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27-May-2017

アプリケーション・ノート#5
分析:高速液体クロマトグラフィーとハンセン溶解度パラメータ(HSP):HPLCのリテンション・タイムを分子の構造式のみから予測するには、カラムの固定相への溶解と移動相への溶解をハンセンの溶解度パラメータを用いて評価すれば良い。基本原理は液液抽出と同じだろう。分子の大きさ用いた補正が有効であった。保持時間の分解能をあげる為の溶媒選択は?を考察します。Rohrschneiderの極性パラメータを解析。

2009.9.9

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

この記事に関しての詳しい内容は
化学工業社、化学工業2010年9月号をご覧ください。ここには抜粋のみ置きます。

HPLCの保持時間とハンセン溶解度パラメータ

ある化合物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析したとき、化合物がどの順番に検出されるか、予想がつきますか?

例えばフェノール性の酸化防止剤を9つ、HPLC分析した場合、下のようなチャートが得られます

LC/MSなどをとって標準チャートと比較すれば、どのピークがなんであるかは分かると思いますが、何故3番(TBHQ)と5番(BHA)で溶出位置がこんなに違うのでしょう?

我々はその原因を”溶解度”だと考えています。HPLC分析で一番多く使われているカラムはODSカラムでしょう。これは微細なシリカゲルの表面をオクタデシルシランで修飾したものです。ここに溶離液に溶かした試料を流します。すると、オクタデシル基に溶けやすいものは、カラムの充填剤と強く相互作用して遅く出てきます。同時にキャリアーに溶けやすいものは早く出てきます。

それでは、こうした溶解性の大小はどのように評価することができるでしょうか?
溶解度パラメータ(SP値)というのは聞いた事があるでしょうか?

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

特にポリマーの研究分野では一般的なのですが、分析の分野ではなじみが無いかもしれません。概要についてはこちらのページを参照ください。このハンセンの溶解度パラメータというものを使うと、クロマトグラフィーは次のように考えることができます。

クロマトグラフィー

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、3次元のHSPベクトルの類似度で、溶解性を評価します。例えば下の図で、溶質(オレンジ)のベクトルが、有機溶媒のHSPベクトル(青)と水のHSPベクトル(黄色)とどちらに近いかをHSP距離で評価します。HPLCのシミュレーションは、これが横に長くなり、液液抽出が連続的に繰り返されていると考えます。

そこで、溶質のHSPベクトル(オレンジ)が有機相のHSPベクトル(青)に近い場合、なかなか出てこない、つまりリテンションタイムが長くなると判断し、逆に、水のHSPベクトル(黄色)に近い場合、保持時間は短くなると判断します。ここで行うシミュレーションは有機層がオクタデカンとしているので、HPLCカラムとしては、ODSカラム相当になります。また、これまでの検討で、分子の体積の補正が有効であることが解っています。

PirikaのHPLC用混合溶媒を設計するJAVAアプレットのデモ、HPLCDemoはこちら。
HPLC用のパワーツール+はこちらから

まず、最初にやる事は、化合物のHSPを計算します。溶媒のHSP値はポリマーハンドブックなどにも記載されていますし、インターネットを探せば出てきます。しかし、酸化防止剤のHSP値は、まず、出てこないでしょう。そのような場合には、HSPiPというソフトウエアーを使います。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

このHSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

1200を超える溶媒、600を超えるポリマーのHSP値がデータベース化されていますし、もしデータベースに無い構造であっても簡単に推算値が計算できます。ここでは、HSPiPの推算機能Y-MBを使って酸化防止剤のHSP値を計算します。

次に、キャリアーのHSP値と固定相のHSP値を定めます。ハンセンの溶解度パラメータの場合、溶離液が混合溶媒であっても、そのHSPはベクトルの足し算で簡単に計算できます。

混合溶媒のHSP

[dDm, dPm, dHm]=[(a*dD1+b*dD2), (a*dP1+b*dP2),(a*dH1+b*dH2)]/(a+b)

混合比率は体積で計算する。

Pirikaの混合溶媒を設計するJAVAアプレット・デモ、GSDはこちら。
dHをdHdo,dHacに分割した混合溶媒の探索は最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい。

このHPLCのキャリアー溶媒はMeOH/CH3CN/水/CH3COOH=0.2/0.2/0.57/0.03ですので、[15.27, 15.42, 30.196]になります。また固定相はオクタデカンのHSP [16.4, 0, 0]を使うことにします。

