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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#14
バイオ・化粧品:香りとハンセン溶解度パラメータ(HSP):カルフォニア工科大学で行われている、”人工の鼻”プロジェクトでは、ある香り物質があるポリマーに溶解し膨潤したときに、その膨潤の度合いを電気信号に変換し匂いを検出する。そのようなポリマー電極を数種類用意し、ニューラルネットワークを用いて電気信号のパターンから香りを判別する。それでは、どのようなポリマー電極を用意すればいいだろうか? 花の香りのHSPを自己組織化マップすることによって、ポリマーのHSPを検討してみた。

2010.3.24

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

コンピュータを使った香りの設計

香りをコンピュータが理解するには?
花の香りに関する非常に良いホームページがある。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/iromizu/hana_kaori_for_so-net.html

その中に次のようなテーブルがあり,どの花にどんな成分が含まれているかが記述されている。(◎: 香りを特徴づける成分  □ : 香りの主成分)

Compounds A B C D E F G H I J K L
β-Phenylethyl alcohol
Geraniol
Nerol
Citronellol
Linalool
Farnesol
Rose_oxide
Damascenone
Damascone
Benzyl acetate
Linalyl acetate
Benzyl alcohol
cis-Jasmone
Indole
Methyl anthranilate
Methyl jasmonate
Jasmin lactone
Methyl benzoate
Benzyl Benzoate
Anis aldehide
Nerolidol
Eugenol
Citronellyl acetate
Ionone
Decalactone
Linalool oxide
Hexenol
Cinnamic alcohol
Benzyl salicylate
Camphor
Terpineol
Terpinene
Pinene
Ocimene
Benzaldehide                      

A: バラ B: ジャスミン C: ジョンキルすいせん D: 橙花 E: 月下香 F: イランイラン G: キンモクセイ H: カ-ネ-ション I: ラベンダ- J: ライラック K: すずらん L: くちなし
A: rose B: jasmine C: narcissus D: Ixora E: tuberose F: ilang-ilang G: orange-colored olive H: carnation I: Lavender J: Lilac K: majalis L: Common gardenia

このようなデータに対して,まず化合物のHansen Solubility Parameter (HSP:ハンセンの溶解度パラメーター)を推算する。我々の香りに対する基本的な考え方は,嗅覚細胞に対する化合物の"溶解"があって初めて匂いを感知できる。従って,HSPのベクトルは花の香りを識別するのに非常に適していると考えられる。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

 

Compound Smiles HSPD HSPP HSPH
β-Phenylethyl alcohol OCCc1ccccc1 18.8 7.6 13.0
Geraniol CC(C)=CCC/C(C)=C/CO 16.3 4.1 11.3
Nerol C\C(C)=C\CCC(\C)=C\CO 16.3 4.1 11.3
Citronellol OCC[C@H](CC/C=C(/C)C)C 16.1 4.8 10.8
Linalool O[C@](/C=C)(C)CC/C=C(/C)C 16.0 4.0 9.9
Farnesol OCC=C(CCC=C(CC\C=C(/C)C)C)C 16.3 4.0 9.3
Rose_oxide O1C(\C=C(/C)C)CC(C)CC1 16.9 4.4 5.5
Damascenone O=C(\C1=C(\C=C/CC1(C)C)C)/C=C/C 17.4 4.9 5.3
Damascone O=C(/C=C/C)C1C(=C/CCC1(C)C)\C 17.1 5.7 5.8
Benzyl acetate CC(=O)OCc1ccccc1 18.2 7.3 6.4
Linalyl acetate C\C(C)=C\CCC(C)(C=C)OC(=O)C 15.7 3.7 5.4
Benzyl alcohol OCc1ccccc1 19.1 6.7 14.2
cis-Jasmone O=C1\C(=C(/CC1)C)C\C=C/CC 17.0 5.2 5.1
Indole C1(C=CC=C2)=C2NC=C1 19.8 8.1 9.2
Methyl anthranilate O=C(OC)c1ccccc1N 18.7 10.7 10.6
Methyl jasmonate O=C(OC)C[C@H]1[C@@H](C(=O)CC1)C\C=C/CC 17.1 4.9 7.3
Jasmin lactone O=C1OC(C/C=C/CC)CCC1 17.2 4.1 5.6
Methyl benzoate O=C(OC)c1ccccc1 18.5 7.9 6.4
Benzyl Benzoate O=C(OCc1ccccc1)c2ccccc2 19.4 5.2 4.5
Anis aldehide COc1ccc(C=O)cc1 19.2 13.3 9.1
Nerolidol O[C@](\C=C)(CC/C=C(/CC/C=C(\C)C)C)C 16.1 1.9 7.8
Eugenol Oc1ccc(cc1OC)CC=C 18.1 7.1 11.6
Citronellyl acetate O=C(OCCC(CC/C=C(\C)C)C)C 16.2 2.4 5.6
Ionone O=C(\C=C\C1C(=C/CCC1(C)C)\C)C 17.1 5.7 5.8
Decalactone O=C1O[C@H](CCCCCC)CC1 16.8 11.0 4.9
Linalool oxide OC1CCC(OC1(C)C)(\C=C)C 15.9 7.6 9.3
Hexenol CC\C=C/CCO 16.0 6.7 13.4
Cinnamic alcohol OCC=Cc1ccccc1 18.6 5.6 12.7
Benzyl salicylate O=C(OCc1ccccc1)c2ccccc2O 19.1 8.2 11.0
Camphor O=C1CC2CCC1(C)C2(C)C 17.3 10.0 4.9
Terpineol OC([C@@H]1C/C=C(/C)CC1)(C)C 17.5 4.7 9.8
Terpinene C\1=C(/C)C/C=C(/C(C)C)C/1 16.9 2.5 3.4
Pinene C\1=C(\C2CC(C/1)C2(C)C)C 17.4 3.0 3.2
Ocimene C=C\C(=C\C/C=C(\C)C)C 15.8 3.2 4.7
Benzaldehide O=Cc1ccccc1 19.3 11.1 6.0

