屈折率の推算法

2024.9.27

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屈折率の推算その2もお読みください。パラメータの意味を詳しく解析しています。

Pirikaで提供するプログラム

2011-2024年横浜国大(YNU)で行なった授業で使ったYNU-YMBを公開した。
重原子は15まで、CHNO以外の原子は1以下。パラメータは2013年のものなので古い。JSMEの使い方はこちらを参照して欲しい。

以降、2011.6.26の古い記述。

YMBシミュレータ(HTML5 プログラム 2011.6.10 web版でPass Codeを持たない場合、重原子4つまでしか計算できません。Pass Codeがあれば、重原子20まで、SやFも使えます。)

シス、トランス化合物はその平均値を返します。
芳香族用のパラメター、ハロゲン化合物のパラメーターは入っていません。
分子の描き方はこちらを参照してください。)

最新の推算方法は、HSPiPに搭載されている。HSPiPに搭載の商用版では、F, Cl, Br, I,S, P, B, Siが使える。芳香族も扱え、最大重原子数は120になる。

プログラムによってんな原子団が使えるかはこちらで確認のこと

原理

屈折率(n)やモル屈折(RD)は分子が光とどのように相互作用するかを示す。屈折率は真空中の光の速さ (c)と媒体中の光の速さ (v)の比で表される。

n = c/v

これは無次元のパラメータで有機化合物の多くは、1.3から1.5の間になる。

屈折率は単色光、典型的にはsodium D line(波長 l = 589.3 nm)の黄色光を使って測定される。そして、n20D のように記載され、これはナトリウムの D線を使って、20°Cで測定されたことを示す。
他の波長としては水素のC線(l = 656.3 nm)もしくはF線(486.1 nm)、水銀のG線( l = 435.8 nm)が使われる。

モル屈折(RD)は、媒体の密度rの関数である。ローレンツーローレンツ( Lorentz-Lorenz)の式はRD、r,nのあいだの関係を電磁気学的な理論に基づいて表す。
RDに関しては屈折率の推算その2で詳細に解説している。

RD =(n2 -1/n2 +2)M/ r

ここで、Mは分子量を表し、RDは体積の単位になる。(固有屈折率はRDをMで割ったものになる)この式を変形すると、屈折率の式になる。

n = sqrt((M+2 r RD)/(M- r RD))

モル屈折や屈折率は多くの用途がある。
分子構造や分子量の決定にはしばしばこれらの値が示され、化合物の同定や化合物の純度の確認に必要とされる。

RDは他の物性推算、例えば臨界定数、表面張力、溶解度パラメータの(分子間力の)推算に使われる。

屈折率nは温度、圧力、測定波長に影響され変わる。RDは温度や圧力によって影響を受けないほとんど定数になる。これは密度が温度、圧力に影響され変わるので相殺されるためだ。

屈折率は圧力の上昇と共に値が大きくなるが、これは密度が高くなるためだ。
この効果は液体では気体ほどの影響はない。

屈折率は波長が長くなるに連れ低くなる。そのため、異なる波長の光で測定された屈折率は比較できない。

推算法

屈折率の推算式は次式が知られている。ここで示したものは既にハロゲン化合物のパラメータを拡張したものだ。

RI1
RI1

これを用いてハロゲン系の化合物を計算すると上図のようになる。

大きくズレるものは、沸点が室温以上なので、加圧した液体の屈折率のデータなのであろう。

それ以外のものは、原子団寄与法で比較的精度高く推算が可能である。屈折率の温度依存性はわずかであるので、温度を変えたときの屈折率のデータは殆ど無い。

推算式の形から言って、この物性も密度などと同様に、分子がおおきくなっても屈折率が増えるわけではない。

そこで単純な原子団寄与法を使うと誤った答えを出すが、幾つかの推算式はそうした推算法を使っているので注意が必要だ。

YMBーシミュレータでは屈折率と分子体積をかけたものを、原子団寄与法で推算している。(最新のY-MBでは推算方法を変えた、2024.1)

RI1

幾つかの化合物については、(データは明記されていないが)明らかに融点が非常に高い化合物で、固体のデータがおかしな結果を与えている。この推算式は常温常圧で液体の屈折率のみが推算できると考えていただきたい。

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