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悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

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02-Jan-2013

ガ ン 告 知

 ロッキード事件の時、刑事局長として活躍された伊藤栄樹氏(前・検事総長)の「人は死ねばゴミになる」という癌との闘いの記録を読んだ。
 「私ごときものに癌などという大敵と闘う力があるとは思えない。(略)私の腹を土俵にして、現代医学が癌と闘っている」と淡々と綴られた闘病の記録である。
 読後の感動が抜けずひとりでしまっておくのが勿体なくて、片々仲間に送っては読むように勧めている。
 次は、その一人T・M氏から折り返し来た感想文の一部。内容を簡潔によく言い表していると思うのでお借りしてご紹介させて頂く。

 「人は死ねばゴミになる」。
 昭和六十二年七月十三日発病、六十三年五月二十五日死去するまでの一年足らずの記録を、ガン被告知者の ”生体験”として感銘を受けました。
 おそらく、想いの幾分の一の記録にすぎなく、もっとどろどろとした、私的なめくるめく葛藤ののたうった局面もあったであろう・・・との思いが走ります。
 与えられた寿命内での一生に、一面の空しさを感じると共に、健康な生命があるのに ”やれ、昇給が、査定が、昇格が・・・云々といった日々の怒りが、この本の読後霧消する心地よさがありました。
 かといって成り行きに任せることなく、必要以上に生命を溺愛することなく、やはり自然体で楽しむべきことを楽しみ、納得すべく日々を費やしていくことの正しさ、といったことも教えられた次第です。
 あの三島由紀夫が、昭和四十五年四十五歳で自らの腹を切った(自らの肉体の衰えを断固拒絶した)報に接した陶酔がふっと浮かんできます。共通した?潔ぎよさが感じられます。(略)

 同書の中から三句
    腸腐る 病に伏して 蔦紅葉
    病室の 窓明けゆくや 去年今年
    小春空 もすこし生きて いたくなる
(若し、興味を覚えられたら是非読んでみてください。新潮社・二百頁・千円)

         ス タ ミ ナ

 洋の東西を問わず、酒を飲んでの話題が、若者は専らギャルで、中年以降はこれがヘルスになるというが、その実年仲間で飲んでいて、このところ一再ならず出てきた話題が、あのイヴモンタン・・・。”六十幾つとかで子供を作った。その相手が二十いくつとかで云々・・・”。といかにも羨ましげな口ぶりである。
 何だ、そんなことが・・・と思っていたら何とNHKの白髪のキャスターが番組の中で ”イヴモンタンが・・・”と番組と直接関係ないのにわざわざその話を紹介していた。やはりあの人もその話を聞いたとき、心の底に驚きと羨ましさが焼きついて、ふと口をついて出てしまったのだろう。 
 全く、オトコというものは・・・。

 そこで、励ましに,例の蜂の喧嘩(さしつ・さされつ)で仕入れた取って置きのオトナの小話をご披露しよう。

 ーーーエリザベス女王が、夫君エジンバラ公と動物の品評会にお出かけになった。こういう公式の場では、女でもやはり女王の方が先にお歩きになる。
 左右をご覧になりながら、女王が、首に優等賞の大きなレイをかけている見事な牡牛の前でふと足をお止めになった。
 「この牛は、どこが立派なのか?}
 「ハイ、これは去年一年三百六十五日、毎日子孫を残す努力をして成功したスタミナ抜群の牛で、それで表彰されたのです」
 女王、いたく感銘を受けられたご様子で深くうなずかれ、後ろを顧みられながら
 「その話を、公にもよく伝えておくように・・・」。
 係りは、後からおいでになったエジンバラ公に、その旨をお伝えした。今度は公がお尋ねになった。
 「して、その相手は同じ牛か?」。
 「イエ、勿論違う牛です」。
 公、大きくうなずかれて
 「そうか、その旨を女王に伝えておくように・・・」。

(88・S・63・10)