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Last Update
27-May-2017

大きな分子を分割して領域ごとのHSPを見る。

 

2013.1.12

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

色素増感太陽電池、有機EL材料を設計している海外のHSPiPユーザーから同じような質問を何度も受けるので、HPにそのやり方をまとめておく。

元ネタは色素増感太陽電池有機EL材料を参照して頂きたい。

彼らが何を悩んでいるかというと、例えば下図のような化合物(DPP(TBFu)2)のHSPをY-Predict(HSPiP ver.4 のパワーツール)で計算すると、[dD, dP, dH]=[17.7, 0.0, 6.4]になり、特にdPが0.0になるのは信じられないとメールを頂く。計算に誤りがあるのではないか?と言われる。

DPP(TBFu)2 :3,6-Bis[5-(2-benzofuranyl)-2-thienyl]-2,5-bis(2-ethylhexyl)pyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione、

Adv. Funct. Mat. 19, 3063 (2009), HSP determination in Adv. Funct. Mat.1, 211 (2011)には、実験から求めた値として、[19.3, 4.8, 6.3]が記載されているという。

有機EL化合物の場合も同様に、Irの部分が計算できないのはしょうがないが、修飾の仕方を変えた事によって溶解度がどう変わるか、どのように見積もれば良いのか?という質問を受ける。

 

そのような大きな分子をHSPiPで全部計算してしまう事はお勧めしない。(機能的には120重原子まで計算できるが。)それではどのように計算するのかというと、分子を領域にわけ、部分ごとに計算する。

すると、先ほどの分子は3つの領域に分けられ、各々の部分は、オレンジ[19.1, 10.3, 7.3], 青[20.4, 3, 5.8] , 緑[15, 0, 0]になる。オレンジの部分にある窒素にはメチルをつける。それは、N-H と3級窒素で物性は大きく異なるからだ。

これを見れば、実験から求めた値、[19.3, 4.8, 6.3]はどの領域を溶かしているかは一目瞭然だろう。青く塗った領域、[20.4, 3, 5.8]の部分を溶かしているに違いない。それでは、こうした分子の設計はどのように行われているのだろうか? 

Small Molecule Solution-Processed Bulk Heterojunction Solar Cells Bright Walker, Chunki Kim, and Thuc-Quyen Nguyen, Chem. Mater. 2011, 23, 470–482 には、Diketopyrrollopyrrple類としては下記の4種類の構造が記されている。元の化合物は20で、中心骨格は同じなので、窒素についている部分が2−エチルヘキシルからエステル(カルバメート?)に変わったもの(18)、硫黄部分がチオフェンが3つ繋がったもの(18)と、ベンゼン環を介して繋がったもの(21)がある。

そこで、次のものを計算しておけば、ここにある18-21の化合物を評価できる。

それでは、こうしたHSP値があった場合、側鎖を変える事による溶解性はどのように評価できるだろうか?

HSPiP本来の使い方であれば、18-21の化合物を20種類ぐらいの溶媒を使って溶解試験を行い、挟み撃ち法で溶質のHSP値と相互作用半径を決定する。しかし、多くの場合、こうした化合物を合成するのは非常に手間のかかる事なので、コンピュータの計算だけから、おおよその溶解性を見積もりたい事が多々ある。ここでは後者の方法を説明しよう。

HSPiP ver. 4.0のパワーツール、Y-Fitを立ち上げる。そして適用な溶媒、ここではHSPiPの例題(Example)の中にある、Chaptor4.hsdを読み込んでみる。溶媒が3次元座標に読み込まれる。

次に、表示のタブ(青色)を選択する。そこに先に求めておいた中心部分[19.1, 10.3, 7.3]、 硫黄の部分[20.4, 3, 5.8] に適当な半径(6)を入れる。表示したい球にチェックを入れると、緑の球、水色の球、黄色の球が表示される。水色の球と緑の球は一部重なっている事が(回転:マウスボタンを押したまま動かすと)分かる。溶媒の球をクリックすると溶媒名が現れるので、どんな溶媒がどの部分を溶解するか見てみよう。

さらに、t-ブチルエステルの球4にチェックを入れると、マゼンタ色の球が表示される。黄色の2-エチルヘキシル基と比べると、t-ブチルエステル基は中心骨格、 硫黄の部分ともうっすら重なっている事が分かる。こうした球の重なりは、ポリマー同士が混じってIPN構造を作るかどうか、などの検討に使われている。

本来、こうした太陽電池用の化合物は、中心部分が微結晶を作っている事が重要であると読んだ事がある。つまり中心骨格部分は他の中心骨格部分と重なって(スタッキングをおこし)、硫黄部分もスタッキングをおこし、もう一つの側鎖部分は結晶化を阻害しないが溶解性を高く保つのに重要なのではないかと考えられる。硫黄部分を他の2つの構造に変えた時にどうなるかは、自分でやってみて欲しい。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFoxなどのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。

どの溶媒がどの領域を溶解しているかを、溶媒をクリックしながら確認して欲しい。

有機EL材料についても、やることは同じである。中心のIrを除いた領域を計算し、HSPが既知の溶媒とプロットするだけだ。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFoxなどのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。

例えば、この有機EL素材をインクジェットで塗りたいなら、どんな(混合)溶媒をならいいか? このような領域ごとに分けてハンセン空間にプロットすると、見通しが良くなるのがお分かりいただけるだろう。

石炭のような化合物の部分ごとのHSPを検討するという事も行われている。

 

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFoxなどのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。

 

医薬品についてはこちらの記事を参照して頂きたい。

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