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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#4
ポリマー:酸化防止剤のポリマーへの溶解性をハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を使って理解する。酸化防止剤のHSPはY-MBという物性推算機能を使って推算し、HPLCの結果と比べることで、その信頼性を検証した。ポリマーに良く溶けていれば少量で長持ちするはずであるので最適化を行うことができる。


2010.3.30

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

ポリマーには酸化防止剤を入れるのが一般的です。それ無しで製品を作るとこんな事にもなります
そうした酸化防止剤がどのくらい高分子に溶解しやすいか?これをハンセンの溶解度パラメータを用いて解析してみます。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

このHSPの考え方を使うと、酸化防止剤のHSPとポリマーのHSPが近いものほど溶解しやすいと言えます。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

しかし、一般的に酸化防止剤のHSPは求まっていない場合が多く、推算に頼らなくてはなりません。その場合、推算値が信頼がおけるかどうか?についてはなかなか確答はできません。

今回、東ソーから酸化防止剤のHPLCによる一斉分析 separation report を入手できたので、このデータを使って推算値の検証を行いました。

NO name
Hcode
CAS#
RT
1
Cyasorb UV-24
21881
131-53-3
6.897
2
BHA
18988
25013-16-5
7.441
3
Ionox 100
10781
88-26-6
8.439
4
Seesorb 101
20389
131-57-7
9.71
5
Tinuvin P
21882
50815-99-1
13.43
6
Yoshinox SR
21883
96-69-5
15.064
7
Seesorb 202
20386
87-18-3
16.606
8
BHT
7766
128-37-0
17.241
9
Noclizer M-17
20833
4130-42-1
18.603
10
Yoshinox 2246R 
20689
119-47-1
18.966
11
Topanol CA 
21884
1843-03-4
20.69
12
Yoshinox 425
21885
88-24-4
21.143
13
Cyanox 1790
21886
40601-76-1
21.869
14
Cyasorb UV-531
20384
1843-05-6
22.958
15
Ionox 220
21887
118-82-1
24.41
16
Nonflex CBP
21888
77-62-3
25.045
17
Tinuvin 326
20394
3896-11-5 
25.136
20
Uvtex OB
21889
7128-64-5
28.131
21
Tinuvin 327
20830
3864-99-1
28.675
22
Tinuvin 328
20395
25973-55-1
29.492
25
Irganox 1076
21890
80693-11-4
41.379
18
Tinuvin 120
21891
4221-80-1
25.771
19
Irganox 3114
21892
27676-62-6
28.04
23
Irganox 1010
21893
98584-37-3
36.388
24
Irganox 1330
21894
1709-70-2
38.657
26
Irgafos 168
21895
69344-92-9
47.55

RT:チャートからデジタイズした保持時間

クロマトグラフィー

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、3次元のHSPベクトルの類似度で、溶解性を評価します。例えば下の図で、溶質(オレンジ)のベクトルが、有機溶媒のHSPベクトル(青)と水のHSPベクトル(黄色)とどちらに近いかをHSP距離で評価します。HPLCのシミュレーションは、これが横に長くなり、液液抽出が連続的に繰り返されていると考えます。

そこで、溶質のHSPベクトル(オレンジ)が有機相のHSPベクトル(青)に近い場合、なかなか出てこない、つまりリテンションタイムが長くなると判断し、逆に、水のHSPベクトル(黄色)に近い場合、保持時間は短くなると判断します。ここで行うシミュレーションは有機層がオクタデカンとしているので、HPLCカラムとしては、ODSカラム相当になります。また、これまでの検討で、分子の体積の補正が有効であることが解っています。

PirikaのHPLC用混合溶媒を設計するJAVAアプレットのデモ、HPLCDemoはこちら。
HPLC用のパワーツール+はこちらから

 

ほとんどの酸化防止剤(青色)でオクタデカン(OD)からの距離を分子体積で割った値とリテンション・タイムの間には明確な相関があります。HSP距離の長いもの(酸化防止剤のHSPのベクトルとオクタデカンのベクトルが似ていない)は早く出てきます。2種類の例外があって、トリアゾール系の酸化防止剤(赤)とヒドロキシベンゾフェノン系(HBP:緑)の酸化防止剤は線からずれます。
トリアゾール系の酸化防止剤は構造の表記が2数種類あります。
左のものは、ベンゼン環を認識できなくなります。

HSPiPではこれらの窒素は “N3res” (Resonance Nitrogen with 3 connections)として認識されます。ところが、1-Methyl Imidazole のオフィシャルな HSPは[19.7, 15.6, 11.2] でdD の値が大きく、 “N3res” のdDのパラメータも大きくなり、しかもそれが3つあるのでトリアゾールの計算値は非常に大きくなり、HPLCのシミュレーションから大きくずれてしまいます。

もし誰かトリアゾール系の酸化防止剤の溶媒に対する溶解度を提供していただければパラメータを改良できます。溶解度の値を頂きました。お礼に、Ver.4が出るまでの間、新しいパラメータをお使いいただくことにしました。ご協力感謝します。

もう一つの例外はオルト位に水酸基を持つベンゾフェノン類です。

これらの酸化防止剤は光により下に示す反応します。
従って、これらが異常なのは、フェノール性の水酸基の水素はケトンに強く束縛され、水酸基としての性質を失っているのではないかと考えられます。
そこで構造式で見るよりも疎水性が高く、オクタデカンに溶解しやすい、RTが遅くなるのでこのようなシミュレーション結果になったものと考えられます。

この結果から、トリアゾール系の酸化防止剤とヒドロキシベンゾフェノン系では修正が必要ですが、Y-MBによるHSP推算はHPLCの結果から見る限りはかなり妥当な答えを出していると考えられます。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

トリアゾール系の酸化防止剤(赤)とヒドロキシベンゾフェノン系(HBP:緑)の酸化防止剤を除いた酸化防止剤のHSPを実際に見てみましょう。緑色の球はオクタデカンを示します。この緑に近いものはRTが長くなります。酸化防止剤のRTが短いものは赤い球、長いものは青い球で表して、長くなるに連れ青色を増やしてあります。球の大きさは分子体積を示してあります。

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばRTがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPower ToolsのSmilesを参照して頂きたい。 他の原子を使う、原子数の制限をあげたバージョンはPowerToolsのページを参照して頂きたい。

一度、HSPが正しく決める事ができれば、それがポリマーに溶けやすいのかどうかはポリマーのHSPと比較すれば分かります。ただし、実際の利用には注意が必要です。
ポリマー中のどこに居てほしいのかも考える必要があります。
ウレタン基のように光に弱い部位のそばに居てほしいのなら、ポリマー全体のHSPと合わせても駄目です。

2011.4.25

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

HSPiPの中にあるポリマーを選んで、これらが酸化防止剤とどのような位置関係にあるか3次元表示してみる。もし、iPadやHTML5対応のブラウザー(Chrome, Safari, FireFox4など)でこのページをご覧であるなら、上にキャンバスが現れるだろう。球をクリックすればポリマーの名前か酸化防止剤の名前が現れる。ポリマーは青い球、酸化防止剤は赤い球で現してある。あるポリマーに近い酸化防止剤はどれか、実際に試してみていただきたい。

 

 

最新のHPLCに関する研究はPower Tools+で紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい。

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