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02-Jan-2013

電  車

     (グリーン車)
 通勤電車ーーー。向こうの線路を、小田原~東京間の湘南電車が並んで走っている。朝のラッシュ時、ぎゅうぎゅう詰めの箱がいろんな形相の人を乗せて次から次へと通過していく。ああ気の毒に・・・とそれぞれの顔つきを眺めているうちに、突然、座席に白いカバーがついて、全員が整然と座り、悠々と新聞など広げている空間のある箱が現れた。あれ?何か場違いな別の世界といった感じだが、これはグリーン車。これが二両過ぎたら、また後は前と同じぎゅう詰めの箱がつながれて通り過ぎていくーーー。

 それぞれの箱に乗っている人は、普通車もグリーン車もそれぞれが自分の世界で、そんなものだと思い込んでいるが、これを客観的に第三者的に外から見ていると、たかが?金の有るなしで、何とも世の中不公平なものだと思わせられる。
 しかし、案外我々個人の人生そのものも、自分では自分なりに納得しての泣き笑いだが、外から見れば、こんな感じなのかもしれないなあ。

      (ヘッドフォーン)
 満員電車の中ーーー。ヘッドフォーンをはめて、私は周りの俗世間とは無縁です、といった顔をしている人ーーー。あの顔は、犬が交尾している時の顔に似ている、といった人がいたが、まさに言いえて妙。
 ただ土筆生はデキているので、ああ、電車の中でまで英会話の勉強をしているのか、偉いなあ、と思うことにしているのだがーーー。

      (新  人)
 朝、一番後ろの車両に乗ろうとしたら、あご紐をかけた車掌がホームに飛び出して、前方を指差し、いきなり、「シュッパツシンコウ イジョウナシッ!」と魂げるような声で怒鳴った。ーーー新人である。

 時に車内アナウンスで、流暢ではあるが、あまりに調子が良すぎて、歌うが如く、ささやくが如く、結局何を言いたかったのか分からないのがある。ーーーベテランである。
 このいきいきとした新人も、いずれは、このすれっからしのベテランになってしまうのかなあ。

      (改   札
 朝のラッシュで気に入らないものーーー。何故、先を急ぐあの大勢の人を、ジョーゴの口のように細い改札口へ集めて、わざわざ混雑させるのか。髪の長いふけつな駅員がマスクなぞして、股火鉢で検閲官然として座っているが、うつろな目で何も定期券なんか見てやしないじゃないか。見ようったってあれだけの人間が二重三重になって押し合いへし合い通過するのに、期限と区間を読み取れる筈がない。だとすれば全くの無駄ではないか。
  
      (麦と兵隊)
 朝八時半・新橋駅前。サラリーマンの大軍団が大きな川の流れのように、一つの方向〜虎ノ門の方へと移動していくーーー。何を考えながらか、口笛吹いて足取り軽く・・・というのにはついぞお目にかからない。全ての人がうつむき加減に黙々と自分の職場へ向かって足早に急ぐーーー。

 昔、”麦と兵隊”という哀愁をおびた軍歌があった。

     徐州徐州と 人馬は進む
     徐州いよいか 住みよいか
     ・・・・・
     ・・・・・
     声を殺して 黙々と
     影を落として 粛々と
     兵は徐州へ 前線へ
(86・S・61・5)