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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#61
ポリマー:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)を使った膜のキャスト溶媒の選択法:パーベーパーレーション膜、ウルトラ・フィルトレーション膜のキャスト溶媒をハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を用いて検討する。水の通り道をグラフトポリマーで設計するなどというときは、ポリマーはミクロには相分離構造をとっていたほうがいいかもしれない。そのような場合の溶媒の設計方法を解説する。

2010.11.19

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

面白い論文を見つけた。

Poly(vinylidene fluoride-co-hexafluoropropene) (PVDF-HFP) membranes for ethyl acetate removal from water
Xiuzhi Tian ∗, Xue Jiang
School of Textiles & Clothing, Key Laboratory of Eco-Textiles, Ministry of Education, Jiangnan University, Wuxi 214122, China Journal of Hazardous Materials 153 (2008) 128–135


Journal of Hazardous Materials 153 (2008) 128–135

SEM pictures of PVDF-HFP membranes’ cross-sections prepared under different conditions.
DMAc, vacuum, 60 °C.

PVDF-HFPのコポリマーをアセトンやDMAcに溶解して製膜して、水から酢酸エチルを取り除く、パーベーパレーション膜を作るというものだ。
論文中ではPVDF-HFPのコポリマーのハンセンの溶解度パラメータの値として[17.2, 12.5, 8.2]を使っているが、参照している論文はコポリマーではなくPVdFそのもので、しかも値は [17.2, 12.5, 9.2]なので間違って引用している。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

 

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

 

またHSP距離として
δiP = [(δpi − δpP)2 + (δdi − δdP)2 + (δhi − δhP)2]1/2 (7)
を使っているがHSP距離の場合はdDの前には4がつくので計算間違いだ。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

 

問題は多い論文だが、取り敢えず、HSPを使った製膜用溶媒の選択法について記しておこうと思う。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFox4などのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。

PVdF系バインダー用樹脂の所でも書いたが、このポリマーは2つの溶解性を持つ。
緑の大きな球[19.1, 15.6, 10.2] 半径 8.45
緑の小さな球[17.5, 6.3, 9.0] 半径 4.63

Hcode Name dD dP dH DistSP-A Dis/RA DistSP-B Dist/RB
417 hexane 14.9 0 0 20.44 2.42 12.15 2.63
181 cyclohexane 16.8 0 0.2 19.09 2.26 10.91 2.36
456 methyl alcohol 14.7 12.3 22.3 15.32 1.81 15.63 3.38
325 ethyl alcohol 15.8 8.8 19.4 13.21 1.56 11.22 2.42
569 propyl alcohol 16 6.8 17.4 12.95 1.53 8.93 1.93
92 butanol 16 5.7 15.8 12.95 1.53 7.46 1.61
182 cyclohexanol 17.4 4.1 13.5 12.44 1.47 5.01 1.08
46 aniline 20.1 5.8 11.2 10.05 1.19 5.67 1.22
                 
                 
                 
11 acetophenone 18.8 10 4 8.38 0.99 6.74 1.46
363 ethylene carbonate 18 21.7 5.1 8.25 0.98 15.92 3.44
584 Propylene Carbonate 20 18 4.1 6.80 0.80 13.63 2.94
115 gamma-butyrolactone 18 16.6 7.4 3.70 0.44 10.47 2.26
617 tetrahydrofuran 16.8 5.7 5.7 11.81 1.40 3.63 0.79
285 N,N'-dimethylacetamide 16.8 11.5 10.2 6.16 0.73 5.52 1.19
521 N-methyl-2-pyrrolidone 18 12.3 7.2 4.97 0.59 6.34 1.37
303 dimethyl sulfoxide 18.4 16.4 10.2 1.61 0.19 10.33 2.23
624 Tetramethylurea 16.7 8.2 11 8.86 1.05 3.19 0.69
416 hexamethyl phosphoramide 18.5 11.6 8.7 4.44 0.53 5.67 1.23
659 triethyl phosphate 16.7 11.4 9.2 6.46 0.76 5.35 1.16
671 trimethyl phosphate 15.7 10.5 10.2 8.50 1.01 5.66 1.22
297 N,N'-dimethylformamide 17.4 13.7 11.3 4.05 0.48 7.75 1.67
183 cyclohexanone 17.8 8.4 5.1 9.20 1.09 4.47 0.97

 

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

いくつかの溶媒をリストアップして、溶媒とポリマーの距離を計算した。この距離が緑の球の半径以下であれば溶解すると予測できる。つまり距離を半径で割った値が1以下なら溶解するはずだ。

PVdFの両方の部分を溶解する溶媒はこの中には無い。
多分、 N,N’-Dimethylacetamide (DMAc) が最もバランスがいいので、論文ではこれを使っているのでは無いだろうか?

2つめの例題

MIT OpenCourseWare
2.500 Desalination and Water Purification

Amphiphilic Graft Copolymers for Nanofiltration Membranes with Tunable Pore Size

MIT(マサチューセッツ工科大学)の資料から取って来た。

このグラフトポリマーのキャスト溶媒はどんなものがいいだろうか?

まず、PEGの溶解度パラメータを決めなくてはならないので、ポリマーハンドブックから溶解性のデータをとってきた。

Hcode Name dD dP dH Vol Score
417 hexane 14.9 0 0 131.4 0
7 acetone 15.5 10.4 7 73.8 0
481 methyl ethyl ketone 16 9 5.1 90.2 0
255 diethyl ether 15.49 2.9 4.6 104.7 0
522 methyl tert-butyl ether 14.8 4.3 5 119.8 0
306 1,4-dioxane 17.5 1.8 9 85.7 0
52 benzene 18.4 0 2 89.5 1
637 toluene 18 1.4 2 106.6 1
456 methyl alcohol 14.7 12.3 22.3 40.6 1
10 acetonitrile 15.3 18 6.1 52.9 1
524 dichloromethane 17 7.3 7.1 64.4 1
156 chloroform 17.8 3.1 5.7 80.5 1
122 carbon tetrachloride 17.8 0 0.6 97.1 1
183 cyclohexanone 17.8 8.4 5.1 104.2 1
202 diethylene glycol dimethyl ether 15.7 6.1 6.5 142.9 1
328 ethyl acetate 15.8 5.3 7.2 98.6 1
617 tetrahydrofuran 16.8 5.7 5.7 81.9 1
285 N,N'-dimethylacetamide 16.8 11.5 10.2 93 1
297 N,N'-dimethylformamide 17.4 13.7 11.3 77.4 1
303 dimethyl sulfoxide 18.4 16.4 10.2 71.3 1
598 pyridine 19 8.8 5.9 80.9 1
1016 ethylacetoacetate 16.5 7.3 8.3 127.3 1

Sphereプログラムを使って計算すると、 [20.0, 11.2, 2.3] 半径 12.2 となった。

N-methylacetamideだけが、PVdFの良溶媒で、PEGの貧溶媒という結果になった。従ってミクロ相分離構造を作りたいならこの溶媒を使うのが良いと思われる。

実際にハンセン空間で見てみよう。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFoxなどのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。緑色の大きな球はPEGのSphereを示している。水色の球はPVdFを示している。どの溶媒が両方を溶かし、どの溶媒がPVdFだけを溶かすか確認してみて頂きたい。

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