2011.6.1
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最新の推算方法は、HSPiPに搭載されました。
- HSPiPの機能概要
- HSPiPの購入方法
プログラムによってどんな原子団が使えるかはこちらで確認のこと
(YMBというのは、HSPiPというハンセンの溶解度パラメータを取り扱うプログラムパッケージの、物性推算を取り扱うプログラムだ。先生の許可のもと、関係者、学生、及び一部のHSPiPユーザーにフィードバックを条件に利用していただいている。)
パスコードを入力して分子構造を描きPropertiesのボタンを押すとこれらの物性を計算する。パスコードを持っている場合には、S, F, Clまで重原子数20まで計算できる。使い方はこちらを参照して頂きたい。 水素はプログラムが自動的に付加して計算を行う。
この結果をテキストエディターなどにコピーペーストして利用する。温度の依存項は沸点が室温以上の時だけ出力される。出力される情報を詳しく見てみよう。
Functional Group List(分子中にどんな官能基が何個入っているか、この例はアセトン)
CH3 2
C:O 1
Vapor Pressure related properties(蒸気圧関連物性値)
Boiling Point Estimation =318.02 kelvin (沸点の推算値)
=44.87 Celsius
Antoine Parameters AntA = 7.1316 AntB= 1143.18 AntC= 224.06(アントワン定数の推算値)
log(P[mmHg])=A-B/(T[Cellsius]+C)
Critical Temperature (Tc) =500.68 Kelvin (臨界温度の推算値)
=227.53 Celsius
Critical Pressure (Pc) =4.838 Bar (臨界圧力の推算値)
=3629 mmHg 1Bar=0.986976785*760.0mmHg
=3.5598 log(mmHg)
Paste to Spread Sheet (温度と蒸気圧のテーブル、Excelなどにペーストして使う。蒸気圧の推算法)
temp(Celsius) | Cox Temp. | log(Press[mmHg]) |
25 | 160.5 | 2.542 |
26 | 163.6 | 2.56 |
27 | 166.5 | 2.578 |
28 | 169.5 | 2.596 |
29 | 172.4 | 2.614 |
30 | 175.4 | 2.632 |
31 | 178.3 | 2.65 |
32 | 181.1 | 2.667 |
33 | 184 | 2.685 |
34 | 186.8 | 2.702 |
35 | 189.6 | 2.719 |
36 | 192.4 | 2.736 |
37 | 195.2 | 2.753 |
38 | 197.9 | 2.769 |
39 | 200.7 | 2.786 |
40 | 203.4 | 2.802 |
41 | 206.1 | 2.819 |
42 | 208.7 | 2.835 |
43 | 211.4 | 2.851 |
44 | 214 | 2.867 |
44.9 | 216.3 | 2.881 |
227.5 | 501.9 | 4.6 |
Properties for Extraction,
Gas Absorption(抽出やガス吸収に必要な物性値)
logP, logKow Octanol/water partition =-0.13 (オクタノール/水、分配比率推算値)
logS solubility to water log(gram) to 100g water =1.65 (水への溶解度推算値)
log(Henry Constant) =-4.335 (ヘンリー定数推算値)
Volumetric properties(体積関連の物性値)
Molecular Volume at 25℃ =73.1(25℃における体積推算値)
Molecular Surface =96.42 (分子表面積推算値)
Ovality of Molecule =1.141 (分子の卵型度推算値)
Molecular weight =58.08
Critical Volume =212.1 cm^3 (臨界体積推算値)
