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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#28

分析ポリマー:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)と可塑剤:高分子、例えばポリ塩化ビニルであれ、ポリ乳酸であれ可塑剤を入れなくては、硬くてボロボロして使いものにならない。HSPは古くからポリマー関係に使われてきたこともあって、可塑剤関連のオフィシャルなHSP値は充実している。従ってGCやHPLCの実測値と比較すると、かなり精度良くリテンションを推算できることがわかる。さらに具体的にニトリルーブタジエン・ゴム(NBR)の可塑剤を、HSPと分子体積の両面から評価してみた。大きな分子のものを使うにしても、あまりNBRとHSP距離が短いと、やはりブリードアウトしてしまいそうである。

2010.4.4

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

GC ,HPLC 高分子用可塑剤 のデータを島津から入手した。これはフタル酸系の可塑剤だ。
これをHSPを使って解析してみた。

クロマトグラフィー

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、3次元のHSPベクトルの類似度で、溶解性を評価します。例えば下の図で、溶質(オレンジ)のベクトルが、有機溶媒のHSPベクトル(青)と水のHSPベクトル(黄色)とどちらに近いかをHSP距離で評価します。HPLCのシミュレーションは、これが横に長くなり、液液抽出が連続的に繰り返されていると考えます。

そこで、溶質のHSPベクトル(オレンジ)が有機相のHSPベクトル(青)に近い場合、なかなか出てこない、つまりリテンションタイムが長くなると判断し、逆に、水のHSPベクトル(黄色)に近い場合、保持時間は短くなると判断します。ここで行うシミュレーションは有機層がオクタデカンとしているので、HPLCカラムとしては、ODSカラム相当になります。また、これまでの検討で、分子の体積の補正が有効であることが解っています。

PirikaのHPLC用混合溶媒を設計するJAVAアプレットのデモ、HPLCDemoはこちら。
HPLC用のパワーツール+はこちらから

 

Hcode name name BP
300 DMP dimethyl phthalate 556.85
258 DEP diethyl phthalate 567.15
59 BBP Benzyl Butyl Phthalate 643.15
221 DBP dibutyl phthalate 613.15
5540 DOP Bis (2-ethylhexyl)phthalate 657.15
305 DNOP dioctyl phthalate 657.15

HPLC のシミュレーションでは、オクタデカン(OD)からの距離が短くなるとリテンション・タイムが長くなるのが再現された。HCode(Hansen Code)が5540のものはオフィシャルのHSP値が無いため推算値であるが、この結果から見るとHSPの推算値は良好のようである。

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばRTがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPowerToolsのSmilesを参照して頂きたい。 他の原子を使う、原子数の制限をあげたバージョンはPowerTools+のページを参照して頂きたい。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

 

GC のリテンション・インデックス(GCRI)シミュレーションでは5540は少し他のものより線の上になった。沸点の推算値があまり良くないのかもしれない。Ver.4での改訂の時には取り込みたいと思う。

このように、GCとHPLCのペアのデータが提供されるとシミュレーションの精度はどんどん高くなる。そして正しいHSP値が得られれば、その可塑剤がどのような樹脂と良く混ざるか、溶解性をあげるにはどのような構造にすれば良いかの知見が得られる。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

他の可塑剤についても提供してくれる所があれば良いのだが。

2011.4.25

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

HSPiPの中にあるポリマーを選んで、これらが可塑剤とどのような位置関係にあるか3次元表示してみる。もし、iPadやHTML5対応のブラウザー(Chrome, Safari, FireFox4など)でこのページをご覧であるなら、上にキャンバスが現れるだろう。 球をクリックすればポリマーの名前か可塑剤の名前が現れる。ポリマーは青い球、可塑剤は赤い球で現してある。あるポリマーに近い可塑剤はどれか、実際に試してみていただきたい。

2010.11.27 追記
ニトリルーブタジエンゴムのHSPを決める時に可塑剤が含まれていたので,それについて記載する。この時の評価はパッキンとしての評価ではあるが,非常に多くの溶媒で評価が行われている。その際に,いくつかの溶媒で,距離が短いのに膨潤しないという溶媒があった。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。


ステアリン酸ブチル,リノレン酸,バルミチン酸などがDist/Rが1以下なので,HSP的には溶解する方向である。ところが◎,◯,B 評価であるので問題なくパッキンとして使える。

