サイエンスカフェでどんな話をするか

もちろん、ここに書いているのは山本が実行可能なサイエンスカフェのネタで、実際には他の先生もいろいろやるのだと思う。pirikaの記事やブログの中で、この辺りを聞きたいというのがあったら教えてほしいと思う。

・人工知能にXXを教えるというのは?

AIを使ってどうのこうのという話はメディアに溢れかえっている。
でも、人工知能にどうやって教えているのか?を知っている人は意外と多くない。

AIに教えると言っても、色々なレベルや内容があると思うので、ブログに書いてどういうリアクションがあるか調べている。
その1 人工知能ってどうやって学ぶの?と子供に聞かれたら?
その2 人工知能ってどう学習するんだ?って年配の研究者に聞かれたら?
その3 人工知能に教えるって何?って若手に言われたら?
その4 人工知能に嗅覚や味覚を教えるにはどうしたらいいか? って聞かれたら

その1、2では実際にニューラルネットワーク(NN)に学習させて、NNが覚えていくところを体験できる。その1では対象が子供だから科学の話ではない。その2では化学系の研究者、でもデータサイエンス苦手あたりが対象。
その1:その2:その3:その4で読まれる量は、3:4:4:2ぐらいか。
4のように、あまり内容が踏み込みすぎると広くは読まれないので、サイエンスカフェには不向きかもしれない。
意外と子供向きの内容も健闘している。

・アバター・チュートリアルの作り方

アバターがプレゼンする。そんなビデオチュートリアルはどうやって作るのか聞かれることも多いです。まず自分用のアバターを作るところから教えて欲しいと。
まー、そういうのもありかな。。。

・アゲハのだす糸と蚕の糸

何を隠そう、私は定年退職して一番力を入れているのは、アゲハの養育と庭へくる鳥との対話だ。カミさんから言われているのは、鳥やアゲハに話しかけるのは良いけど、彼らから話しかけられるようになったら注意しなさいと言われている。
HSPiP用の新しいパラメータの作成なんか、計算機に放り込んだ後は、1週間単位でかかるから、時間はたくさんある。
アゲハの幼虫の観察日記や、アゲハの出す糸、蚕の糸との違い。
そんな話は、私の趣味としてサイエンスカフェで話したいものだ。

ブログ:アゲハの糸と蚕の糸のハンセン溶解度パラメータ

・SDGs

STEAM@KSPのメンバーで打ち合わせをした時に、最初に出たのは、SDGs関連をやるということだ。
まー、でも、僕はひねくれ者だしな。
カーボン・ニュートラルたって、錬金術でもない限り、地球が生まれてから現在までカーボンはニュートラルだと思っている。

人の呼気にはCO2が含まれ、1年間に400kg吐き出している。
肉を食べれば、その生き物が吐き出したCO2も加算される。
植物を食べれば、炭酸ガスを吸収する分が減る。
でも、今ある生き物で完結しているから、地球の人口が1億でも、70億でもカーボンニュートラルだし、サスティナブル。

そんな筈はない。
地球はそんなに養えない。
ならどうする? 人口を減らす? SDGsは真剣に考えれば考えるほど、残念な話になっていくように思える。

なんか、世界の富の半分を高々100人の富豪が握っていて、そう言う人たちが、残り60億だかの人に、「みんなが蜘蛛の糸をよじ登ったら、蜘蛛の糸が切れて地獄に落ちちゃう。サスティナブルな生き方を考えろ」と上から目線で命令しているだけな気がする。まー自分達はプライベート・ジェットで飛び回っていても、その分、熱帯雨林へ金を出しているから「免責」って思っているのだろうけど。
現代のカンダタ(芥川龍之介の蜘蛛の糸の主人公)を減らすのが一番SDGsだと何故誰も言わない??
電気自動車を作っている多くの会社は、電気自動車で地球環境を守りたいのではなく、自分が大金持ちになりたいのがほとんどだ。
どうやって電気を作るかには関心がない。どんな方法で作った電気であれ、電気自動車は炭酸ガスを出さない。

最近の新聞は、さまざまな分野のマイノリティーの格差是正を取り上げている。
そして識者はここぞとばかりに、税金をつぎ込めという。
このまま、税の負担率(今でも、5公5民?)を上げて皆んなで平等に貧しくなるか?

個人が持っていい財産は、地球市民の平均財産の10000倍までと決めてしまうのが良いのでは無いか?

