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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#41
HSP基礎:ハンセンの3次元球、Sphereの拡張1:HSPを決定するプログラム,SphereはHSPiPの中核となるプログラムだ。様々な成功を収めてきたプログラムであるが,問題点も指摘されるようになった。そこでVer. 3.1.Xにむけて様々な改良が施された。最初に、溶解する量を再現できるように、定量的な球を求めるアルゴリズムが搭載された。この場合のScoreの値は実数が許されている。注意点としては、HSP距離が短いほど、Scoreは大きな値となるように値を入れる。HPLCのリテンションタイムなどは、逆数にして入力する点だ。

2010.7.15

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

この機能については、HSPiP ver.4 で大幅に改良された。パワーツールのY-Fitを利用して頂きたい

まず最初の拡張は,量の問題に関するものだ。
Classic Sphereは溶解する溶媒に1を,溶解しない溶媒に0を入れ,溶解する溶媒が球の内部に入り,溶解しない溶媒が球の外にくるような,半径が最小の球を探索する。従ってどれだけ溶かしたか? の量に関しては何も言えない。実際の例で見て行こう。
Abietic Acid は溶解度が調べられている。

Name dD dP dH Vol g/100CC
HCFC-141b 15.7 4 1 95 1.375
HCFC-225cb 13.1 2.9 1 130.1 1.092
carbon tetrachloride 17.8 0 0.6 97.1 5.0688
chloroform 17.8 3.1 5.7 80.5 172.724
dichloromethane 17 7.3 7.1 64.4 123.798
CFC-113 14.7 1.6 0 119.2 1.2424
tetrachloroethylene 18.3 5.7 0 102.8 115.02
trichloroethylene 18 3.1 5.3 90.1 178.364
1,1,2-trichloroethane 18.2 5.3 6.8 92.9 64.845
1,2-dichloroethane 18 7.4 4.1 79.4 43.75
Acetone 15.5 10.4 7 73.8 18.249
methyl ethyl ketone 16 9 5.1 90.2 28.175
diethyl ether 15.49 2.9 4.6 104.7 57.753
toluene 18 1.4 2 106.6 78.897
1,1,1-trichloroethane 16.8 4.3 2 99.3 94.9696

例えば,溶解度が60g/100CC以上の溶媒のScoreを1として,Classic SphereでHSPを求めて見る。
結果は[18.2, 4.8, 4.4]となる。球の半径は6.15となり,これよりもHSP距離が短い溶媒はScoreが1,つまり良く溶解すると判断される。
Abietic AcidをY−MBで原子団に分解し,HSPを推算すると[17.5, 3.1, 6.3]となり,Classic Sphereで計算したものとそれなりに一致する。

  HSP距離は同じなのに溶解度は大きく違う  

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

この,Classic Sphereの結果をプロットすると上の図のようになる。
HSP距離が6.15より短い時はScoreが1(つまり,60g/100CC以上の溶解度)になる事を示している。
この表現のし方で困るのが,HSP距離と実溶解度に関連が無いことだ。
例えば距離が6.2付近の,Methyl Ethyl Ketone(28.175g/100CC)とTetraChloroEthylene(115.02g/100CC)のように距離が同じでも実溶解度は大きく異なっている。
また,現実問題として困るのが,さらに溶解度の高い溶媒,さらに抽出力の高い溶媒を探したい時に,距離の一番短い(Abietic Acid のHSPに一番近い)1,2-dichloroethaneよりもChloroformやTrichloroethyleneは3倍以上も溶解することだ。

この問題を解決する為に,実溶解度を(平均的に)一番正しく再現できるように球を決定するアルゴリズムを開発した。Quantitative Sphere(定量的球)と読んでいるが名称は、まだ変わる可能性がある。
(先生たちはData モードと呼ぶことにしたらしい。非常に解りにくいと自分は思うのだが。)

求まったHSPは[17.6, 4.1, 5.9]とよりY−MBの結果に近い答えになった。

なるべく実溶解度が直線(logを取る事もできる)に乗るように最適なHSPを求める。すると、ChloroformやTrichloroethyleneの近辺に最も多くの量を溶解する溶媒があることが判る。この違いを実際のハンセンの溶解度球で見てみよう。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFoxなどのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。緑色の大きな球はClassic Sphereで求めたSphere、水色の大きな球は定量的なSphereで、その違いは殆ど無いことが判るだろう。しかしHSP距離と実溶解度は2つのグラフほど異なったものになる。

