Pirika logo
JAVA,HTML5と化学のサイト

Pirika トップ・ページ


HSPiP Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)HSP統合ソフトの本家HP

ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

代理購入?
英語で諦めていませんか?HSPiPの代理購入なら映像工房クエスチョンへ。すぐにお見積りします。
(日本語ドキュメントサービス中)。Mail

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)
 HSP基礎
 HSP応用
 ポリマー
 バイオ・化粧品
 環境
 物性推算
 分析
 化粧品の処方設計
 その他
 自分でやってみよう

Pirikaで化学
 物性化学
 高分子化学
 化学工学
 分子軌道
 情報化学
 その他の化学
 アカデミア
 DIY:自分でやろう
 プログラミング

雑記帳

Ad Space for you

 

Ad Space for you

 

Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#15
バイオ・化粧品:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)とまたたび:猫がまたたびの匂いを嗅ぐとフレーメン反応(酔っぱらったような反応)をする。これは猫の鼻にあるヤコブソン器官が刺激されるからと説明されている。これを化学品がレセプターへ溶解するといった観点から、他の化合物について考察を行った。実際の匂いという感覚は溶解度だけで決まるわけでは無いだろうが、最初のスクリーニングにはHSPは有効ではないだろうか?

2010.2.5

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

ハンセンの溶解度パラメータは、ある化学品がポリマーやレセプターとどのような相互作用をするかを示す指標だ。”似たHSPのものは似たHSPのものに溶解しやすい”というのが基本コンセプトだ。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

ある所とのコラボで漢方薬、天然由来化合物のHSPのデータベースを作っていた所、マタタビラクトンという化合物が出てきた。ご存知のように、猫がこの匂いを嗅ぐとフレーメン反応(酔っぱらったような反応)をする。興味があったので色々調べてみた。

1:matatabi-lactone Matatabi Fruit (from Wikipedia)

他にどんな匂いに反応するのかをネットで検索してみた。
すると

2:Actinidine
CAS# 524-03-8
Kiwifruit (from WikiPedia)

キウイはマタタビ科の植物なのでこの化合物に対しても、猫は強い恍惚作用を示すらしい。
エステルとアミンの違いはあるが形はよく似ている。

3:cis,cis-Nepetalactone
CAS# 490-10-8
Catnip (from WikiPedia)

イヌハッカはキャットニップ(猫が噛むという意味)ともいう多年草のハーブだ。
これはマタタビラクトンとほとんど同じ構造なので理解しやすい。

その他、センブリ、ミツガシワ、イワイチョウ、ケイガイ(荊芥)などの植物が同じような挙動を誘発するらしい。その他、ネットを調べると、メントール入りのタバコ、石けん(特にすみれの香りのもの)ガム、湿布薬が大好きという飼い主の報告がネットにあった。メントールとガム、湿布薬はメントールに反応しているのでは無いかと思う。

4:menthol
CAS# 1490-04-6
Mint (from Wikipedia)

すみれの香りはヨノンという化合物だ

5:alpha-lonone
CAS# 127-41-3
Violet (from wikipedia)

センブリは分からないが、センブリの有効成分は、Swertiamarinとされている。

これも環状ラクトンなので面白いが配糖体なのでここでは扱わない事にする。(配糖体の扱いはこちらの記事を参照)

そこで、1−5の化合物についてハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を計算してみる。HSPの計算にはHSPiPというソフトを使う。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

化合物のSmilesの構造式を用意すれば、Y-MB機能を使って簡単に計算してくれる。

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。
PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。

まとめると、下の表のようになった。

name dD dP dH Volume
matatabi-lactone 17.6 7.5 5.6 166.7
Actinidine 18.5 4.5 3.1 152.2
Nepetalactone 17.7 7.4 5.6 161.8
menthol 16.7 4.3 9 175.8
alpha-lonone 16.7 4.7 4.8 208.7
Ave.
17.44 5.68 5.62 173.04

値の意味は他の記事を参照していただくとして、ネコが陶酔する化合物のHSPが求まる。
マタタビラクトンとネペタラクトンがほとんど同じHSPと分子体積になるのは当たり前としても他のものも比較的同じような値になる。

2011.4.25

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)がどのくらい離れていたら、似ていなくて、どのくらいなら似ているのかは初心者には判断が付きにくいだろう。もし、iPadやHTML5対応のブラウザー(Chrome, Safari, FireFox4など)でこのページをご覧であるなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。溶媒はHansen博士が最も広くHSP空間にちらばるように選定した85溶媒を3次元にプロットしてある。その一番広い空間上に目的の化合物がどこにプロットされるかで判断してほしい。

HSPの理論は簡単だ。”似たHSPのものは似たHSPのものを溶かす”だ。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

上でいう、球の中心がレセプターのHSPで、そのレセプターに溶けやすいものはHSPが似ているという原理だ。

 

ねこの鼻にあるヤコブソン器官のHSPが[17.4, 5.7, 5.6](化合物の平均値)であったらこれらの化合物が非常に良く溶解するということだ。レセプターと化学品の相互作用は溶解だけでは無いのは当たり前だが、溶解しないことには何も始まらない。まず、大きな領域からの絞り込みには有用であると考えている。

そこで次には、HSPiPのVer.3に搭載されたデータベースサーチの機能を使ってこのようなHSPの値を持つ化合物をサーチしてみる。最大最小の範囲でサーチすると400化合物以上出てきてしまうので、マタタビラクトンとネペタラクトンに近そうなものだけに絞って、かつ分子の大きさも考慮してサーチすると41件の候補があがる。
その中で香料として使われている候補を見てみよう。

NO name CAS# dD dP dH Volume
1 Pulegone 89-82-7 17.3 6.5 5.1 162.5
2 Cis-Jasmone 488-10-8 17.2 6 4.8 173.9
3 verbenone 80-57-9 17.7 7.1 4 153.9
4 mint lactone 13341-72-5 17.9 7.3 5.7 159.5
5 2-isobutyl-3-methyl pyrazine 13925-06-9 17.3 6.2 5.4 163.3
6 wine lactone 57743-63-2 17.7 7.5 5.6 161.9
7 dehydromenthofurolactone 80417-97-6 17.9 7.1 5.8 154.7
8 allyl benzoate 583-04-0 17.9 7.7 4.5 154
9 alpha-isopropyl phenyl acetaldehyde 2439-44-3 17.9 6.8 4.7 168.3

ラクトン環を持ったものは構造がマタタビラクトンとネペタラクトンに近いので、これならネコもたまらないだろう。こうした香料が入っている石けんやら食品にネコがどういう反応をするのか、もし実験をされた方がおられましたらぜひメールをください。

このマタタビラクトンはゴキブリ蚊の忌避剤としても使われるらしい。昆虫の誘引剤、忌避剤に人間に毒の無い香料が使えるのであれば非常に面白い。しかし今のところそうした情報は企業秘密なのかあまりネットでは見かけない。もしそういう研究をされている方がおられたら是非HSPiPを使ってみてほしい。

2010.7.22
なんと、この記事と、蚊の嫌いな匂いの記事に関して、さらに応用をやらして欲しいという話が舞い込んできた。HSPチームとしては、HSPiPを大口購入してくれるユーザー様が、特許、論文で先の応用をやってくれる事は大歓迎ですとお伝えしました。コラボの進展次第ではこのページの記載を一部削除しますのでご了承ください。

 

HSPとバイオ・化粧品のトップページへ戻る

HSPユーザー・フォーラム、トップページへ戻る

 

メールの書き方講座