次にHSP距離の計算式を使って

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

酸化防止剤とオクタデカンの距離を計算します。

octadecaneからの距離が長くなると、早く流出する事が分かります。HSPの考え方の基本ですが、距離が長いというのは、ベクトルの向き、大きさが違っている事を表します。つまり、octadecaneに溶解しにくいものは早いRetention timeになる事がわかります。

それに対して、分子中にドデシル基やt-Butyl基を持つものなどは、HSPがoctadecaneに近くなり、距離が短く、固定相に溶解しやすいので保持時間が長くなります。

中略

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばRTがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPowerToolsのSmilesを参照して頂きたい。 他の原子を使う、原子数の制限をあげたバージョンはPowerTools+のページを参照して頂きたい。

この事から考えると、もし、似た位置に出てくる化合物のRTをなるべく広げたい時にどんな混合溶媒を使ったらいいか?などの知見も得られます。例えばTHBPとTBHQのリテンションタイムを広げるには、固定相のHSPは同じですから、キャリアーのHSPだけが変えられます。

片方のベクトルに近く、もう片方からは遠いものを選べば、HSPの効果が最大になります。

それでは、 [18.1, 8.8, 20.6]や [16.9,6.4,13.7]といったHSPの溶媒はどうやって手に入れたらいいのでしょうか? HSPiPには”Solvent Optimizer”という機能がついているので、目標とするHSPを入れて計算ボタンを押すだけで、どの溶媒をどんな比率で使ったら良いのかたちどころに計算してくれます。(詳しい説明はこちらを参照してください。)

このように、HSPはクロマトグラフィーの解釈に非常に役に立ちます。
また、こうした結果がリーズナブルな場合、再結晶溶媒抽出溶媒の選択に非常に役に立ちます。

詳しくは、HSPiPに搭載のe-Book 16章をご参照ください。
メカニズムについては,液液抽出に関する記事をお読みください。

2011.11.19

たまたまSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)の勉強をしていたら, Rohrschneiderの極性パラメータというのがある事を知った。

Name Formula SP Rohrschneider polarity Hcode
Acetic acid CH3COOH
12.4
6
5
Acetone CH3COCH3
9.4
5.1
7
Acetonitrile CH3CN
11.8
5.8
10
Carbon tetrachloride CCl4
8.6
1.6
122
Chloroform CHCl3
9.3
4.1
156
Cyclohexane C6H12
8.2
-0.2
181
Dimethylformamide (CH3)2NOCH
11.5
6.4
297
Dimethylsulfoxide (CH3)2SO
12.8
7.2
303
Dioxane C4H8O2
9.8
4.8
306
Ethanol C2H5OH
11.2
4.3
325
Ethyl acetate CH3COOC2H5
8.6
4.4
328
Dichloroethane CH2ClCH2Cl
9.7
3.5
367
Ethylene glycol HOCH2CH2OH
14.7
6.9
368
n-Hexane CH3(CH)3
7.3
0.1
417
Isopropyl ether (CH3)2CHOCH(CH3)2
7
2.4
443
Methanol CH3OH
12.9
5.1
456
Methyl ethyl ketone CH3COC2H5
-
4.7
481
Dichloromethane CH2Cl2
9.6
3.1
524
n-Propanol CH3CH2CH2OH
-
4
569
Isopropyl alcohol CH3CH(OH)CH3
10.2
3.9
570
THF C4H8O
9.1
4
617
Toluene C6H5CH3
8.9
2.4
637
Water H2O
21
10.2
696

当たり前の事だが、 Rohrschneider の極性パラメータとHildebrand SP値には上で示すように相関は無い。

しかしハンセンの溶解度パラメータ(HSP)のうち、dP(極性項) dH(水素結合項)は, Rohrschneiderの極性項と高い相関がある。 その二つを合わせた、 sqrt(dP^2+dH^2) というインデックスはRohrschneiderの極性項と下の図で示すような相関になる。アルコールは (赤四角)は別の線を作るが、それ以外の化合物はかなり高い相関がある事が分かる。ハンセンの溶解度パラメータは混合溶媒でも簡単に計算できるので、任意の混合溶媒のRohrschneider の極性パラメータの概算値を得ることができる。

そのパラメータの利用はこちらを参照(外部参照)にすると良いだろう。

2011.2.22

具体的にはどうやるんだ?というユーザーからの質問が多いので、やり方を記しておきます。まず最初に計算したい化合物のSmilesの構造式を準備する。

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。
PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。

 