Density from Volume =0.795 g/cm^3 (体積から計算した密度)
Calorimetric Properties (熱量的な物性値)
Heat of vaporization at Boiling Point =27836.38 J/mol (沸点における蒸発潜熱推算値)
Hildebrand Solubility Parameter =19.33 MPa^0.5 (ヒルデブランドの溶解度パラメータ推算値)
Heat Capacity for Liquid =125.02 J/mol (液体の熱容量)
Temperature Dependent properties(測定温度に依存する物性値)
Density at Tref =0.793 (Trefにおける密度の推算値)
temp(Celsius) Cox Temp. density[g/cm^3 ](温度と密度のテーブル、Excelなどにペーストして使う)
25 | 160.5 | 0.793 |
26 | 163.6 | 0.792 |
27 | 166.5 | 0.792 |
28 | 169.5 | 0.791 |
29 | 172.4 | 0.791 |
30 | 175.4 | 0.79 |
31 | 178.3 | 0.789 |
32 | 181.1 | 0.789 |
33 | 184 | 0.788 |
34 | 186.8 | 0.788 |
35 | 189.6 | 0.787 |
36 | 192.4 | 0.787 |
37 | 195.2 | 0.786 |
38 | 197.9 | 0.786 |
39 | 200.7 | 0.785 |
40 | 203.4 | 0.785 |
41 | 206.1 | 0.784 |
42 | 208.7 | 0.784 |
43 | 211.4 | 0.783 |
44 | 214 | 0.783 |
44.9 | 216.3 | 0.782 |
227.5 | 501.9 | 0.71 |
Viscosity at Tref =0.338 cP(Trefにおける粘度の推算値)
temp(Celsius) Cox Temp. Vis.[cP](温度と粘度のテーブル、Excelなどにペーストして使う)
25 | 160.5 | 0.338 |
26 | 163.6 | 0.335 |
27 | 166.5 | 0.332 |
28 | 169.5 | 0.329 |
29 | 172.4 | 0.326 |
30 | 175.4 | 0.323 |
31 | 178.3 | 0.32 |
32 | 181.1 | 0.317 |
33 | 184 | 0.315 |
34 | 186.8 | 0.312 |
35 | 189.6 | 0.309 |
36 | 192.4 | 0.307 |
37 | 195.2 | 0.304 |
38 | 197.9 | 0.301 |
39 | 200.7 | 0.299 |
40 | 203.4 | 0.296 |
41 | 206.1 | 0.294 |
42 | 208.7 | 0.291 |
43 | 211.4 | 0.289 |
44 | 214 | 0.286 |
44.9 | 216.3 | 0.284 |
227.5 | 501.9 | 0.079 |
Thermal Conductivity for Liquid at Tref =151.029 mW/mK(Trefにおける液体熱伝導度推算値)
temp(Celsius) Cox Temp. ThrermCon[mW/mK](温度と液体熱伝導度のテーブル、Excelなどにペーストして使う)
25 | 160.5 | 151.029 |
26 | 163.6 | 150.742 |
27 | 166.5 | 150.456 |
28 | 169.5 | 150.172 |
29 | 172.4 | 149.888 |
30 | 175.4 | 149.605 |
31 | 178.3 | 149.323 |
32 | 181.1 | 149.042 |
33 | 184 | 148.763 |
34 | 186.8 | 148.484 |
35 | 189.6 | 148.206 |
36 | 192.4 | 147.929 |
37 | 195.2 | 147.653 |
