Pirika logo
JAVA,HTML5と化学のサイト

Pirika トップ・ページ


HSPiP Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)HSP統合ソフトの本家HP

ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

代理購入?
英語で諦めていませんか?HSPiPの代理購入なら映像工房クエスチョンへ。すぐにお見積りします。
(日本語ドキュメントサービス中)。Mail

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)
 HSP基礎
 HSP応用
 ポリマー
 バイオ・化粧品
 環境
 物性推算
 分析
 化粧品の処方設計
 その他
 自分でやってみよう

Pirikaで化学
 物性化学
 高分子化学
 化学工学
 分子軌道
 情報化学
 その他の化学
 アカデミア
 DIY:自分でやろう
 プログラミング

雑記帳

Ad Space for you

 

Ad Space for you

 

Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#20
分析:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)と多環芳香族:HSPはグラフェンの溶媒を探索するのにも使われた技術である。それを可能にしたのが、分子のSmiles構造式から官能基のリストを作り、物性推算をするY-MB機能のバージョンアップだ。このバージョンアップの際に、これら多環芳香族のクロマトの結果が検証に役に立った。

2010.10.6

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

ハンセンの溶解度パラメータは、ある化学品がポリマーやレセプターとどのような相互作用をするかを示す指標だ。”似たHSPのものは似たHSPのものに溶解しやすい”というのが基本コンセプトだ。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

1000を超える化合物について、HSPが決められ、HSPiPというソフトウエアーのデータベースにまとめられている。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

データベースにない化合物については、Y-MBという機能を使って、推算を行う。このY-MBはSmiles等の構造式を入力すると、それを原子団に分解し、その原子団の数と他のインデックスを組み合わせて、HSPや他の物性値を推算する。その場合、例えば、その分子を特徴付ける原子団が定義されていない場合には、当然のことながら、推算精度は低くなる。それでは、すべての原子団を定義してしまえば良いではないか?と思うかもしれない。たしかに原子団を増やせば精度は上がるが、逆にパラメータを決定するのに必要なデータ数は飛躍的に増加する。自分の考えでは、重回帰のような計算法でパラメータの数の最低3倍、ニューラルネットを用いる場合には10倍のデータは欲しい。Ver. 3.0.xではすでに167種類の官能基を使っているので、オフィシャルなHSPのデータ値が1200程度ではニューラルネットワーク法で物性を決めるのは非常に危険ということになる。そこで、官能基はあまり増やしたくない。予測精度は上げたいので、どれを使い、どれを削るか、それが推算屋の腕の見せ所になる。

そんな折、多環芳香族の分子の分割法と推算値を見なおして欲しいという要請が舞い込んできた。(今、考えるとすぐにグラフェン関連だなと思いつくが、当時は思いもしなかった)そこで、具体的には、分子のどこから数え始めても、原子団の数に矛盾を来さないように、かつ推算値がとんでもない値を返さないように全面的に見直しを行った。(一番苦労したのは窒素のパラメータの取り扱いであるが)Smilesの式の問題もある。通常の表記ではベンゼン環はC1=CC=CC=C1になるが、レゾナンス(共鳴)表記では、c1ccccc1と元素を小文字で現して、2重結合の=を省略することができる。また、窒素、硫黄、酸素も共役構造を取ることが可能で、そうしたSmilesを分割して、いつも同じ答えを返すプログラムを作成するのは非常に困難であった。(今でも完璧ではない。細かい修正は常に行われている。)そして、分子の分割自体は得られた官能基リストを見ればよいが、その分割方法で良いかどうかを検証するには、クロマトのリテンションと比較するというのが有効だ。

HSPiP version 3 にはガスクロのリテンション・インデックスを推算する機能が搭載されている。 Gas Chromatography Retention Index (GCRIはこちらを参照).
ガスクロのリテンション・タイムはカラムの長さやオーブンの温度、キャリアーのスピードに依存するので推算する事は不可能だ。しかし、リテンションインデックスは
ポリマー部分(PDMS:ポリジメチルシロキサン)への溶解性、PDMSからの蒸発から推算する事が可能だ。
模式図で表すと下のようになる。

今回、多環芳香族のGCRIの結果を入手したのでそれをHSPiPを使って解析してみる。
GCRI for polycyclic aromatic hydrocarbons.

