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悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

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02-Jan-2013

哀 し き 酒

 ウイスキーを熟成させるのに、原酒を樫の木の樽に入れて長い年月寝かせておく、そしていよいよ機熟して樽を開けてみると、仕込んだ量よりも、かなりの量が目減りしているものだそうだ。
 この減った分のことを専門家は「天使の分け前」と呼ぶそうだが、何ともいい表現ではないか。やはり酒を扱う人の発想は,詩的でいいもんですなあ。

 先日、大分酩酊してきたところで後輩から「ところで、片々草の酒の話はどうして ”悲しき酒”なんですか。“楽しき酒”じゃないんですか?」とからまれた。土筆生たるもの、ここでたじろいではいけない、相手は後輩である。

 そこで、おごそかに「うん、酒は、勿論楽しい。楽しいけれども、やっぱりカナシイものなんだなあ。酒を飲むと言うことは、とどのつまりは、そのこと自体がかなしい ことなのよ。・・・おいおい泣いたり、涙を流したりといった、そんな ”かなしさ”じゃなくってさ。ーーーとにかく諸行無常、言ってみれば、所詮は人生そのものが かなしいものじゃあないか・・・」。と悟りそこないの坊主みたいなことを言ったら、神妙に「・・・少し分かったような気がします。しかしそれなら、ヒレンの”悲しい”ではなくて、謹んであいとうの”哀しい”の方がぴったりするのではーーー」と諭された。
 成るほど「哀しき酒」ね。という訳で今回はタイトルの字を変えてみたが如何?。

 酒と健康について・・・。
 医者で酒好きの随筆家S博士の本によると「毎晩二合飲む人と、週に二日やめるが一升酒も飲む人と、どちらが体のためにいい飲み方かといへば、二日と言わず一日でもいいから休肝日を設ける方がいい。早速今週からでも酒なしデーを作ることをお勧めしたい」と書いてある。
 ところが、その後が奮っている 「ただし、かく言う私がそれを守っているかどうかは、口が割けても言えない」のだそうだ。これが「アルコール健康医学協会理事長」の話。ーーーどうも呑み助と言うのは、ここらあたりが正直でニクイですなあ。

 ある本によると、日本はアルコールの消費量では世界第三十三位だが、依存患者は、スエーデン・ノールウエー・アメリカに次いで第四位だそうで”風土的環境・人種的対立のなさ、教育水準の高さなどから考え合わせると、世界一のアルコール依存国と言っても過言ではない”のだそうだ。

 そのアルコール依存症というのは、ある権威によれば、新幹線に乗っているようなものだという ”まだ静岡だ・まだ浜松だと思っているうちに、気がついたらもう名古屋まで来てしまっている”というのである。
 言われてみれば成るほど、少し?思いあたるフシがある。一本で終わらないでもう一本、もう半分、もう一軒・・・ここらあたりが既に依存症の入り口にさしかかっているのだろう。 ーーーだとすれば、土筆生の知り合いも相当の人が、もう静岡あたりまで行ってしまっていますなあ。

 その新幹線で面白い話を聞いた。
 ある人がメキシコのお客を新幹線で案内した。途中車内放送があって、何の放送だったのかと聞かれた。 ”ああ、今この列車は予定よりも二分半遅れて走っている”というお知らせだった”といったら、その人は”たった二分半くらいのことでわざわざ放送なんかするわけがない。きっと二時間半の聞き違いだろう”と、どうしても信じてくれなかったという。”メキシコでは何もかも時間通りには動かないから、時間を組み込んだ犯罪は計画しても成立しないのだそうだ”というのがこの話のオチだが、”点と線”の清張さん、メキシコだったらどんな推理小説を書くのだろう。

(86・S・61・7)