・脱炭素

不思議な言葉だ。人間は炭素を含む体を捨てて、シリコンのサイバー空間で生きようって言うのか?
脱化石燃料のことを脱炭素と言っているのだろうか?

よくわからないのが、天然ガスというのはどういう分類なのだろうか?
なんとなく、化石燃料というと固体のような印象を受ける。
石油も、石というくらいだから化石燃料に分類されるだろう。

天然ガスというのは、間違いなく化石燃料だ。
ただ、主成分のメタンは、牛の胃袋に棲みついているメタン発酵菌が生産する天然のメタンもある。

そんな事もあり、天然(Natural)だから、イイ物にしておこう、みたいなずるい取り扱いを受けている。

脱炭素なら、天然ガスもダメだ。

ウクライナ戦争で、ロシアがパイプラインを止めた。
EUのエネルギー事情は途端に壊滅した。
やれ、原発を再稼働させるだの、ガソリン車の販売禁止を遅らすだの騒いでいる。
これまで石炭を使う日本をこれだけ叩いてきたのに、目くそ鼻くそを笑うだったのか?
アメリカのシェールガスだって立派な化石燃料だ。

太陽電池、風力発電を使えば脱炭素になる。それはそれで正しい。
でも電気代はとてつもなく高くなる。
考えてみよう。
昼間、太陽が照って、風が吹いている時には、火力発電所、水力発電所は動かす必要がないくらい再生エネルギーがあったとしよう。
夜になったら、発電所動かす?
梅雨で太陽が出ない時は?
結局、1億2千万人の必要な電力を火力発電所、水力発電所で確保しつつ、天候に合わせて、短時間だけ利用する。
そのような使い方をしようとすると、ものすごい高コストになる。故障も増える。

再生エネルギー自体がコストが高いのに、火力発電所、水力発電所を今のレベルで残さなければならないのだから、まー、4-5倍の値段になることを前提に脱炭素した方が良い。
地熱発電は、天気には左右されないので、ベース電源としては優れているかもしれない。(水力発電所は天候不順の影響はある。)

でも、多分、目を塞いでいるだけで、実はみんな認識しているのではないだろうか?
普段は自転車で通うけど、雨の日と自分が飲み会の日には電車とバスは普通に使えるように。
普段は、ペットボトルの天然水を飲むけど、いざという時には水道からも水が出るようにしろ。
というようなものだ。
過疎地の公共インフラを考えればすぐに分かる。

・水素社会

多分、(僕が生きているうちには)来ない。
ある意味、科学者の夢みたいなものが一人歩きしているのだろう。
確かに、昔、原子力発電(これは脱炭素だ)でエネルギーを引っ張り、2080年ぐらいに核融合発電ができるようになり、エネルギー問題解決。
すると、無限のエネルギーで水を電気分解して水素を手に入れることができて、電気と燃料の問題が解決する。
そんな夢物語の、水素の部分だけを使い続けているのだろう。

水を電気分解と言ったって、水には電気は流れない。
海の塩水は電気が流れるが、海の水を電気分解してしまうと、水素と塩素ガスが出てきてしまう。塩素は塩化ビニルの原料などになるが、水素2グラム作ると塩素が71グラムもできてしまう。そんなに使い道がない。
電気分解で酸素と水素を出すためには、水酸化ナトリウムを水に溶かさなければならない。
ところが、この水酸化ナトリウムはどうやって作るのかというと、塩水の電気分解で作るのだ。
海の塩水、原料はいくらでもあるけど、電気を使うから高価だ。

生物なんてすべからく炭素と水素と酸素からできている。
だから、石油やらアルコールの中には水素が入っているので、触媒を使って水素だけ取り出すことができる。とうもろこしを育てて、アルコール発酵させて、そのアルコールを使えばサスティナブルだと言う。

僕はそれは嘘だと思う。
日本の国土を飛行機に乗って空から見ると、唖然とするくらい緑に覆われている。
その緑は太陽光を吸収して炭酸ガスを使って植物の体を作る。
だけれど、畑は違う。黒い土はものすごく太陽のエネルギーを吸収して、水分を蒸発させる。(収穫期の最後は緑に覆われるかもしれないが)
ジャングルの地面に光が届かないような場所を開拓して畑にしたなら、その土地の本来吸収することが可能だった炭酸ガスの量は減るし、土地が熱くなり砂漠化が進行する。
地上が雪に覆われていたとすると、白い色は太陽光をよく反射する。雪が溶けて黒い土が出れば、熱をよく吸収する。温暖化はそうした要因でも進む。
子供の時に虫眼鏡で光を集めて火をつける時、鉛筆で黒く塗ったことはないだろうか?
(まー最近はやらないか)