name BP GCRI Hcode CAS#
Naphthalene 220.7 530 91-20-3
Acenaphthylene 279 1402 8961 208-96-8
Fluorene 293.6 1522 877 86-73-7
Acenaphtylene 298.9 1429 8961 208-96-8
Anthracene 337.4 1709 5441 120-12-7
Phenanthrene 337.4 1700 5442 85-01-8
Fluoranthene 375 1960 7768 206-44-0
pyrene 404 2000 7769 129-00-0
benz[a]anthracene 436.7 2327 10515 56-55-3
Chrysene 448 2323 7779 218-01-9
benz[e]acephenanthrylene 467.5 2609 21879 205-99-2
benzo[k]fluoranthene 480 2605 20712 207-08-9
benzo[a]pyrene 495 2679 11548 50-32-8
indeno[1.2.3.-cd]pyrene 497.1 2910 21420 193-39-5
benzo[ghi]perylene 501 2959 21880 191-24-2
Dibenz[a,h]anthracene 524.7 2916 20633 53-70-3

GCRIを計算するのに必要なものは化合物のSmilesの式だけだ。

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。
PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。

スプレッドシートに上のようなテーブルを用意しておく。
そしてHSPiP ver.3 を立ち上げてメニューバーからGCを選ぶ。そしてSmilesをコピーしてテキストフィールドにペーストし、電卓マークの計算ボタンを押すとGCRIの値を得ることができる。

それを実験値に対してプロットすると上のようになる。大きな分子について少し精度が悪いが、これは沸点の推算精度が低い為だと考えている。
実はこの検討はグラフェンなどのHSPの計算精度を上げる為に行われた。
こうした結果がY−MBの推算精度の向上に反映され、グラフェンの溶媒探索に役立っている。


さらにPAHsのHPLCのデータも入手することができた。
HPLC data for PAHs

クロマトグラフィー

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、3次元のHSPベクトルの類似度で、溶解性を評価します。例えば下の図で、溶質(オレンジ)のベクトルが、有機溶媒のHSPベクトル(青)と水のHSPベクトル(黄色)とどちらに近いかをHSP距離で評価します。HPLCのシミュレーションは、これが横に長くなり、液液抽出が連続的に繰り返されていると考えます。

そこで、溶質のHSPベクトル(オレンジ)が有機相のHSPベクトル(青)に近い場合、なかなか出てこない、つまりリテンションタイムが長くなると判断し、逆に、水のHSPベクトル(黄色)に近い場合、保持時間は短くなると判断します。ここで行うシミュレーションは有機層がオクタデカンとしているので、HPLCカラムとしては、ODSカラム相当になります。また、これまでの検討で、分子の体積の補正が有効であることが解っています。

PirikaのHPLC用混合溶媒を設計するJAVAアプレットのデモ、HPLCDemoはこちら。
HPLC用のパワーツール+はこちらから

 

no name Hcode CAS Hcode RT
1 Naphthalene 530 91-20-3 530 2.137
2 1-Methylnaphthalene 500 90-12-0 500 2.882
3 Acenaphthene 8961 208-96-8 8961 3.436
4 Fluorene 877 86-73-7 877 3.761
5 Phenanthrene 5442 85-01-8 5442 4.282
6 Anthracene 5441 120-12-7 5441 5.153
7 Fluoranthene 7768 206-44-0 7768 6.199
8 Pyrene 7769 129-00-0 7769 6.654
9 Triphenylene 9026 217-59-4 9026 7.335
10 Benzo-[a]-anthracene 10515 56-55-3 10515 8.017
11 Chrysene 7779 218-01-9 7779 8.311
12 Benzo-[b]-fluoranthene 21879 205-99-2 21879 9.415
13 Benzo-[k]-fluoranthene 20712 207-08-9 20712 9.96
14 Benzo-[a]-pyrene 11548 50-32-8 11548 10.616
15 DiBenz-[a,h]-anthracene 20633 53-70-3 20633 12.112
16 Benzo-[g,h,i]-perylene 21880 191-24-2 21880 12.634
17 Indeno-[1,2,3-cd]pyrene 21420 193-39-5 21420 13.413

HSPiPにはHPLCのリテンションタイムを推算する機能もあるが、この結果を解析した所、リテンションタイムはほとんど完全に分子体積だけに依存していることが分かった。何故そのような結果になったのかというと、PAHsのHSPはどれもかなり似た値になり、ODSへの溶解性にほとんど差が出ないからであると考えている。
こうした分子体積もY-MBを使えば簡単に求まるので、GCRI、HPLCの結果の解釈にHSPiPは非常に有用だと言える。

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばRTがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPowerToolsのSmilesを参照して頂きたい。 他の原子を使う、原子数の制限をあげたバージョンはPowerTools+のページを参照して頂きたい。

 

HSPと分析のトップページへ戻る。

HSPユーザー・フォーラム、トップページへ戻る

 

メールの書き方講座