Pirika logo
JAVA,HTML5と化学のサイト

Pirika トップ・ページ


HSPiP Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)HSP統合ソフトの本家HP

ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

代理購入?
英語で諦めていませんか?HSPiPの代理購入なら映像工房クエスチョンへ。すぐにお見積りします。
(日本語ドキュメントサービス中)。Mail

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)
 HSP基礎
 HSP応用
 ポリマー
 バイオ・化粧品
 環境
 物性推算
 分析
 化粧品の処方設計
 その他
 自分でやってみよう

Pirikaで化学
 物性化学
 高分子化学
 化学工学
 分子軌道
 情報化学
 その他の化学
 アカデミア
 DIY:自分でやろう
 プログラミング

雑記帳

Ad Space for you

 

Ad Space for you

 

Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#43
HSP基礎その他:水素結合項の分割(ドナー、アクセプター):ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)の問題点として、ドナー性/アクセプター性の顔料などの分散性がHSPでは合わないといった指摘がある。HSPiPのV.3.1.xからは水素結合項をドナーとアクセプターに分割した値もサポートされたが、HSP距離の考え方、ハンセンの溶解球の考え方は拡張できずにいる。今後の課題だ。

2010.7.15

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)の問題点として、ドナー性/アクセプター性の顔料などの分散性がHSPでは合わないといった指摘がある。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

そこで、水素結合項をドナー/アクセプターに分割する 試験的な試みが開始された。多くの時間が費やされたが、HSPの距離の取り方、類似度の計算方法など問題が多く残り、一部は宿題になっている。

基本式はトータルの蒸発潜熱と矛盾しないように、
dH2=dHdo2+dHac2  式(1)
を満足する、dHdo:ドナー項、dHac:アクセプター項を計算する。

その際のドナー/アクセプターの比率については、UCL(University College London)のAbraham教授のドナー/アクセプター値を利用し、
dHdo:dHac=Abraham-D:Abraham-A 式(2)

式(1)と式(2)を満足するようにdHdo,dHacを決定する機能をY−MBに搭載した。
HSPiPのV.3.1.Xから利用できる。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

 

ただし、ドナー/アクセプター相互作用が溶解度にどう関わっているか?
それについては、SphereプログラムでSplit dHファンクションを導入して様々に検討を開始し始めたところで、まだ結論には至っていない。

例えば、パッキン用のフッ素ゴムの膨潤性のデータにドナー性とアクセプター性を導入し、SOMを検討した所、強く膨潤する溶媒は2群に分かれた。しかし、dHdo, dHacを2群で比べても特徴的な差は見られなかった。