日本にはとうもろこしを育てるような広大な農地はないからもともと関係ないし。

そこで、こっそり、石油から水素を作ったりして「水素ガスはクリーン」とか言っている。水素ガス自体はクリーンだけど、そのガスの搾りかすは炭素だ。

日本政府は、「水素基本戦略」を改定して、2040年までに水素の供給量を6倍の年1200万トンにするとか言っている。塩素とかどうするのかなと思ったら、「日本独自のクリーン水素」の基準を作るとある。学術会議とか専門家の有識者は何を考えているのかね?
水素を作るときに出てくる(アルコールなどから水素を作ると搾りかすのCO2が出てしまう)、CO2を回収して地中に埋めれば、その水素もクリーンだという、世界標準から外れた概念を作り出している。物笑いの種だ。

それで済むなら、石炭だって燃やして出たCO2を地中に埋めれば、クリーンな石炭だ。
ここで何も言わない専門家は存在価値ない。
これで世界は納得してくれると官僚が思っているなら、その知能を疑う。ま、知らんけど。

水素というのは、小さくて軽くて爆発性の気体だ。拡散が早いので、すぐに爆発限界を越えるだろうが。
実験室でもガスクロなどによく使うが、少し気密が悪いと簡単に漏れてしまう。
そして何よりもエネルギー密度がとても低いのが問題だ。
例えば、燃料電池車のMIRAIは5.6kgの水素で、141Lのタンクが必要だ。
普通のガソリン車なら、10Lのタンクあたり8Kgのガソリンは入るだろう。
つまり同じkgあたりで言えば、15-20倍の容量が必要ということだ。
エネルギー変換効率は高いから5kgもあれば東京ー大阪を往復できるかもしれない。
問題は水素ステーションだ。
タンクローリーの容量は30,000Lに制限されている。ガソリン車なら1000台分運べる。燃料電池車なら50台分しか運べないという事だ。
高圧ガスであることを考えると、多分30台分ぐらいまで減るか。
ということは、今の30倍以上の台数の水素タンクローリーが街中を走って、水素ステーションに水素を充填する事になる。
水素ステーションの数も地下にあるタンクの容量が同じなら、今のガソリンスタンドの数倍必要になる。1日に充填できる車の台数は1/10以下になる。
どうやって社員を食わしていくのだろう?
ガソリンスタンドの設置は公道からの距離や周りの民家からの距離などものすごく規制が厳しい。
パイプラインって言ったって、都市ガスや天然ガスの比ではなく漏洩対策が大変だ。

ということは、水素社会になるというのは、自家用車なんて代物が電気自動車も含めなくなる社会だ。

・合成燃料

EUで内燃機関のエンジンの利用期限が伸びた。ただし、合成燃料を使うのが前提だ。
この合成燃料は、
CO2+4H2->2CH3OH (あれ?炭素の量が合わない。そっかできるものは混合物だ。)
と炭酸ガスと水素からアルコールを作ったものという定義らしい。
アルコールは燃えると炭酸ガスを出すが、炭酸ガスは作るのに使っているから収支は合うのだと。

そうすると、その水素はどうやって手に入れるの?という問題に戻る。

そうした事は、僕が学生だった時に、「石油のなくなった時のためのC1-ケミストリー」とか言って、さんざぱらやっていたような気がする。
時代は回るか。。。

・環境関連

今日(2023.4.11)、ボケボケ、テレビを見ていたら、クローズアップ現代で、PFASをやっていた。PFASというのは、パーフルオロ(PF)オクタン酸(OA),スルホン酸(S)などをいう。PFOs、PFOAなど色々な略し方がある。

オクタンというの、炭素の数が8個のことだ。CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3がn-オクタンになる。パーフルオロというのは、水素がフッ素に変わったものだ。
CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF3がパーフルオロオクタンになる。一般的に炭素数が8以上のものは悪者だ。6以下になるとそんなに悪者ではないが、どうもイメージは悪い。

このPFOの構造は、とても水とは混じらない分子になる。そこにカルボン酸(COOH)とか、スルホン酸(S(=O)2OH)をつけてあげると、その部分はとてもよく水に溶ける部分になる。そうすると、分子の半分がとても水に溶けにくく(油に溶けやすい)半分が水に溶けやすい構造になる。そこで、水と油は混じらないけど、両方の性質を持ったものを入れてあげると、分離しているドレッシングがマヨネーズになる。

