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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#21
HSP基礎バイオ・化粧品その他:化粧品用の酸化チタンの表面修飾とハンセン溶解度パラメータ(HSP):顔料などの無機物をHSPで扱う時の基本的な方法をTiO2系顔料で説明する。顔料は溶媒中に入れても溶解もしないし、膨潤もしない。そのような時には、例えば懸濁安定性で溶媒を2つのカテゴリーに分け、Sphereプログラムを使いHSPを決定する。表面修飾のやり方によってHSPがどう変化し、懸濁安定性がどうなるか理解する。

2010.3.3

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

酸化チタンの表面修飾に関する非常におもしろい論文があった。
色材協 67[8], 489-495 (1994)
資生堂の研究者の論文で表面修飾したTiO2を様々な溶媒にいれ、その分散安定性からハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を決めていた。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

古い論文なのでHSPを決めるのにTeas Plotを使っている。
そこで、最新のやり方なら、こうした無機物のHSPがどのように求まるのか、例題として解析してみる。

彼らの論文中では、上記のスキームに従ってTiO2の表面を修飾した固体(M-TiO2)を得ている。そしてそのM-TiO2を様々な溶媒中にいれ、分散安定性を評価した。

no name Hcode dD dP dH volume origialTiO2 OH-1 OH-2 OH-3 OH-4
1 hexane 417 14.9 0 0 131.4 1 1 1 1 1
2 diethylether 255 15.49 2.9 4.6 104.7 1 1 1 1 1
3 cyclohexane 181 16.8 0 0.2 108.9 1 1 1 1 1
4 butylmethylketone 474 15.3 6.1 4.1 124.1 4 3 3 2 2
5 methylal 836 19.6 1.8 8.6 89.1 1 2 3 2 2
6 m-xylene 5323 18.4 2.6 2.3 121.3 1 1 1 1 1
7 ethylacetate 269 16.2 5.1 9.2 175.1 3 3 3 4 2
8 benzene 52 18.4 0 2 89.5 1 1 1 1 1
9 chloroform 156 17.8 3.1 5.7 80.5 4 2 2 2 2
10 ethylmethylketone 481 16 9 5.1 90.2 4 3 3 3 3
11 chlorobenzene 148 19 4.3 2 102.1 2 2 3 3 2
12 acetophenone 11 18.8 10 4 117.4 4 3 4 4 3
13 acetone 7 15.5 10.4 7 73.8 1 2 2 2 1
14 2-ethyl-1-hexanol 345 15.9 3.3 11.8 156.9 4 4 4 2 2
15 cyclohexanone 183 17.8 8.5 5.1 104.2 4 4 4 4 4
16 butyronitrile 116 15.3 12.4 5.1 87.9 3 3 3 3 2
17 l,4-dioxane 306 17.5 1.8 9 85.7 2 3 2 2 2
18 diacetonalcohol 209 15.8 8.2 10.8 124.3 4 4 4 4 4
19 l-pentanol 552 15.9 5.9 13.9 108.6 3 4 4 4 4
20 nitrobenzene 531 20 10.6 3.1 102.7 3 2 2 2 2
21 aniline 46 20.1 5.8 11.2 91.6 4 3 2 2 2
22 l-butanol 92 16 5.7 15.8 92 2 4 4 4 4
23 acetonitrile 10 15.3 18 6.1 52.9 4 3 2 2 2
24 ethylcellosolve 376 15.9 7.2 14 97.5 2 4 4 4 2
25 methylcellosolve 380 16 8.2 15 79.3 3 4 4 4 4
26 N,N-dimethylformamide 297 17.4 13.7 11.3 77.4 4 3 3 3 3
27 nitromethane 534 15.8 18.8 5.1 54.1 4 2 1 2 2
28 ethanol 325 15.8 8.8 19.4 58.6 3 4 4 4 4
29 methanol 456 14.7 12.3 22.3 40.6 2 3 3 2 2
30 2-aminoethanol 326 17.5 6.8 18 60.3 4 4 4 2 2
31 water 696 15.5 16 42.3 18 2 1 1 1 1

評価は次の指標で行っている。
1: 30分以内に沈殿し上澄み液は透明になる。
2: 4時間経っても一部懸濁している。
3: 24時間経っても一部懸濁している。
4: 24時間以上懸濁している。

そしてTeas Plotを使って、各TiO2のHSPを決定している。

dD dP dH Ra
original-TiO2 17.02 9.2 13.2 4.87
OH1 17.02 9.2 11 4.08
OH2 16.92 11.8 12.2 4.62
OH3 16.28 8.2 10.8 3.62
OH4 16.38 7.4 12.4 2.85