38 | 197.9 | 147.377 |
39 | 200.7 | 147.103 |
40 | 203.4 | 146.83 |
41 | 206.1 | 146.558 |
42 | 208.7 | 146.286 |
43 | 211.4 | 146.015 |
44 | 214 | 145.746 |
44.9 | 216.3 | 145.511 |
227.5 | 501.9 | 107.045 |
Surface Tension at Tref =19.8 dynes/cm(Trefにおける表面張力推算値)
temp(Celsius) Cox Temp. SurTen[dynes/cm](温度と表面張力のテーブル、Excelなどにペーストして使う)
25 | 160.5 | 19.797 |
26 | 163.6 | 19.685 |
27 | 166.5 | 19.574 |
28 | 169.5 | 19.463 |
29 | 172.4 | 19.353 |
30 | 175.4 | 19.244 |
31 | 178.3 | 19.135 |
32 | 181.1 | 19.027 |
33 | 184 | 18.919 |
34 | 186.8 | 18.812 |
35 | 189.6 | 18.705 |
36 | 192.4 | 18.599 |
37 | 195.2 | 18.493 |
38 | 197.9 | 18.388 |
39 | 200.7 | 18.284 |
40 | 203.4 | 18.18 |
41 | 206.1 | 18.077 |
42 | 208.7 | 17.974 |
43 | 211.4 | 17.872 |
44 | 214 | 17.77 |
44.9 | 216.3 | 17.682 |
227.5 | 501.9 | 4.973 |
Other Properties(その他の物性値)
Refractive Index =1.3554 (屈折率の推算値)
Heat of Formation =-48.02 kcal/mol(生成熱の推算値)
沸点、蒸気圧、臨界点:
沸点とは、液体の蒸気圧が大気圧(760mmHg)に等しくなる温度の事だ。
蒸気圧はある温度での液体の圧力なので、沸点と蒸気圧は同等に扱う。
化学工学で最も重要な技術は蒸留であろう。ある物質とある物質を分けるときにその沸点差を用いて分離する技術だ。
多くの場合、蒸留操作を行う場合には、対象の化合物の沸点は既知であることが多い。しかし、有機合成反応の結果、様々な副生成物ができ、それを蒸留でわけようとしたときにはやっかいだ。
副生成物の沸点と蒸気圧曲線がすべて求まっているとは限らない。実際の操作としては、まず反応粗液のガスクロを打って、主生成物の他にどのくらいの副生成物があるかを見る。
ガスクロはざっくりとは沸点順に出てくるので、副生成物の沸点が主生成物とくらべ、高いか、低いかの見当はつけられる。
しかし極性物質ではガスクロカラムの極性次第で、前後することもあるので注意が必要だ。
あるカラムで純度98%と喜んでいたら、カラムの極性を変えた分析で実は純度70%だったなどということは良くある。
物質をさらに加熱すると臨界点に達する。この臨界点では物質は固体でも、液体でも気体でもない状態に達する。
その時には、臨界温度での分子の熱運動が、分子の持つ凝集力と釣り合った状態になる。
そこで、臨界点は分子の種類によらない、一つの基準値として非常に重要な物性値といえる。
その臨界点から物性値を推算する技術が対応状態原理という方法だ。
例えば、粘度、臨界温度、液体の熱伝導度、蒸発潜熱などが沸点と臨界点から推算することができる。
本来、対応状態原理に使うのであれば実験値が好ましいが、分子がある程度以上に大きくなると臨界点を実験で求めるのは非常に難しくなる。
そこで沸点や臨界点を推算する多くの式が開発されている。
水への溶解度、オクタノール/水分配比率、ヘンリー定数:
分子が大きくなると、沸点が高くなり、蒸留で分離することは難しくなる。
特に医薬品の精製は熱分解を嫌うため、抽出や晶析が化学工学上重要な技術になる。
水に溶けているある物質を一番効率よく、水に混じらない抽剤で抽出したい事が多いようだ。
そのような、抽剤の選定には非常に苦労する。抽剤の水への溶解度が推算出来れば、2層を形成するかどうかの判断はつく。