そうしたものは界面活性剤と呼ばれる。
家庭の中では、洗剤として油汚れを水に溶かすのに使われる。

使ったことがない人は居ないだろうけど、よく泡立つ。

このよく泡立つという性質を使って、一時期、泡消火器に使われた。
特に軍の戦闘機などからジェット燃料が火を噴いても泡消火器で酸素を遮断すれば火が消えるので重宝した。
これが、沖縄の基地などで漏れ出て水を汚染している。

このものが毒性が高いかどうかについては、未だに結論は出ていない。

問題の本質は、アメリカの国内ではものすごく厳しく規制しているのに、日本の基地の中で漏れたものについては調査を拒否したりしている点だと僕は思っている。

アメリカでは日本の規制値の1/10でもWHOの勧告では日本の規制値の2倍。
もともとパーフルオロは生物不活性で毒にも薬にもならないと思われていた。でも自国で規制するなら、日本の基地でも規制するべきだと思う。

油に溶ける性質は高い。
それが人によっては持病の関係で悪さをすることは明らかになっている。
どんどん使うのを止めればいいのだけど、出てしまったものはなんとかしたい。

活性炭で吸着して取り除いている。頑張ってほしいものだ。

私は、「有機フッ素化合物(PFOs)は活性炭に吸着するか?」というブログを2022.10.2日に書いている。”PFOS 活性炭”で検索して見てほしい。

今回みたいなNHKでの放送があると、このページへのアクセスが急増する。
放送がなくても検索して読んでくれる人が増えると良いのだが。。。

・ESG投資

ESG投資とはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(統治)の頭文字を取り、環境や人権などの社会課題への取り組みを重視した経済活動を行う企業へ、投資しようという動きだ。

環境・人権・社会課題を重視する企業するは持続性が高く、高い収益を得続けられる。だから投資する価値がある。

うーーん。
アメリカの共和党のように、”地球温暖化自体存在しない”と言うなら、温暖化を避ける環境問題へ企業リソースを投入する必要はない。
環境の代わりに、(共和党の強い)農村部と(民主党の)大都市との格差解消の社会問題解決に取り組みます。
と言えば、ESG投資を受けられないのはおかしい。
企業は金儲けをする組織だ。
環境問題と社会問題どちらを選んだ方の持続性が高く、収益が高いだろうか?

スーパーでスティック状の袋菓子が売っている。
昔10本ぐらい入っていたのに、「食べ残し、フードロスの観点」から中身を4本にしたとある。企業の目的は値上げだと思うけど、フードロスを表にすればESG投資に叶うのだろうか?
1本あたりの袋に使っているプラスティックは確実に増えている。
それでも詭弁が通用してしまう。

ドイツなどでは、電気製品売り場では、その商品の値段に加え、平均利用可能年数が表示されていると聞く。値段が高くても長く使えるものを購入したい。そうしたニーズに応える体制が日本にはない。
日本のプリンターなど、本体は1年以上持つようには作られていないのではないかと思う。そのくせ、粗大ゴミの大きさ以下に作ってあるので、すぐ捨てられるのを売りにしている。ゴミの減量に貢献してますってか?

電気冷蔵庫の耐用年数もとても短い。
店では、古いものを買い換えれば、省エネが進んでいるので電気代で2年で元が取れます。と言う。
実は、前の冷蔵庫は20年使い、壊れたので買い替えに行った。
それが新製品で2年で元が取れるのはわかる。
でも、今買ったものは耐用年数は6年以下だという。その時には性能向上でまた2年で元が取れるのだろうか?
日本中で4−5年で皆が冷蔵庫を買い換えるなど環境上あり得ない。

壊れない耐久消費財を作ってしまったら、企業は売れなくなる。売れなくては新製品を開発する力がなくなる。
昔は、日本中に浸透したら、海外に輸出した。全世界を相手に、対象が60倍になるなら耐久性が30倍になっても、新たなニーズは期待できる。
アメリカで日本の自動車が高く評価されたのは、3−40年使っても壊れなかったからだ。
4−5年しか持たない耐久消費財は、省エネで貢献したといっても、ゴミが増えるだけ。
昔の高度成長期、まだ使えるものをどんどん捨てて、新しいものを購入する。
いまだに目指しているものは、その時の夢のようなものか。

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