ハンセンの溶解度パラメータは、溶解性の指標でもある。でも実は、分子間の相互作用エネルギーの指標である。自分は自分を溶かしている。それと同じくらい溶質を溶かすときにHSP距離がゼロ(自分と同じ)になる。
距離がマイナスになれないのが1つの欠点であるが、ドナー/アクセプターを導入すると距離がマイナスになることもある。これは応用の応用だ。
そこで、HSPを使って溶解性以外の話をするなら全て応用になる。
それでは分類としてあまりなので、いくつかのトリッキーな使い方を応用としている。
やっと、この部分まで改訂が進んだ。
HSPと化学工学:
HSPのデータベース構築と推算式の開発の紹介記事をアップした。化学工学の中でのデータ処理、統計解析の必要性について、参考になればと思う。
マイクロ波を用いた加熱:
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)とマイクロ波加熱:最近マイクロ波(MW)加熱が有機合成の分野でも利用され始めている。それでは、どんな化合物がマイクロ波をよく吸収するのか?を数値で表すことは出来るのだろうか?ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を使った方法を提案する。 鈴木カップリング反応、ノーベル賞おめでとう!!(何故ここに? それは知る人ぞ知る。)
オクタノール-水分配比率(logP,logKow)と溶解度パラメータ
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)とオクタノール/水分配係数(logP, logKow):医薬品や界面活性剤、リポソーム、いろいろなところでlogPの値が使われている。生体脂質と水で化学品がどう分配するかを知る上で重要な指標だ。しかし、この値は、あくまでも比率で、100/100でも0.01/0.01でも同じ値になってしまう。分子設計が必要ならlogPに加え、ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を併用することの重要さを説明する。
液液抽出:
液液抽出の溶媒が非極性であれば、分配係数は溶質と非極性溶媒のHSP距離で整理できそうである。しかし、抽出溶媒が、クロロホルム、ジエチルエーテル、オクタノールと極性を持ってくると、分配係数とHSP距離の相関はなくなる。クロマトグラフィーでカラムの極性が低いODS-カラムを用いた場合、ヘキサンを用いた液液抽出と同様で、クロマトの保持時間とHSP距離の間に相関が生まれる。
超臨界炭酸ガスとハンセン溶解度パラメータ(HSP):
超臨界炭酸ガスに、ある温度、ある圧力で、ある化合物がどのくらい溶解するか?この問題に対して溶解度パラメータを使って検討を行った。通常はHSPが未知の溶質に対して、HSPが既知の溶媒への溶解度からHSPを決定するのだが、ここでは、各種の溶質のHSPを推算し、ScCO2への溶解度からScCO2のHSPを決定した。
対応状態原理とハンセン溶解度パラメータ(HSP):
対応状態原理(Law of Corresponding State)を使うと様々な熱力学物性を化合物に特有のパラメータを使うこと無く推算できる。何故それが可能になるかというと、臨界点(臨界温度、臨界圧力、臨界体積)を使った還元値を使うと推算式がこの還元値だけで表すことができるためだ。HSPも同様で、HSPベクトルを比較できるのは、HSPの原点は蒸発潜熱がゼロになる臨界点であるからに違いない。