Hcode name NBR Score Dist Dist/R Vol
223 butyl stearate ◎ B 0 11.33 0.81 399.3
305 dioctyl phthalate ◎E 9.46 0.68 398.5
603 octadecanoic acid ○ D 12.18 0.87 320.4
545 oleic acid ◎, B, C 13.06 0.94 319.7
7334 linoleic acid ○B 0 12.38 0.89 311.2
7331 hexadecanoic acid palmitic acid 0 12.40 0.89 290.6
7740 1-pentylnaphthalene C 11.07 0.80 206.1
7309 dicyclohexylamine C 11.65 0.84 198.2
528 glyceryl triacetate 0 12.22 0.88 189.0
219 dibutyl ether △ C 12.60 0.91 170.4
267 diethylene glycol monobutyl ether C 12.58 0.90 170.4
8064 alpha-Terpineol 0 12.07 0.87 165.2
1197 Dipentene dl-Limonene ◎○ B 0 11.94 0.86 162.9
900 alpha-pinene ◎○B 0 12.31 0.88 159.0
618 1,2,3,4-tetrahydronaphthalene ○△D 9.64 0.69 136.7
268 2-(2-ethoxyethoxy)ethanol ◎B 0 12.85 0.92 136.3
443 diisopropyl ether 0 12.94 0.93 135.8
1089 Picric Acid (2,4,6-Trinitrophenol) 0 10.70 0.77 130.0

何故そうなるかは,分子体積(Vol)が大きいのでポリマー中に浸透できないのではないかと書いた。そうした化合物の中にDOP,ジオクチルフタレートという,典型的な可塑剤も含まれる。これは,可塑剤と言うものは,ポリマーの中に安定的に存在し,溶出(ブリードアウト)しない事が望ましい。ポリマーの中に安定的に存在するのであればHSPベクトルが近い,HSP距離が短い事が好ましい。さらにそれが溶出しない為には,分子が大きくて,高分子中に存在する自由体積以上である事が好ましい。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

実際のNBRの溶解度試験の溶媒中にある,可塑剤,難燃剤のデータから見てみよう。

Hcode Name NBR
Score
Dist Dist/R Vol
223 butyl stearate ◎ B
0
11.33 0.81 399.3
8153 Decanedioic acid, diethyl ester ×
1
11.70 0.84 269.4
16596 Dioctyl decanedioate ×
1
12.71 0.91 469.2
221 dibutyl phthalate ×E
1
6.59 0.47 267.2
305 dioctyl phthalate ◎E
9.46 0.68 398.5
7334 linoleic acid ○B
0
12.38 0.89 311.2
7331 hexadecanoic acid palmitic acid
0
12.40 0.89 290.6
603 octadecanoic acid ○ D
12.18 0.87 320.4
- 中略
20645 Ethanol, 2-butoxy-, phosphate ×
1
10.17 0.73 398.4
641 Tri-n-Butyl Phosphate ×E
1
10.31 0.74 274.0
653 Tricresyl Phosphate △×E
1
3.82 0.27 316.2

Dist/Rは全て1以下であるのでHSP的にはNBRを溶解する方向だろう。そして分子体積的には最小の物でもジブチルフタレートの267.2で,通常のいわゆる溶媒のサイズの約倍程度の分子サイズをもつ。

HSP距離が短く分子サイズが300以下では溶解する(赤の領域)。
距離が長めで分子が大きければ溶解まではいかない(青の領域)。
ジオクチルセバケートだけが例外になる。
こうした可塑剤は環境ホルモンとしても疑われる為,さらに溶出しないように高分子量化するなどの研究が進んでいる。しかし,分子サイズだけではなく,Dist/Rの指標で0.85以上,1以下の溶解度パラメータに設定するのがポリマーに溶解し,かつ溶出しない可塑剤の設計に重要と考えられる。

2012.5.7

HSPiPの例題にあるネオプレン・ゴムを見てみよう。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

赤色が良溶媒で、青色が貧溶媒を示している。Sphereを2つ探索した結果を示している。良溶媒の領域に青い溶媒が入っているのがお分かりいただけるだろうか? その青い球をクリックしてどんな溶媒だか確認して頂きたい。この表示は溶媒の球の大きさを、分子体積で表現してある。この大きな青い溶媒はHSP的にはポリマーをよく溶解する溶媒である。しかし分子のサイズが大きいためポリマーへ浸透できずに溶解しないと解釈することができる。逆に可塑剤はよく溶解して、かつ、分子が大きくブリードアウトしないという性質が求められる。非常に良い例題だ。

2012.5.31

ブリードアウトしない可塑剤の設計に、オリゴマータイプの可塑剤が設計されている。あるHSPiPユーザーから、そのようなポリマーとオリゴマーのシステムの場合、HSP距離だけで評価するのではなく、ポリマーの溶解球とオリゴマーの溶解球の球同志の重なりで評価したいという相談があった。試しに球の重なりを計算するHTML5のプログラムをパワーツールのプログラムのページに載せたので対応するブラウザーをお使いなら試してみて頂きたい。

 

2012.6.1

海外の可塑剤の設計者から、HSPに加えて粘度の温度依存性を知りたいという要請があった。HSPiPにも25度での粘度を推算する機能は付いているのだが、もっと低温で粘度の低い可塑剤を設計したいらしい。まだ余り精度が出ていないが、無いよりはまし、なので怖いもの見たさのページに載せてみた。

 

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