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02-Jan-2013

旅  行            (85)
  
 出張・・・久し振りの旅行である。車中無聊なままに気がついたこと二~三・・・。

 例によって食堂車。注文に、何故 ”チーズワン・エッグワン”・・・というのだろ。チーズひとつ、ではいけないのかな。しかも、一つがワンで、どうして二つ以上は二つ・三つなのだろう。
 ビールとポークカツとライスを注文したのに、何故、ライスから持ってくるのだろう。

 急行で通過する駅の建物に「線路保守外注化反対ーーー国労」のでっかい横断幕がかけてある。そんなこと、通りすがりの乗客に言ったってしょうがあるまい。・・・赤字の国鉄で、どう合理化をやるかは国鉄内部の問題ではないのか。

 降りる客が、読んだ週刊誌を網棚にポイと放り上げて出て行ったら、その後ろから降りる人が、その本をひょいと持っていった。そのさりげないことタイミングのいゝこと・・・、 ”箱根山 カゴに乗る人 担ぐ人 そのまたワラジを作る人”って歌があったな。

 トイレ・・・。「この便器は汚物処理装置がついていますので・・・必ずペダルを・・・云々。便器を詰まらせるので備え付け紙以外のものは左の容器へ」・・・云々。懇切丁寧な注意書きのパネルが掲げてある。ところが、直径十五センチもあろうかという、その つまる?穴から下を見ると、線路のジャリが後ろへ後ろへと飛んでいる。簡単に言えば垂れ流し・・・。
案の定こんなトイレはペダルを踏んでも水が出ない仕掛けになっているんだなあ。

 停車した駅から列車が走り出したら、駅弁売りのおばさんたちが横一列に奇麗に並んで、通り過ぎる列車に向かって丁寧にお辞儀をしていた。いゝ習慣だな。
 終着駅近く、車内放送。「こちら、食堂車でございます。これをもちまして営業を終わらせて頂きます。本日は多数のご利用有難うございました」。
 一寸したことだが、しめくくりがあっていいな。人間、感謝する心をわすれちゃいかん。

          安  全            

 カーマニアのS・Sさんが、スピード違反で捕まった。そのSさんの話。

 日曜日の都内は嘘みたいに空いている。都内すべて四十キロ制限だ位のことは知っていたんだが、約束した時間のこともあって、ついスピードを出しすぎていた。二十数キロオーバーでネズミトリにひっかかり,免停をくらって、鮫洲の特別講習送りになった。

「いや、厳しかったね。昼食の休憩を与えられただけで、朝から夕方までびっしり教育されてね。その間煙草吸っちゃいかん、頬づえついちゃいかん。うっかり居眠りしようものなら ”オイそこの0番!何をしとる。今言ったことを言ってみろ”・・・すべてがこんな調子で、百人近い人間がビシビシ締め上げられ
 ”何をこのやろう”という気にさせられる」。

 ところが、この長い一日が終わって最後に、そのニクイ教官がこう言ったんだよ。
 何故私が今日一日、こんなに憎にくしい態度を取ったか判りますか。私は皆さんに憎まれたい。そして二度とあんな奴のところへ行くものか、という気持ちになって、ハンドルを握るたびに憎い私の顔を思い出してもらいたい。・・・そして、それが悲惨な事故の未然防止になれば・・・それが私の仕事であり、あなた方の為になるのだからーーー。今日一日の無礼な言葉の数々を許して頂きたい」。

「こう言われたときは、ジーンときたね。悪いことしたのはこっちなんだ。それを逆恨みなどして・・・。これは私だけじゃなかった、思わず居並ぶ受講者から割れるような拍手が起こった」。

「それ以来俺は本当に改心した。あの教官の厳しい愛情が心の底に焼きついた。人は笑うかもしれないが、今ではシートベルトを肩からかけるのを怠ったことはない、法定速度は必ず守る。・・・だって考えてみれば、誰のためでもない、みんな自分のためだもんなあ」。

(76・S・51・10)