Hcode name dD dP dH dHdo dHac Vol
6 acetic anhydride 16 11.7 10.2 0.00 10.20 95
7 acetone 15.5 10.4 7 0.12 7.00 73.8
11 acetophenone 18.8 10 4 0.10 4.00 117.4
17 acetylacetone 16.1 10 6.2 0.09 6.20 103.1
25 acrylonitrile 16 12.8 6.8 0.84 6.75 66.2
46 aniline 20.1 5.8 11.2 5.97 9.48 91.6
52 benzene 18.4 0 2 0.00 2.00 89.5
115 gamma-butyrolactone 18 16.6 7.4 0.10 7.40 76.5
122 carbon tetrachloride 17.8 0 0.6 0.60 0.00 97.1
156 chloroform 17.8 3.1 5.7 5.70 0.03 80.5
181 cyclohexane 16.8 0 0.2 0.00 0.20 108.9
182 cyclohexanol 17.4 4.1 13.5 7.17 11.44 105.7
195 trans-decahydronaphthalene 18 0 0 0.00 0.00 159.3
209 diacetone alcohol 15.8 8.2 10.8 3.00 10.37 124.3
254 diethyl carbonate 15.1 6.3 3.5 0.00 3.50 121.7
270 2-(2-methoxyethoxy)ethanol 16.2 7.8 12.6 3.27 12.17 118.2
285 N,N'-dimethylacetamide 16.8 11.5 10.2 0.31 10.20 93
297 N,N'-dimethylformamide 17.4 13.7 11.3 1.02 11.25 77.4
306 1,4-dioxane 17.5 1.8 9 0.00 9.00 85.7
325 ethyl alcohol 15.8 8.8 19.4 11.76 15.43 58.6
328 ethyl acetate 15.8 5.3 7.2 0.00 7.20 98.6
333 ethylbenzene 17.8 0.6 1.4 0.00 1.40 122.8
366 1,2-dibromoethane 19.2 3.5 6.6 2.83 5.96 86.6
385 ethylenediamine 16.6 8.8 17 0.54 16.99 67.3
396 formaldehyde 12.8 14.4 15.4 0.00 15.40 36.9
398 formic acid 14.6 10 22.12 19.86 9.76 37.9
404 furfural 18.6 14.9 7 0.02 7.00 83.2
417 hexane 14.9 0 0 0.00 0.00 131.4
429 isopentyl acetate 15.3 3.1 7 0.00 7.00 150.2
438 isophorone 17 8 5 0.00 5.00 150.3
456 methyl alcohol 14.7 12.3 22.3 13.97 17.38 40.6
464 methyl acetate 15.5 7.2 7.6 0.04 7.60 79.8
467 methyl acrylate 15.3 6.7 9.4 0.03 9.40 90.7
481 methyl ethyl ketone 16 9 5.1 0.06 5.10 90.2
491 4-methyl-2-pentanone 15.3 6.1 4.1 0.04 4.10 125.8
531 nitrobenzene 20 10.6 3.1 0.34 3.08 102.7
598 pyridine 19 8.8 5.9 0.06 5.90 80.9
617 tetrahydrofuran 16.8 5.7 5.7 0.09 5.70 81.9
637 toluene 18 1.4 2 0.02 2.00 106.6
649 trichloroethylene 18 3.1 5.3 4.75 2.36 90.1
659 triethyl phosphate 16.7 11.4 9.2 0.01 9.20 170.8
670 2,2,4-trimethylpentane iso-octane 14.1 0 0 0.00 0.00 165.5
698 o-xylene 17.8 1 3.1 0.00 3.10 121.1
814 p-chlorotoluene 19.1 6.2 2.6 0.03 2.60 119.1
997 2-methyltetrahydrofuran 16.9 5 4.3 0.11 4.30 100.2
1016 ethylacetoacetate 16.5 7.3 8.3 0.00 8.30 127.3
1037 methyl acetoacetate 16.4 8.6 8.9 0.02 8.90 108.3
1043 propionic anhydride 15.8 9 7.7 0.00 7.70 129.4
1145 dimethyl maleate 16.3 8.3 9.8 0.20 9.80 125.5

SOM: Self Organization Map Neural Network 
(N次元のベクトルを2次元にマップする方法)

HSPのような多次元ベクトル(分散項、分極項、水素結合項+体積など)が溶媒の数だけあったときに、その多次元ベクトルが似ているものは似た2次元位置に配置したい。3次元までは実際の3次元位置に配置すれば、どれとどれが近いかは簡単にわかる。SOM法を使うと、自己組織化をおこし、自ずから似たベクトルが集まってくる。2次元中のある領域に集まったベクトルは、似たような性質をもつと考えられる。

PirikaのSOMを表示するJAVAアプレットのデモ、SOMDemoはこちら

 

4次元空間の距離のとり方は、未だに未解決だ。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

いままでの、ハンセンの溶解球も4次元では使えない。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

SOM法で様々に検討し、新しい評価法を創りだそうと検討が進められている。

ヒスタミン受容体拮抗剤アセトアミノフェンの定量的溶解性化合物の皮膚浸透速度などではこのdHdo, dHacが重要な役割を果たしている事が明らかになってきた。そうした4D HSPの取り扱いにはHSPiPだけでは不十分だ。PowerToolsのプログラムで扱っているのでご覧頂きたい

 

湿潤熱法による顔料の 溶液吸着挙動の研究

様々な顔料と溶媒と混合し、そのときの湿潤熱と吸着熱を測定した 関西ペイントの論文がある。著者らはその湿潤熱、吸着熱をハンセンの溶解度パラメータと比較し、水素結合項と高い相関を見いだしている。
そこで、今回開発したdHdo, dHacとこの湿潤熱、吸着熱がどのような関係にあるのかを検討した。

dD dP dH Vol dHdo dHac
diethyl ether 15.49 2.9 4.6 104.7 0 4.6
cyclohexane 16.8 0 0.2 108.9 0 0.2
xylene 17.8 1 3.1 121.1 0 3.1
toluene 18 1.4 2 106.6 0 2
benzene 18.4 0 2 89.5 0.06 1.99
1,4-dioxane 17.5 1.8 9 85.7 0.12 8.99
aniline 20.1 5.8 11.2 91.6 5.15 9.95
butanol 16 5.7 15.8 92 9.63 12.52
propyl alcohol 16 6.8 17.4 75.1 10.3 14
ethyl alcohol 15.8 8.8 19.4 58.6 11.6 15.5
methyl alcohol 14.7 12.3 22.3 40.6 13.4 17.8
propylene glycol 16.8 10.4 21.3 73.7 12.2 17.5
ethylene glycol 17 11 26 55.9 16.2 20.3
Water 15.5 16 42.3 18 38.9 16.6

