2020.12.27
PirikaでSTEAM>デジタル分子模型で見る化学結合> 3. 各原子上の電荷を見る事ができる。
試しにこれらのページで電子書籍を作ってみました。
epub3のビュアーを持っているなら試してみるのも良いでしょう。
3. 各原子上の電荷を見る事ができる。
第1章のジメチル・パーオキサイド(CH3OOCH3)の3次元の座標データを元に、各原子の電荷を計算します。酸素と酸素は同じマイナスの符号ですので、反発し合う事がわかります。
キャンバス(表示エリア)内でマウスボタンを押しながら動かす(ドラッグする)と分子が回転します。(iPadなどではキャンバスをタッチしたまま動かします。)
Alt key(Option key)を押しながらドラッグすると画面上の位置を変える事ができます。(iPadなどでは、指を3本タッチしたまま動かします。)
Shift keyを押しながらドラッグすると、拡大・縮小させる事ができます。(iPadなどでは指二本でキャンバスをタッチし横に広げたり狭めたりします。)
電荷平衡法(Charge(Q) Equilibration(Eq) : QEq)はカルフォニア工科大学のGoddard教授らにより1990年前後に提唱された分子中の原子の上の電荷を簡便に計算する方法です。
これを非力なPCでも計算できるように計算方法を省略したプログラムを搭載しています。
原子のイオン化エネルギーと電子親和力と原子間距離だけから計算できるので、どんな原子であっても3次元座標から電荷を計算する事ができます。
電荷平衡法の特徴は何と言っても、電荷移動が、空間を通じ(Through Space)て起こる事です。多くの計算の場合は、結合を通じ(Trough Bond)て電荷移動が起こります。例えば、第2章で説明した、分子集合体に対して、電荷を計算してみましょう。
Shift ドラッグで拡大して見ててみてください。
例えば酸素の電荷に着目してみると、-0.366から-0.340と異なる値になります。ある酸素から設定値(現在の設定では64Å)以内にある周りの電荷の影響を加味して、全空間の化学ポテンシャルが一定になるまで電荷を移動させるという、電荷平衡法の特徴によりこのような結果になります。
したがって分子1つをとってみると、電荷の総和は0で無くなります。全空間では指定した電荷(現在の設定は0)になります。
そこで、各分子のダイポールモーメントを計算してみると、2.73から3.65まで、値が変わってきます。
(ただし、この計算は、配置される分子の位置と回転方向がランダムなので、計算するたびに結果は多少変わります。)
メタノールの4量体を計算させると次のようになります。
アルコールの水素結合によって、OHを内側に向けクラスターを作ります。
外側にはメチル基を突き出すのでクラスターの表面は疎水的になります。
メタノール単分子の時の電荷とは大きく異なる事がわかると思います。
こうした疎水的になったメタノール・クラスターが燃料電池用の膜を透過してしまう事が問題になったりしています。
分子軌道法ではアルカリ元素は電荷+1(Sparkle Atom)として扱われる事も多いです。
しかし、電荷平衡法では、次のようになります。
塩の種類によって電荷が大きく異なります。
CH3COONaの場合:
CH3COOZnOOCCH3の場合:
イオン結合などを考慮する際には重要な情報を得る事ができます。
1.分子構造の調整。
2.分子集合体の分子模型作成。 ちょっと計算が重いので注意
3.各原子上の電荷を計算。 ちょっと計算が重いので注意
4.ある温度における分子(原子)の運動。
5.π結合とσ結合の違い。
6.作られる直前の化学結合の様子。
7.HOMO-LUMO遷移エネルギーと化学結合。
8.振動解析結果のアニメーション。
9.デジタル教科書の作成。
試しにこれらのページで電子書籍を作ってみました。
epub3のビュアーを持っているなら試してみるのも良いでしょう。
10.豊かな化学のために。
12.全フッ素化キュバンのLUMOが電子を閉じ込めた!
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