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2021.1.23改訂(2019.12.26)
非常勤講師:山本博志
Pirikaでは平均1000人/1日の訪問者がいます。化学系の、特に物性関連の訪問者がいろいろ学んで行っているのだと思います。私は読めば分かるようにサイトを構成しているつもりですが、難しすぎるという意見も頂いています。バランスは非常に難しいです。
大学で学生と次のような議論をした事があります。
「最近の大学受験の塾では、子供はネットで授業を受ける。子供が間違えた問題の類似問題を集中的に解かせることによって、学力の向上が著しくなる。」
これを、大学での授業に使うことに関してどう思いますか?
メリット
デメリット
議論をしても、デメリットらしいデメリットは出てきませんでした。
しかし、説明できないけど「Face to Faceで学ぶのは大事」と学生は捉えていました。
企業でも、e-Learningを導入してネットで学習なども増えてきています。
大学での授業のあり方も考えなくてはならない時代になってきているのだと思いますが、私としては、悩みの尽きない所でもあります。
欠席をした学生に補講するときには、全く別人です。
その時に、学生に聞くと「周りから空気読めないと思われたくないから」と言う返答でした。
PirikaのWebページで学ぶ分には、無料で学べます。
ブラウザーと表計算ソフトとネット・アクセス環境があれば、自習もできるように構成しているつもりです。
大学によっては,横浜国大と単位互換制度があるので,正式に参加できるでしょう。
企業の研究者がFace to Faceで私から学ぶ一番安い方法は,横浜国大の授業に参加(事前に許可が必要になります)することでしょうか?。これまでにも数人参加しました。
あらゆる化学を、情報化学を用いて統合します。
様々な化学を統合するのに必要な学問です。
MOOC(Massive Open Online Course:世界中の大勢の人々が参加できるオンラインのオープン授業)
どちらかと言うと,「教え方を学ばさせて頂いた」と言う感じでしょうか。
最近は国家プロジェクトなどでも、米国の材料ゲノムに対抗して、Materials Informaticsだ、化学*デジタル人材育成だと騒ぎ始めています。
AIが進歩したら、卒業した学生の職がなくなる? そんな危機感も持っています。
その米国の材料ゲノムが始まった年(2011年)から、私は横浜国大で「化学プロセス・シミュレーション」を教え始めました。
最初は5コマで講師が3人だったのですが、途中10コマ、2020年からは16コマ全部を教えることになりました。
試行錯誤はありましたが,学生が身に付けなくてはならないのは「逆設計」と教えるようになってきました。
「化学プロセス・シミュレーション」でやりたい事はなんでしょう?
「こういうプロセスを取ったら、こういう結果になります。実験結果を再現できます。」
そうした順方向を予測するというのが古典的な「プロセス・シミュレーション」でしょう。
しかし、素材産業では、あるプロセスの収率や選択率をさらに向上させるさせるには、どういうプロセスをとれば良いかという「逆設計」の方が重要になる事が多くなってきました。
例えば「毒性が高かったり、引火性があったり、GWPが高い溶媒を、他の溶媒に変えた時のプロセスを「逆設計」するにはどうした良いか?」 と言う問いがあったとしましょう。
「答えは、AIに聞いてください。」なら、大学の授業は崩壊します。
大学の院生レベルが、「AI時代にどう対応して学んでいくか」が大事になるのでしょう。
対象は大学院生レベルですが、社会人の化学系研究者であっても、初心者であれば、まず、MOOCの題材から試して見るのもいいでしょう。
YMB(Yamamoto Molecular Break):物性推算ソフトウエアー
Pythonが使える程度のプログラミング能力を必要とする事が多いようです。
pirikaで提供しているツールはブラウザー上で動作するので、Pythonは必要ありませんが、エクセルの表計算ソフトを使いこなせる技術は最低限必要になります。
MOOCやMAGICIANで学ぶ時のツールは、ハンセンの溶解度パラメータ(HSP: Hansen Solubility Parameters)用の市販ソフト、HSPiPの中のYMB機能を、学生用にチューニングした物を利用しています。
もともとは、分子を原子団に分割するアルゴリズムでしたが、物性推算機能の方が有名になって、YMB=物性推算ソフトウエアーとなってしまっています。
また、HSPiPの中のポリマー物性に関しては、YPB(Yamamoto Polymer Break)、QSAR(Quantitative Structure Activity Relationship)に関しては、YSB(Yamamoto Scheme Builder)がベースになっています。
そこで、HSPの基本を学ぶ事は非常に重要です。
HSPの基本的な事項はpirikaに膨大な資料が置いてありますし、独学でもできるでしょう。
また、有償の講習会も頻繁に行われていますので、そうしたものを利用するのもいいかも知れません。
(そうしたもので基本を学んだ上で、さらに高度な使い方を学びたい方向けに、別途、講習会を行う事も企画しています。)
素材設計やプロセス設計がHSPだけでできる事は稀で、YMB, YPBが吐き出す様々な物性値の利用が欠かせません。 他の識別子作成ツールと組み合わせて、情報を取捨選択しながら、逆設計のスキームをYSBなどを利用して構築して行くと、結果的にHSPが残る事は非常に多いです。
化学系プログラミングは、私の中でも微妙な位置づけです。自分自身プログラミングの専門の教育を受けたわけではなく、40年前のプログラム電卓の時代から、延々と趣味で行って来ただけのものだからです。
専門的なプログラムを学ぶ場を提供するのではありません。
理論式があれば、それをプログラムしたり、システム化できる人はいくらでもいます。