酸化チタンに対する湿潤熱、吸着熱とdHの関係

著者らは『溶媒のdHが大きくなるとその電子受容性は大きくなり、酸性挙動を示す。逆にdHが小さくなると電子供与性が大きく、塩基性挙動を示す。酸化チタンはdH10付近の酸性溶媒が湿潤しやすく吸着しやすい。そこで酸化チタンは酸性の溶媒と強く相互作用する塩基性顔料である』と結論づけている。
HSP的にはカルボン酸もアミンも大きなdHを持つ。それに対してアルコールのような溶媒も大きなdHを持つが、それをドナー/アクセプターに分解するとdHドナーもdHアクセプターもどちらも大きな値になる。従って、dHドナー、dHアクセプターが10以上の時には、どちらの相互作用で吸着熱が出ているのかが判然としない。

 

キナクリドンAは逆に酸性顔料であるとされている。

dHアクセプター、dHドナーが10以下ではアルコール化合物は存在しない。
従ってこの領域に吸着熱を持つのなら、顔料はdHドナー性を持っていてdHアクセプター性の溶媒を吸着していると理解することができる。吸着熱と比べ、湿潤熱の方は解釈が難しそうである。

 

次の例ではdHのアクセプター性が効いているようだ。

Solubility parameter and oral absorption
European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 48 (1999) 259ー263
Luigi G. Martini*, Paul Avontuur, Ashley George1, Richard J. Willson, Patrick J. Crowley

namme % Oral absorption dD dP dH dHdo dHac
Metoprolol 102 17.59 5.93 9.55 9.30 2.16
Nordiazepam 99 21.33 11.24 1.06 1.02 0.26
Diazepam 97 20.46 8.35 1.46 1.44 0.26
Oxprenolol 97 17.44 6.56 10.86 10.78 1.30
Phenazone 97 18.92 6.67 8.06 8.05 0.21
Alprenolol 96 17.44 5.80 9.57 9.42 1.70
Practolol 95 18.24 9.89 12.81 11.57 5.49
Pindolol 92 18.82 7.57 10.73 9.28 5.40
Metolazone 64 20.81 12.09 9.15 8.89 2.16
Tranexamic acid 55 17.43 6.07 11.81 9.49 7.03
Atenolol 54 18.26 8.59 12.67 11.43 5.46
Sulpride 36 19.36 14.79 11.70 10.98 4.04
Mannitol 26 17.29 17.57 50.02 40.36 29.56
Foscarnet 17 20.65 30.71 47.21 43.49 18.38
Sulphasalazine 12 19.23 12.96 12.17 8.59 8.63
Olsalazine 2.3 17.77 9.52 17.03 8.18 14.94
Lactulose 0.6 18.99 16.61 42.53 35.26 23.78
Raffinose 0.3 18.66 16.34 39.34 32.94 21.50

経口吸収はdHアクセプターと強い相関があるようだ。
これは胃酸との相互作用だろうか?

 

dH項のドナー/アクセプターへの分解は、ちらほら役に立ちそうな結果も出始めている。

しかし、我々自身がこのdHdo, dHacを完全に理解している訳ではないが、HSPiPのver. 3.1.Xに搭載された。ユーザーと協働で理論の構築を進めている。4D HSPの取り扱いにはHSPiPだけでは不十分だ。HSPiP ver.4 には搭載された。PowerToolsのプログラムで扱っているのでご覧頂きたい。

新しいドナー/アクセプター表示のチェックを入れて見ると下のようになる。

4D HSPにフィットする混合溶媒探索も、HSPiP ver.4 には搭載された。

目標値を入れてSearchボタンを押すと結果が表示される。それを全てコピーして表計算に貼付ける。(一部のブラウザーと表計算で、タブや改行コードが正しく機能しない事があるようだ。特にWindowsは\r\nを改行につかっているので問題となる。インターネット標準は\nだ。不具合が出た場合は一旦高機能なテキストエディターにペーストして、そこからコピー、ペーストする。)

 

HSP基礎トップページへ戻る。

HSPのその他のトップページに戻る

HSPユーザー・フォーラム、トップページへ戻る

 

メールの書き方講座