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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#64
ポリマー:ポリビニルピロリドンとハンセン溶解度パラメータ(HSP):ビニルピロリドン(N-Vinyl-2-pyrrolidone) は親水性のモノマーとして知られており、その重合体も親水性になり水によく溶ける。そこで、水に不溶性の物質を乳化させるときなどに、分散安定剤として用いられたり、インクジェット用のインクに混ぜ、ノズルが乾きにくくしたりする用途に用いられる。ポリマーの細胞毒性は非常に低く、切手の糊や化粧品や錠剤(医薬品や食品)の結合剤などにも使われている。この共重合体のSP値を検討した。

2011.2.3

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

ポリビニルピロリドンの共重合体の面白い文献を見つけたので解析してみた。

Solubility Parameters of Cross-Linked Poly(N-Vinyl-2-pyrrolidone-co-crotonic Acid) Copolymers Prepared by g-Ray-Induced Polymerization Technique
Tuncer C¸ aykara
JOURNAL OF MACROMOLECULAR SCIENCE Part A—Pure and Applied Chemistry Vol. A41, No. 8, pp. 971–979, 2004

この論文では、幾つかの共重合体を合成し、様々な溶媒に対する膨潤性を検討している。ホモポリマーの膨潤性とHildebrand SPの相関を見ると、下図のようになる。No.12の溶媒はn-ブタノールになる。彼らはクロトン酸との共重合体を、クロトン酸の量を変え4種類合成し、同じように膨潤度とSP値を検討したが、クロトン酸の量に関わらず、ピーク位置はn-ブタノールのところにきたと報告している。

今回はこの論文をもとに、ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を用いて検討してみた。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

まず最初に下の表に示すような溶媒のHSPの値と膨潤度の値を入れ込んだ表を準備する。

No Name dD dP dH PVP CrA4.6 CrA6.9 CrA10.1 CrA13
1  Benzene  18.4 0 2 4.025 1.036 1.039 1.133 1.333
2  Ethylacetate  15.8 5.3 7.2 4.208 1.036 1.039 1.234 1.047
3  Tetrahydrofuran  16.8 5.7 5.7 4.211 1.386 1.144 1.538 1.511
-
-
-
-
12  1-Butanol  16 5.7 15.8 23.442 17.008 10.991 9.447 8.93
13  1-Propanol  16 6.8 17.4 17.613 15.187 8.445 7.451 7.249
14  Ethanol  15.8 8.8 19.4 15.702 8.111 6.745 6.557 6.459
15  Dimethyl sulfoxide  18.4 16.4 10.2 12.516 10.213 7.221 7.156 7.742
16  Pyrrolidone 18.2 12 9 10.881 9.372 7.586 7.658 6.775
17  1,3-Buthandiol  16.5 8.1 20.9 11.974 8.462 7.901 7.011 7.414
18  Methanol  14.7 12.3 22.3 10.974 10.143 8.532 7.859 7.448
19  Ethanolamine  16.8 6.8 20 9.795 9.863 7.681 7.763 6.873
20  Glycerine 17.4 11.3 27.2 9.163 11.684 8.57 8.264 8.004

一般的には、クロトン酸の含量が増えるに従って膨潤度は下がっているようにも見える。しかし、ピークのHildebrandのSP値が同じなくらいで、あまり明確なことはわからない。

そこで、HSPiPのバージョン3.1.Xに搭載されている定量的なSphereを求めるアルゴリズムを使って、この問題を検討した。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

この定量的なSphereとは、溶解度(膨潤度)などの定量的な値を再現できるように、ポリマーのHSPを求めるアルゴリズムである。
各ポリマーのHSPは以下の表のようにもとまった。

Polymer Crotonic Acid dD dP dH
PVP100% 0 17.4 8.8 14.9
PVP-CrA4.6 4.6 17.4 11.8 16.9
PVP-CrA6.9 6.9 17.8 12.1 17.0
PVP-CrA10.1 10.1 17.8 13.1 17.1
PVP-CrA13 13 17.3 12.7 18.7

クロトン酸の含量が高くなるに連れ、コポリマーのdPとdHは増えることが判る。HildebrandのSP値の結果とは異なる。

HSPの場合、HSP Distance(HSP距離)が短いほど(ポリマーのHSPベクトルと溶剤のHSPベクトルが似ているほど)溶解性(膨潤性)が高くなる。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

 

上の図に示すように、クロトン酸の含量が増えるに従って膨潤度は下がることが判る。しかしこの効果は溶媒によって異なることが示される。青で囲った領域の溶媒の平均のHSPは [17.4, 7.3, 10.8]である。赤で囲った領域の溶媒の平均のHSPは [16.6, 9.8, 18.0]である。青で囲んだ溶媒は、クロトン酸の含量が増えてくると急にポリマーを膨潤させる能力を失っていく。この事は、クロトン酸は水素結合のネットワークを作っており、このネットワークはdHが18と大きな溶媒では切断されるが、10程度の溶媒では切断されないことを示しているのかもしれない。

ちなみに、HSPiPに搭載されている、Classic Sphere(古いバージョンのSphereを決定するアルゴリズム)を使ってCrA 13%の共重合体を計算するとポリマーのHSPは[17, 15.8,19.1] 、相互作用半径は11.65になった。間違って球の中に入ったり、間違って外にいる溶媒は無いが相互作用半径はかなり大きい。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。
PVP単独

 

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。
CrA4.6%

 

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。
CrA6.9%

 

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。
CrA10.1%

 

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。
CrA13%

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFox4などのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。7%以上膨潤する場合に赤い球で示してある。クロトン酸が増えるに従って赤い球が減っていくのが判るだろう。

 

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

新しく、バージョン3.1.xに搭載された、Double Spheresのアルゴリズムを使うと2つの球が求まる。
[17, 12.2, 20] 相互作用半径 8.84 (典型的なアルコールのHSP)
[19.4, 14.9, 5.5] 相互作用半径 5.47 (アルデヒドや酸無水物 ??)

クロトン酸の水素結合ネットワークはdHを酸無水物ぐらいの値まで下げていると考えると合理的かもしれない。

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