例えばChemSpiderのホームページへ行き、CAS番号や名称から検索して、Smilesをコピーし表計算ソフトを使ってまとめておく。

もしくは、PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットHTML5のプログラムを使ってSmilesを得ても良い。そして、以下のようなテーブルを作る。

  name CAS# Smiles
PG Propylgallate 121-79-9 O=C(C1=CC(=C(C(=C1)O)O)O)OCCC
THBP 2,4,5-Trihydroxybutyrophenone 1421-63-2 CCCC(=O)C1=C(C=C(C(=C1)O)O)O
BHA Buthylated Hydroxyanisole 25013-16-5 OC1=CC=C(C=C1C(C)(C)C)OC
HMBP 4-Hydroxymethyl-2,6-di-tert-buthylphenol 88-26-6 OC1=C(C(C)(C)C)C=C(C=C1C(C)(C)C)CO
OG Octyl gallate 1034-01-1 OC(=C(C(=C1)O)O)C=C1C(=O)OCCCCCCCC
BHT Buthylated hydroxytoluene 128-37-0 CC(C=C1C(C)(C)C)=CC(C(C)(C)C)=C1O
DG Dodecy lgallate 1166-52-5 OC(=C(C(=C1)O)O)C=C1C(=O)OCCCCCCCCCCCC
TBHQ tert-Bubylhydroquinone 1948-33-0 OC(C=C1C(C)(C)C)=CC=C1O
NDGA Nordihydroguaiareticacid 500-38-9 Oc1ccc(cc1O)CC(C)C(C)Cc2ccc(O)c(O)c2

そして、HSPiPを立ち上げ、メインパネルのσボタンを押すと、DIYパネルが現れる。そこで、Y-MBタブを選択する。

そこで、テーブルからひとつSmilesをコピーし、テキストフィールドにペーストし、計算ボタンを押す。すると、Y-MBが分子を官能基に分解し、いろいろな物性を計算する。このうち、dD, dP, dHとMVolの値を控えておく。(これを一括でやりたい場合には、DBのインポートの記事を参照していただきたい。)

  RT dD dP dH Vol
PG 2.8 17.5 6 21 166.6
THBP 3.8 17.7 8 18.3 157.7
BHA 7.6 17.4 7 10.8 182
HMBP 8.8 16.8 6 9 240.3
OG 9.4 16.9 3 18.1 249.9
BHT 13.2 16.61 3.28 6.09 241.85
DG 13.5 16.6 2.9 15.7 316
TBHQ 4.3 17.3 7.2 16 161.5
NDGA 6.6 18.8 6.1 17.4 257.1

するとすぐにこのようなテーブルが作れるだろう。次にオクタデカン[16.4, 0, 0]からのHSP距離を求める。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

この距離が短いほどオクタデカンに溶解しやすいという指標になる。

  RT sqrt(4*(dD-16.4)^2+(dP-0)^2+(dH-0)^2) Vol
PG 2.8
21.95
166.6
THBP 3.8
20.14
157.7
BHA 7.6
13.02
182
HMBP 8.8
10.85
240.3
OG 9.4
18.37
249.9
BHT 13.2
6.93
241.85
DG 13.5
15.97
316
TBHQ 4.3
17.64
161.5
NDGA 6.6
19.05
257.1

そして、HSP距離を分子体積で割った値を用意する。

  RT Dis/Vol
PG 2.8 0.132
THBP 3.8 0.128
BHA 7.6 0.072
HMBP 8.8 0.045
OG 9.4 0.074
BHT 13.2 0.029
DG 13.5 0.051
TBHQ 4.3 0.109
NDGA 6.6 0.074

これをプロットすれば下のようなグラフになる。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

 

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFox4などのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。

緑色の球はオクタデカンを示している。どの酸化防止剤がオクタデカンに近いか溶媒をクリックして試してみて欲しい。距離が長いものほど早く流出する。ただし、分子が大きいものはやはり早く流出する。またエステル基などの官能基が入る位置(端っこか真ん中か)によってはHSPは余り変わらなので正しく評価されないことは当然ある。それは今後の課題だ。

以上のように、Smilesの構造式とHSPiPがあれば、すぐにリテンションタイムを溶解度の観点から検討することができる。V3.1.xでは水酸基の取り扱いが変わったので、さらに精度は高くなっていると思われます。そのうちに結果も改訂します。

酸化防止剤のHPLC
可塑剤のGC、HPLC

2012.1.9

カラムをODSから変えた場合には、こう単純にはいかないだろう。自分だけのより精度の高い式を立てたいという要望があったので、YMBを使って自分用の式を構築する方法を、自分でやろう(DIY)抽出を考えてみよう、のページにまとめたので興味のある方は参照していただきたい。

最新のHPLCに関する研究はパワーツール+で紹介している。詳細はそちらを参照して頂きたい。

 

 

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