化学のように、かなり「あやふや」で「例外の多い」言語を、プログラムと言う言語に置き換えるのは難しいことです。習うより慣れろでやってみましょう。
Python使って既存のライブラリーを接続したらアプリが完成で、それがプログラミングなら、他所でいくらでも学べるでしょう。化学のビッグデータで、画像認識、翻訳、将棋の自己対戦みたいな事をやりたいならそれで十分かもしれません。
それに限界を感じて一歩踏み出した時に、必要性を再認識すれば良いのでしょう。
MAGICIAN(MAterials Genome/Informatics and Chemo-Informatics Associate Network)養成講座
重合反応、劣化反応などを扱いたく、「ツール」として量子化学を学びました。35年前の個人が持てるコンピュータのレベルでは、MOPAC程度の計算が低分子でやっとできるぐらいでした。
実用的な「ツール」としては、モンテカルロ計算で、様々な共重合によって、どんなシーケンスのポリマーができるか予測してきました。
分子力学計算はかなり大きなものも計算できました。
しかし、パラメータが少なく、私の計算したいポリウレタンなどは計算できませんでした。
できあがったポリマーの溶解性やモルフォロジー解析などに溶解度パラメータも「ツール」として使ってきました。
ポリマーをスケールアップして製造するために化学工学という「ツール」も必須でした。
しかし、企業での研究としては、入社5-6年経つと徐々に高分子系から外れ、後は自己啓発で高分子研究を続けてきました。
最近は、コンピュータやソフトが早くなり、個人で持てるPC程度でもかなりのことができるようになってきました。
モノマーの反応性、開始剤、連鎖移動剤、安定剤などが実用的に計算できる「ツール」も揃ってきました。
企業の研究者だったので、目的は「逆設計」以外、最初からあまり考えていませんでした。
欲しい機能を持つ材料を設計するにはどんな「ツール」が必要か? という事でニューラルネットワーク法を始め、様々な情報科学系の「ツール」も揃えてきました。
ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)も、自己啓発でやってきました。
途中、ガラスの組成設計,イオン液体、フロン代替の設計、気液平衡といろいろな事もやりました。
退職を決めてみると、家のコンピュータには自己啓発の成果の様々な「ツール」と、様々な分野での「経験」が残っています。
物性推算/逆設計と呼んでいた頃から、
Chemo-Informatics,
Materials Genome,
Materials Informatics
と呼び名は変わってきました。
しかし、素材開発でやりたい事は「少ないデータで、高速に逆設計したい」に尽きると、いまだに思います。
MAGICIAN(MAterials Genome/Informatics and Chemo-Informatics Associate Network)養成講座は、使えるものは何でも使って、効率的に仕事をするやり方を学ぼうと言う講座です。
MAGICIAN用の「魔法の杖」を提供しようと言っているのではありません。「ツール」というのはあくまでも道具です。
ただの棒は、杖にもなるし、武器にもなるし、暖炉で燃やす事もできます。
自分の目的に対して、座学ではなく、道具の使いこなし方をハンズオンで理解していきましょう。
対象はどちらかと言うと企業研究者です。
MAGICIAN技術を実用的に使いこなす為には?
それと同じで、「解析のレシピ」があれば、誰でも「コンピュータで材料設計」できるわけではないでしょう。
でも「包丁(=ツール)とは何か」から教える事はしません。
基本をpirikaのページで学んだ上で、さらに”あがいて”もう一歩先に行きたい研究者や教育者向けのページです。
2020年ZOOM授業(▶︎をクリックして開く)
2020.7.8
ZOOM授業も9回終了しました。残すところ6回です。
慣れてみるとオンライン授業も良いものです。
元々「化学プロセス・シミュレーション」という講座自体が、オンライン化するのに適しているからとも言えます。
今年の学生は、それなりに危機感を持った学生、もしくは、もっと単純に情報化学的な研究に将来性を感じる学生が多いようです。
そうした学生と春夏学期が終わった8月以降もZOOM授業を続けようと相談しています。
他にぶつかる授業もないようなので、毎週火曜日16:15からMAGICIAN養成講座を始めようと思います。
2020.5.9
来週から横浜国大のオンライン授業が始まります。
基本的には(ZOOM利用の)Web双方向会議でやりますが,それを録画しておいて,ネットが不調の学生に視聴させるようにと連絡がありました。
でも,おそらく,どちらにしてもサーバー負荷はとても大きくなり,破綻する可能性も高いです。
その時には,一番堅実に学べるようにと,MOOCの部分を書き直して準備してきました。
Pirika.comのMOOC講座のようなオープン・ネタを皆んなで増やして,皆んなで使うぐらいでないと,一人一人の先生の努力では限界がある気がします。。。
2020.4.6
コロナ騒ぎで、大学の授業が5月の連休明けからになりました。状況次第ではさらに延びたり、オンライン授業になるかもしれませんね。(オンライン授業になりました。)イギリスのAbbott教授とも話していますが、この騒ぎの後、大学の講義は劇的に変わると思います。
大教室で大勢の学生相手に「一方通行」講義は、「ビデオに収録すれば、後は何回でも使いまわせる」ことに、大学は気がついてしまったからです。そのビデオが他の大学の先生や個人事業主によって作成されたものでも不都合では無いことに気がついてしまったからです。
講義を行う側からすると、距離を超えて地方や外国の大学の講義を請け負えるということです。
コンテンツ・クリエーターでなければ非常勤講師といえども生き残れない時代が来たということでしょう。
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