抽剤が水に溶けこんでくると排水処理で非常に問題になる。またオクタノール/水分配比率(logP, logKow)がわかると、対象化合物がどのくらい疎水的かがわかる。
その他Hansenの溶解度パラメータなどを利用して総合的に抽剤を設計する。
晶析も水への溶解度が一番重要であろう。しかし、溶解度の温度依存性はほとんど推算が不可能であるので実験もまだまだ重要だ。
特にガス物質を扱うなら、それを水に吸収させるときにはヘンリー定数が重要になる。また、logPの値は化合物の生物濃縮性や毒性の推算に無くてはならない指標だ。
分子体積、表面積、形状因子、密度、:
化学工学を学んで、社会に出て実務に携わって一番良くやるミスは、10Lのリアクターに8Kgのヘキサン溶媒を入れて溢れさすといったミスだろう。
原料タンクは秤に乗っていて移送した重さは分かるが、リアクターは体積なので、その変換はやって当たり前で、そんなミスはしないと思うかもしれない。
しかし移送するものが気体だったらどうだろう? リアクターを冷却させてガスを液化させる。リアクターに仕込んだ溶媒に吸収させる。
そのような時には推算値を得ることは非常に重要だ。また密度は他の物性、例えば粘度、熱伝導度、表面張力などを推算する場合に密度が必要になる。
また、分子表面積、分子体積、卵型度などは、他の物性、沸点やlogPなどを推算するうえで補正項として無くてはならない。
蒸発潜熱、溶解度パラメータ(SP値) 、比熱:
リアクターに物を仕込んで、蒸留や抽出、反応を行おうとしたときに、多くの場合は加熱を行う。
加熱源は温水、スチーム、マイクロウエーブなどだろう。
どれだけの熱量を与えたときに内温は何度になるか?比熱が必要になる。
本来は比熱は温度の関数であるが、多くの場合は温度依存性が少なく、定数で扱うようだ。
しかし、それだけでは済まない。蒸留しようとすると、液体は蒸発の時に蒸発潜熱を奪う。所定の温度まで上げられる熱源を確保したつもりでも、蒸発潜熱分が足りないと性能が出ない。
蒸発したものはどこかで凝集させなくてはならない。熱交換器の設計上も重要であろう。
溶解度パラメータは蒸発潜熱と分子の体積から計算される。ある物があるものに溶解するかどうかを知る上で非常に重要なパラメータだ。
特にHansenの溶解度パラメータは化学工学、高分子化学、医薬品まで非常に広範囲に利用されているがこれについては別途pirikaのHPで扱う。
粘度、液体熱伝導度:
これらの物性値は測定温度で値が大きく変わる物性だ。例えばポリマーを溶液重合したとしよう。
重合が進むに連れて溶液の粘度はどんどん高くなる。
重合熱が非常に大きいポリマーを作るときには、その重合熱を効率的に除熱しないと、反応が暴走してリアクターを損傷してしまうことがある。
まだ若かりし頃、50Lの反応槽で中身がすべてゲル化し、攪拌機のシャフトをひん曲げ、モーターを壊してしまった事がある。
リアクターには中にコイルが入っていて冷却水を流して、さらにジャケットでも冷却していた。
しかし、粘度が高くなると、冷却コイルの表面は冷却されさらに粘度が高くなり、リアクター全体を冷やすことは難しくなる。
もっと低分子で粘度が低い溶媒でも粘度は重要だ。
例えばインクジェットの技術は今ではプリンターだけでなく、皮膚再生などの生体関連から、太陽電池用のSi化合物の塗布まで広く使われている。
マイクロリアクター、スピンコートなどでも必須の物性値だ。
この粘度の本質は、分子と分子が接触したときのエネルギーの授受だ。従って熱伝導と同時に議論されることが多い。
つまり熱伝導も温度の高い分子(早く動く)から温度の低い分子(動きが遅い)へのエネルギーの授受だからだ。
両者は熱交換器の設計など熱伝導方程式を解く上で無くてはならない物性値だ。また、攪拌装置の設計でも重要だ。ところがこれらの物性値を推算するのは非常に難しい。本来の意味での分子シミュレーションはここらへんの物性値を取り扱う。
その他の物性:
屈折率、表面張力、生成熱などは、化学工学では直接利用する事はあまり多くないかもしれない。インクジェットや噴霧乾燥の際には液滴の表面張力が問題になることがある。
またガスクロのFID検出器は燃焼熱と相関があるので生成熱からおおよその発熱量はわかる。液クロの検出器はでは屈折率は重要だ。
このソフトを使うとどのようなことができるのか?
自分でやってみよう(DIY) にまとめたので参照して頂きたい。
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