”マイドオナジミ チリガミコウカン”・・・というのを聞いていると、どうも昨日食べたスブタが腸のあたりで醗酵するようなウジウジした感じをもよおす。
 同じ調子ながら、オヤ今度はしゃべる奴が交替したな、と思ったらさにあらず、新手の車が現れて交錯しているのだったりしたら、これはもう救われないのである。

 昔の例はといえば、ご存知ーーー”ナットー ナットー ナット” ”キンギョーイキンギョ”など、これらは呼び声の中でも傑作の部類ではあろうが、何にしても静かに心に染み入る情緒があった。
 どうも近頃はヤキイモ屋までがハンドマイクでがなりたてゝくる。しかし、同じマイクながら、あの市役所のゴミ集めだって ”乙女の祈り”かなにかのオルゴールで回るくらいの神経を使っているのである。何とかこのちり紙交換にもなにかいいコールサインはないものだろうか。

        広   告            
  
 新聞広告に ”メクール”とあるので、何かと思ってみたら、お札を数える時や、紙をメクルとき指先にこれをつけると、滑らないでめくりやすいのだという。なるほど、商品名とはそんなものか、と感心していたら、似たようなのが他にもあった。
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 ”アンシン”が、家庭用ガス検知器で、頭痛に ”はっきり”、電気毛布に ”やすらぎ””クーラーに ”こかげ”・・・。はて、痔の薬に「光圀」とあるのは・・・?。なるほど、水戸「コウモン」光圀”でミツクニとはテキも考えたなあ。
(75・S・50・1・)