HSPは分子の構造の線形表記であるSmilesの構造式があればすぐに計算できる。

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。

PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。

表中のSmilesをコピーし、Y-MBにペーストし計算ボタンを押して計算結果を上の表に戻した。 つぎにこのHSPの値を使ってSOM(自己組織化マップ)法を使って解析をする。各々の成分は40*40のマトリックスの1点にマッピングされる。そして,似たベクトルは似た位置にマッピングされる。

SOM: Self Organization Map Neural Network 
(N次元のベクトルを2次元にマップする方法)

HSPのような多次元ベクトル(分散項、分極項、水素結合項+体積など)が溶媒の数だけあったときに、その多次元ベクトルが似ているものは似た2次元位置に配置したい。3次元までは実際の3次元位置に配置すれば、どれとどれが近いかは簡単にわかる。SOM法を使うと、自己組織化をおこし、自ずから似たベクトルが集まってくる。2次元中のある領域に集まったベクトルは、似たような性質をもつと考えられる。

PirikaのSOMを表示するJAVAアプレットのデモ、SOMDemoはこちら

円で示したのは花の香りで重要な成分である。

各花が持つ成分だけを囲むパターンを作って見ると,代表的なものは次の5パターンになる。こうしたパターンで花の"香り"を"見る"と大きく異なっている事がわかる。これなら,本物の鼻でも匂いを識別できるだろう。カルフォニア工科大学で行われている"人工の鼻"のプロジュエクとは香りを吸着する数種類のポリマーとポリマーが香りを吸着した時の変化を電気信号に変えるセンサーからできている。ある香りのHSPと同じHSPを持つポリマーはその香りが溶解しやすい。香りがこのようなパターン化されればコンピュータでも識別できる。

橙花,ジョンキル水仙,ジャスミンのパターンは似ている。 ジョンキル水仙は単純だけど, 橙花とジャスミンは複雑な構成になっている。

月下香とイランイランのパターンは非常に良く似ている。どちらも花としてはなじみがないので,区別がつかないかもしれない。

ラベンダーとくちなしはどちらも強い香りをもっている。基本成分はそのままに,例えばラベンダーにクチナシを特徴づける,Methyl Anthranilateを混ぜたらどんな匂いになるのだろうか? 興味は尽きない。

すずらん,バラ,ジャスミンは3大香料として有名である。パターンは大きく異なるし,使っている成分も近くはあるが微妙にずれている。

月下香は(橙花+バラ+ジャスミン)をたして3で割ったようなパターンになっているというのは考え過ぎだろうか?

このパターンを電気信号に変える事ができれば、Electric-Noseを作る事ができる。そこで、このSOMの分類から、代表的な領域を抜き出してみる。おおよそ、7種類の領域があると考えてよさそうだ。

後は、香りの成分と同じHSPをもつポリマーを用意して、そのポリマーが香り成分で膨潤するのを電気信号に変えて検出する。下の図で言えば各領域のHSPをもつポリマーをデータベースから検索すると図に示したようなポリマーが候補としてあがる。例えば、こうしたポリマーにカーボンブラックを練りこみ、電極を作る。何も溶けこんでこないときには、カーボンブラック同士は接触していて電気が流れる。しかし、ニオイ成分が溶けこんできて膨潤すると、カーボンブラック同士の接触は減りその差が電気信号として観測される。におい物質の溶け込み方はHSPがことなれば異なる。そこで、この7種類の電極からの信号パターンで香りを特徴付けることができる。

環境ホルモンアレルゲン悪臭VOC規制化合物のセンサーを作りたい場合にも考え方は同じだ。

ただし、話はそんなに簡単ではなく、香気成分の沸点は皆異なる。つまり同じ量の香料があっても、蒸気の量は非常に異なる。HSPiPにはRER(相対揮発度)を予測するルーチンが搭載されている。それを使うと酢酸ブチルを1とした時のRERの値が求まる。それを1000倍したものが上の図だ。蒸発しやすい成分のそばにある香気成分はかぶってしまうので、センサーのポリマーの選択には注意が必要だ。

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばRERがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPowerToolsのSmilesを参照して頂きたい。

このセンサーは机上の空論では無く、CALTECHの友人が人工の鼻プロジェクトでやっているやり方だ。

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