実験的に無機物分散体のHSPを求めるのは、まさにこの方法を使うのが正しい。ただし、上のTeas Plotを見ても分かるように、クラス4の溶媒を囲む領域は非常に複雑な形になり、これからHSPを決めるのはとても難しい。現在はHSPの値をベクトルに見立てて3次元空間にプロットし、Sphere(球)を求めて解析をするのがHansen先生のやり方である。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。


このSphereモデルでは、良く分散する溶媒のベクトルがすべて球の内側に入り、それ以外のものが球の外に来るような、最小半径の球を求める。そしてその球の中心をM-TiO2のHSPとする。
ここではクラス4の溶媒をScore=1(良く分散する)それ以外の溶媒をScore=0(分散しない)と定め、Sphereを決定した。結果を下のテーブルに示す。

dD dP dH Ra exceptions
original-TiO2 15.14 15.16 5.18 9.65 6
OH1 15.24 6.13 16.77 6.55 1
OH2 15.95 7.10 17.14 7.45 2
OH3 15.42 9.08 13.45 6.04 2
OH4 15.18 8.87 15.03 5.32 2

もとの論文では、オリジナルのTiO2のdHが13.2で最大となっている。
これは考えてみると不思議で、dH(水素結合項)がTiO2の表面をOH基で修飾したら値が小さくなると言っている。自分の結果ではオリジナルのTiO2のdHは5.18で修飾するにつれ値が大きくなる。
dHが一番大きくなるのはOH2である。
これは表面修飾の量が下のテーブルに示すように、側鎖が長くなるにつれ減ることに起因する。

original TiO2

 

OH1

OH2

OH3

OH4

2011.4.22

 

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFox4などのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。もし、溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。
緑の球はこちらで計算した物、水色の球は論文に記載の球。

このSphereモデルは非常に単純で、ある任意の溶媒の分散性が知りたければ、HSPベクトルが球の内側であれば良く分散する、球の外側であれば分散しない,球の表面であれば微妙と判断できる。
この場合はM-TiO2では2個程度の例外が現れる。
OH1の場合、 Cyclohexanoneが例外となる。HSP距離を半径で割った値は1.99と大きく外れるのに、良く分散する。
OH2, OH3の場合は CyclohexanoneとAcetophenoneが例外になる。
OH4の場合は, Cyclohexanoneと Ethylcellosolveが例外になる。

何故、 Cyclohexanoneは例外になるのだろうか?
この CyclohexanoneはオリジナルのTiO2に対しては良分散の溶媒である。

そこで、この現象は次のように考える事ができる。
オリジナルのTiO2の表面にはいくつかの異なった性質の表面が存在する。オーバーオールのHSPは[15.14, 15.16, 5.18]になるが、表面の部分部分は異なったHSPを持つと考えられる。
そこで、オリジナルのTiO2は多くの例外(6個)を持つ。

表面に1−2個水酸基を入れたものは、部分部分すべてが反応してしまうのでは無く、一部反応していない表面が残る。模式図で言えばNの部分は残る。このNの部分のHSPが CyclohexanoneのHSPに非常に近いと考えられる。そこでM-TiO2のHSPに近いものと、 Cyclohexanoneに近いものは分散できる。

OH3, OH4のものは、やはりNの部分が残るので Cyclohexanoneには分散する。ただし、修飾基が長くなった分、保護コロイド的に表面を覆うため、反応は進まなくなり、OHの導入量は上がらない。また、Sphereの半径も短くなる。

無機物や(ポリマーもそうかもしれないが)固体表面に様々な領域がある物質の分散/溶解を考えるのは大変な事ではあるが、HSPを正しく使うとずいぶんとすっきりと分かったような気にさせてくれる。

このM-TiO2は化粧用に使われるものだと思うが、次にはこうした修飾された表面と皮膚との相互作用を考えなくてはならない。もし皮膚のHSPについて知りたければ、HSPiPを購入してe-Bookを読んでいただきたい。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました



こうした解析法は、塗料用の顔料の表面修飾などにも使える非常に応用範囲の広い技術であるので是非活用いただきたい。

注:
この計算には HSP developer version 3.1 を使った.
HSPiP version3 の計算結果とは値が異なる事がある。

顔料の分散性は水素結合項をドナー/アクセプターに分割する方法が有効だ。

 

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