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27-May-2017

自分でやってみよう(DIY)医薬品など: EACN (アルカン炭素数との等価性) とHSP

2012.7.7

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師、Dr. 山本 博志

 

EACNに関する面白い論文を頂いた。
(Langmuir 2010, 26(11), 7962–7970)

1977にWadeらはequivalent alkane carbon number (EACN:アルカン炭素数との等価性)概念を発表した。 このパラメータは次元のない数値でオイルの”疎水性”を示している。(Wade, W. H.; Morgan, J. C.; Jacobson, J. K.; Schechter, R. S. Soc. Pet. Eng.J. 1977, 17(2), 122–128) このパラメータは、界面活性剤/オイル/水(SOW)システムから形成されるエマルジョンのタイプと安定性を決定する重要なパラメータだ。以前にはGriffinによって導入されたHLBという指標を使っていた。これは界面活性剤の親水性-脂溶性バランスを特徴づけるのに使われたが、今では時代遅れだ。 オイルのEACNは、同じSOWシステムで良く検証されている直鎖状炭化水素の相挙動と比較することで実験的に決定される。分子の構造からは、非環状、環の数、環の大きさ、枝分かれ、2重結合の数などがEACNに影響を与え、構造から値を推測するのは困難である。しかし、もしそれが可能になったのなら、香水、化粧品、医薬品、ポリマーの乳化重合などへの応用に大きなインパクトを与える。エマルジョンの設計に関しては(HSPiP Teamの)Abbott教授のHP、 Rational formulation of (micro)emulsions を参照するのがいいだろう。

ここでは、HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)ソフトウエアーを使って、EACNを予測するQSPR式を構築してみる。HSPiPにはYMBという、物性推算の機能とトポロジカルな指標を計算する機能が搭載されている。

EACNの値は次のテーブルのようにまとめられる。 最新のYMB ver.3.3を使って、これらの化合物の物性を推算しておく。

Name EACN Alkane Alkene Aromatics Chlorine Other
Benzene 0
Toluene 1
C10Bz 6.2
C8Bz 4.3
C12Bz 7.9
Hexane 6
heptane 7
Octane 8
nonone 9
Decane 10
Dodecane 12
tetradecane 14
Hexadecane 16
octadecane 18
eicosane 20
tetracosane 24
Dibutyl Eth 3.4
TCE 2.9
TriCE -3
CC14 0
CH2Cl2 -13
o-DClBenz -4.9
1,2 DiClEth -12
CHC13 -13
Isopropyl myristate 13
Limonene 2
p-Menthane 6
p-Menth-2-ene 3.3
gannma-Terpinene 1.8
a-Terpinene 1.3
Terpinolene 1
p-Cymene -0.4
Cyclohexane 2.2
methyl cyclohexane 3.2
1,2-dimethyl cyclohexane 3.3
1,4-dimethyl cyclohexane 4.4
Ethyl cyclohexane 4
propyl cyclohexane 5.6
butyl cyclohexane 7
Isopropyl cyclohexane 5.3
C10CyHex 14.4
Dodecyl cyclohexane 17.3
Cyclohexene -1.2
3-methyl-1-cyclohexene -0.1
4-methyl-1-cyclohexene 0.4
1-methyl-1-cyclohexene 0.4
longifolene 6.5
Caryophyllene 5.6
Pinane 4
alpha-pinene 3.4
deruta-3-Carene 2.5
beta-Pinene 2.2

枝分かれの無い鎖状アルカンのEACN値は炭素数と一致する。そこで我々はEACNは大きさの指標かと思ってしまうが、C8BzのEACNが4.3であることが理解できなくなる。つまりベンゼンの部分を無視したとしてもC8アルキル基を持つ訳で小さく見積もっても8以上あるべきでないかと考えてしまう。塩素化合物に至っては値がマイナスになる。EACNがサイズを示す指標でないなら、どのような物性値が効いているのだろうか、変数選択重回帰法を検討した結果、EACNと一番高い相関となる物性値は水への溶解度 (g/100g)の対数値、logSである事がわかった。全部の化合物をいっぺんにプロットすると分かりにくいが、上のテーブルのようなカテゴリー別にするとこの現象を理解しやすい。

青い菱形は鎖状のアルカンと環状のアルカンを示している。これはさらに2つに分けた方が良いかもしれない。鎖状のアルカンだけを見れば、炭素数が増えるにつれ水への溶解度も直線的に減少していく。つまりEACNと水への溶解度は非常にきれいな相関がある。赤四角のアルケン(ここで扱ったものはすべて環状)、緑三角のアルキルの長いもの(ベンゼン、トルエン以外)も最初の鎖状アルカンの直線にほぼ平行なので、EACNと水への溶解度は高い相関があるといえる。それではこれら平行な直線の切片はどう決まっているのだろうか、環状のものほど下にシフトしているので、分子の卵形度が影響しているのだろう。卵形度は分子がおりたたまって、球形(表面積は細小になる)を取った時の比で表す。値が大きいほど球形からずれ、1の時完全球形になる。





含塩素化合物はlogS, Ovalityを使ってもその特異性を表現できない。唯一可能性のありそうな項目は、HansenのdH donor だ。



最終的には変数選択重回帰プログラムは logS, Ovality, molecular volumeとHansen dHdoを選び、得られたQSPR式は以下のような精度でEACNを予測する。



このモデルでは、-5<EACN<5のあたりでは推算精度が低い。これは下のグラフに示すようにYMBのlogS推算精度が低い事に起因しているのかもしれない。

変数選択重回帰法のプログラムは、相関係数が最大になるように自動的に変数を選択するが、本来、ハンセンの溶解度パラメータは組み合わせで意味のある数値になる。そこで 3D-HSP[dD, dP. dH] , 4D-HSP[dD, dP, dHdo, dHac]を使ってモデルを作成してみた。

識別子として, dD, dP, dHdo, dHac, molecular volume, Ovalityを使ったものはlogSを使ったものと比べ若干精度は向上した。3D-HSPを使ったものはlogSを使ったものより精度は低くなった。それはdHdo項が重要な役割を果たしている事を意味している。


以上のように、EACN (アルカン炭素数との等価性) を分子の構造から予測する式を構築した。もし、HTML5に対応するブラウザーをお使いなら、以下のプログラムで実際に計算を行ってみて頂きたい。(Web版は機能制限があります)

分子の描き方、フルバージョンはこちらのページを参照してください

ここで取り扱った化合物で、エーテル、エステル化合物は各々1つだけだ。乳化重合用の界面活性剤選択にはそうした含酸素化合物のEACNが必要になる。そうした値が提供されたらプログラムを拡張しようと思う。

アルコールのデータを頂いたので新しい計算法をHSPiP ver. 4.0.xに搭載した。(2013.1.2)

さらに、エステル、シリコーンのデータが加わったのでHSPiP ver. 4.1.xでアップデートした。(2013.8.18)

 

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