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02-Jan-2013

本日ハ晴天ナリ

 ロンドンの街角で、売り子が今日の新聞を売っている。その売り声が、日本人にはどう耳をこらしても ”ツダィズ パィパー”と聞こえるそうだ。
 それで思い出したが、たまにはガクのあるところをひとつ・・・。

 日本では、運動会でも講演会でも、マイクロフォンをセットしてテストする時、必ず「アーアーアー こんこんこん(マイクを叩く音) ホンジツワー セイテンナリィー。 タダイマ マイクノ テストチュー・・・ 。アーアーアー こんこんこん・・・ホンジツワーーー」とがなることになっている。

 ところが、これは大正のその昔、初めてアンプを日本に持ち込んだ人が、あちらでマイクをテストする時 ”ツディズ イ ツス ファインーーー(Todays its fine)”というのを聞いてきたのを、正直にそのまま日本語に訳し「本日は晴天なり」・・・。とやったのが始まりで、それがそのまま当然のようにアンプと共に日本中に拡がっていったのだという。

 ところが英語で ”Todays its fine)というのは、その短い十三のアルファベットの組み合わせの単語の中に、マイクとアンプの性能と音の調子をテストできるあらゆる音(柔らかさや促音・高・低・抑揚)・・・などが含まれているからで、たまたまその時の適当な思いつきで ”アーアーアー”と言ったら、次に出てきた言葉が ”本日は晴天なり”だったのではなく、機械のテストのために考え抜いた苦心のフレーズなのだそうだ。

 だから、この「音」をそのまま英語で使うのでなく、言葉の意味を訳して「ホンジツワー セイテンナリィー」とがなってみても本当の意味はないんだけど、しかしそれとは関係なしに、何かの催しにアンプを設置して最初に発するのが「本日ハ、晴天ナリィー」という日本語は、それなりに胸を張ってカラリとした爽やかないい響きではあるな。

          寿 司 や

 ある寿司やーーー。まだ包丁を持たせてもらえない可愛い板前の見習い坊やが、おしぼりや、あがりの出し入れの手伝いをしながら、あい間に如雨露で床にしきりに水を撒くーーー。埃がたたないように・・・という気働きかと思っていたが、それにしてはあまり頻繁に撒くので尋ねてみた。
 ”ヘイ、お客様のネタが乾かないように部屋の中に適当な湿度を保たせておくためです”。

 この店のトイレ・・・。大きな円筒の前を斜めに削いで立てたような瀬戸の中に、二十センチ四方はあろうかという四角いままのでっかい氷の塊が、五・六個もゴロゴロと放りこんで積み上げてある。

 初めて見るし珍しいので尋ねてみた。
 「はい、トイレにはニオイをニオイで消そうと、よくナフタリンの親玉みたいなのをゴロゴロと何個も入れているのがありますが、あれでは、放出した本体か、ナフタリンか、いずれにしてもいずれかの匂いが勝つだけのことで、どちらかの匂いは残ります。
 そこへいくと、永年の経験で、その都度相手の温かいものの量に応じて、湯気を立てないように自ら溶けながら、ニオイも冷やして一緒に持って行ってしまう、この方法が一番です」。

 商売、その道によって賢し・・・。

        蜂 の 喧 嘩(さしつ・さされつより)

 底冷えのする日、肩をすぼめながら銭湯の帰り、ふと足元を見ると五百円玉が落ちている。幸い回りに人影もない・・・。
 しめたってんで、急いで拾おうとしたが、あいにくこれが凍りついていてはがれない。・・・そこで一計を案じ、体から出る温かい水で溶かしてやれ嬉やーーーと拾い上げたところで目が覚めた。
 ところが、拾った方は夢だったが、温かい水の方は本物だった・・・と。

(88・S・63・12)