この例では余り効果が判りにくいかもしれないので,オレイン酸の溶解度の例を示そう。これは溶解度が30g/100CC以上をScore1として計算を行った。

Hcode name dD dP dH ScoreC ScoreAmount
122 carbon tetrachloride 17.8 0 0.6 1 107.712
156 chloroform 17.8 3.1 5.7 1 136.988
534 nitromethane 15.8 18.8 5.1 0 0.6774
456 methyl alcohol 14.7 12.3 22.3 0 24.9956
10 Acetonitrile 15.3 18 6.1 0 0.8646
367 1,2-dichloroethane 18 7.4 4.1 1 32.625
7 Acetone 15.5 10.4 7 0 21.646
570 isopropyl alcohol 15.8 6.1 16.4 1 43.175
481 methyl ethyl ketone 16 9 5.1 0 26.9675
328 ethyl acetate 15.8 5.3 7.2 1 39.688
92 butanol 16 5.7 15.8 1 45.765
255 diethyl ether 15.49 2.9 4.6 1 42.78
148 chlorobenzene 19 4.3 2 1 94.01
181 cyclohexane 16.8 0 0.2 1 62.32
102 butyl acetate 15.8 3.7 6.3 1 42.336
417 hexane 14.9 0 0 0 29.2596
698 o-xylene 17.8 1 3.1 1 77.44
532 nitroethane 16 15.5 4.5 0 2.2946
404 furfural 18.6 14.9 7 0 1.5015

Classic Sphere で計算すると,HSPは[16.9, 0.6, 9.4] 半径9.23になる。
それに対して,Quantitative Sphere で計算すると,[18.7, 1.1, 4.4]になる。

この場合は実溶解度を上げる方向がどちらであるか非常に明確に理解できる。
赤い直線の上の方にずれている3点はアルコールで,それについては別途説明する

この違いを先ほどと同様に実際のハンセンの溶解度球で見てみよう。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

緑色の大きな球はClassic Sphereで求めたSphere、水色の大きな球は定量的なSphereで、今度は随分違うことが判るだろう。一連の溶媒は水色の球の中心から放射状に伸びている事が回転させてみると判ると思う。それによって、HSP距離と実溶解度に相関が生まれる。

アセトンー水の混合溶媒にカプサイシンがどれだけ溶解するかのデータに対してこの手法を使ってみた。混合溶媒のHSPは通常のベクトルの加算を使う。

混合溶媒のHSP

[dDm, dPm, dHm]=[(a*dD1+b*dD2), (a*dP1+b*dP2),(a*dH1+b*dH2)]/(a+b)

混合比率は体積で計算する。

Pirikaの混合溶媒を設計するJAVAアプレット・デモ、GSDはこちら。
dHをdHdo,dHacに分割した混合溶媒の探索は最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい

 

Name dD dP dH Score(mg)
1 18.1 17.1 16.9 0.896
2 17.835788 16.419146 15.893962 2.598
3 17.579272 15.758124 14.917228 6.743
4 17.323692 15.099514 13.944058 9.748
5 17.05961 14.418995 12.938515 13.241
6 16.804316 13.761122 11.966434 16.49
7 16.541924 13.084958 10.967326 17.378
8 16.288164 12.431038 10.001086 17.94
9 16.026344 11.756348 9.004156 17.687
10 15.756152 11.060084 7.975348 17.19
11 15.5 10.4 7 11.4

求まったHSPは[17.9, 13.1, 7.8]となる。Y-MBの値が,[18, 10.5, 12.8]であるので,dHの値が大きく変わってしまっているが,下の図と比べて見ると実溶解度を理解する上ではQuantitative Sphere は非常に判りやすい手法であると言える。

さらに初期値を工夫するなどして,Y−MBの結果にも近く,かつ,実溶解度を再現できるように現在,改良が進められている。また,この方法は,Sphereの半径の概念が無くなった。Distance は溶解度に直結するので,0,1で区切られる境が無くなる為である。大まかには、よく溶解する溶媒の上位1/3ぐらいのところに球を描くと今までの実感と合うようである。

この方法は、溶解度を定性的に扱う(Classic Sphere)か、定量的に扱う(Quantitative Sphere)かの違いなので受け入れやすいと思う。

この機能は、HSPiPのver. 3.1以降に搭載された。GAオプションを選択すると利用できる。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

 

2012.1.9

様々な現象に定量的な解を求めようとする時には、この方法でも十分ではないだろう。全ての現象が溶解度パラメータだけで決まる訳ではない。そうした取り扱いを自分でやってみよう(DIY)で解説した。抽出蒸留の溶媒の探索超臨界CO2抽出などではHSPの3成分が全部効いている訳では無い。自分で係数を定めた方がいい事も多々あるだろう。

 

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