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悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

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02-Jan-2013

 ある人が郵便局に電報を打ちに行った。電報の末尾に「・・・・アトフミ」と書いて局員に渡したら ”珍しいお名前ですね?といわれたという。
 昔は、暇だから、退屈だからというので、つい本を読んだものだが、TVが定着してから、一般的に本を読まなくなったせいか、最近字や言葉の意味に対する感覚がにぶくなってきているように思う。

 次の字は最近お目にかかった、堂々と印刷されていた勘違いや当て字である。
 「瓜ひとつ」「一宿二飯」「和気愛々」「婚前一体」・・・。
 しかし間違いもこうなると、読者を退屈させないように、わざとひねったのではないかと思われるほどだが、もしそうだとすれば「婚前一体」なんてのは秀逸ですな。

    世の中は 澄むと 濁るの違ひにて
        はけに 毛があり はげに 毛がなし
 という狂歌があるが、字というものは、濁点ひとつのあるなしで、意味が大きく違ってくる。

 東北地方の生まれの人は、発音上「し」と「す」の区別がはっきりしないため、「めやす」のことを「めやし」と書いて平気でいたりする。しゃべっていても「エイゴ・(英語)のイ」、「イド・(井戸)のエ」「エド・(江戸)のイ」・・・などまともな方も聞いているうちにこんがらがってくる。本人も分かっていながらどうにもならないものらしい。
 昔、「現ナマに手を出すな」というフランス映画が封切られたことがある。秋田のある映画館のでっかい絵看板に「現ナマに手を出しな」と書いて堂々と掲げてあったという、ウソのようなホントの話がある。

 誰だったか「親になる」のは簡単だ。犬でも猫でも子を産めば親になれる。人間も親になるのは簡単だけれども、「親となる」のは大事業だと言っていたが、たった一字の違いながら成るほどと思う。

「米洗ふ 前に 蛍が 二つ三つ」という句をみて先生が添削した。
添削後の句は
「米洗ふ 前を 蛍が 二つ三つ」というものである。
「前に」を「前を」とたった一字なおしただけで、「前に」では止まっていた蛍が動き出すだろう・・・というのである。なるほどおっしゃるとおり、「前を」・・・で、はりついていた蛍が上下左右に動き出す。・・・字というものは一字たりともなおざりにはできないものである。

        モールス符号

 昭和ヒトケタの昔話で恐縮だが、戦時中、中学生時代。いざという時に役に立つように・・・と、海軍で使っていた手旗信号と、通信に使うモールス符号を覚えさせられた。
 手旗信号は、道路工事のハタ振りのような小旗を両手に持ち、遠くにいる仲間に向かって旗と両腕・体を使ってイ・ロ・ハ・ニ・・・といった字を構成して文句を送るのだから、これは何とかこじつけで思い出せたが、モールス符号の方は「・ー」は(イ)。「・ー・ー」は(ロ)という具合で何とも覚えるとっかかりがなくて弱った。

 しかし、そこはよくしたもので、これを(イ)は「伊藤」(・ー)。(ロ)は「路上歩行」(・ー・ー)。(ハ)は「ハーモニカ」(ー・・・)という具合に、実に分かりやすく送る字と信号音を言葉に合わせて組み立て教えてくれたものである。
 おかげで,、何十年も使わない今でもひょいひょいと思い出せるが、面白いので思いつくままにも少し挙げてみる。
 (ホ)は「報告」で(ー・・)。(ニ)は「入費増加」で(ー・ー・)。(ト)は「特等席」で(・・ー・・)。(モ)は「孟子と孔子」で(ー・・ー・)。(ノ)は「乃木東郷」で(・・ーー)といった具合。

 こうやって覚えながら、実に頭のいい人が居るものだと感心したものだが、ここらでオチをひとつ、さて「へ」のモールス符号は???。
 答え(へ)は「屁」で(・)。だという。モールス符号を作った人は落語的センスもあったようですな。

 (80・S・55・5)