私がニューラルネットワーク法にリスキルしたのは1997年

結婚した年だ。NN法とは銀婚式だ。元々は高分子の合成屋。ポリマー合成技術と分子軌道計算だけでは家族を食わしていかれないと一念発起して始めた。37歳だったから遅い方だったのだろう。

会社に入って10年ちょいして敗戦を迎え、デジタル焼け野原で呆然としている方達と同じようなものだ。
25年前はバブルが弾けて、「このままでは」と危機感は高かった。

その時は、つくばの物質研に出向してフロン代替の開発をやっていた。
当時は分子軌道計算を使うのが主流だったけど、物質研あたりには、その専門家はごろごろいる。
しかも、いくらMO計算したところで、沸点すら予測できない。
情報化学にリスキルすることにした。

幸いプログラミングは趣味でやっていたので、元になったプログラムを様々に改造して、化学に特化したNN法に育て続けている。

この「続けている」のが大事だ。
質の高いビッグデータが必須なことは当時から分かっていた。
そして主戦場は、少ないデータから高い予測性能を出すにはどうしたら良いかだった。

それが解決できず、NN法はしばらく冬の時代を迎えた。
サポートベクターマシン、ベイジアンネットいろいろなものが現れて消えていった。
Googleのディープ・ラーニングが猫を認識したのを受けて、またNN法が復活してきたが、さらに、「質の高いビッグデータが必須」になっていった。

まー、化学の領域は相変わらずビッグデータなんて無い。
だから、自分の作ったものを育て続けている。

フロン代替をコンピュータで設計する。
ガラスの組成物をコンピュータで設計する。
高分子をコンピュータで設計する。
薬のコンピュータで設計する。

皆、先に欲しいものがある。
オゾン層を壊さず、地球温暖化に寄与しにくフロン代替。
固体電解質に使えるLi+の拡散係数の高いガラス。

物性推算と逆設計を組み合わせる。そんなのを2001年ごろから発表している。

この頃、やっと満足のいく、少ないデータから予測性の高い式を構築できるようになってきた。
リスキルを始めてから、25年経ってやっとだ。

私の能力が低いから25年もかかったのだろうか?
政府の言う、リスキルを学べば、即成栽培で世界で戦える研究者になれるのだろうか?

彼らの言うリスキルはどうも、単に統計を学び直しなさいって事のように見える。
でも、統計自体は私が学生の時からあったし、最近エポックメイキングな技術が付け加わったわけでもない。

政府を信じて、リスキルして、世界に通用しなくても嘆くことはない。
政府の得意な、「消しゴムで消して」無かったことにすれば良い。

統計は最強の学問である。なぜなら、いくらでも嘘がつけるから。

幸い私の技術はHSPiPに採用されているので、初期の目的は果たした。
子供も成人したし。
また、私の作ったY-MBを入力値に利用したMI/ML/AIがとても増えてきた。
コンサルしている先の若手が育っていくのを見るのは楽しい。

技術は認知されるのにそのくらい時間のかかるものだ。

私のような終わった人間は政府のやっていることを斜め上から見て笑っていても良い。
でも、現役の中堅らは、考えなくてはまずい。
後々政府の政策のせいにしても、誰も助けてはくれない。

中堅を管理する上司は、中堅がpirika.comのオフィスにビジネス相談に行きたいって言ったら、「ネギ背負わせて」送り出してやって欲しい。

そんな中堅がいないで困っているなら、自分で「ネギ持って」お越しください。







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