今朝の新聞にあった。
環状のオリゴ糖、シクロデキストリン(CyD)が受精を阻害する物質を環の中に取りこんで無害化するということらしい。
私は、大学の時(もう40年前だが)CyDのポリマーを研究していたので思い入れがある。
ポリヒドロキシ化合物なので水に溶解する。
でも環の中は極性が低いので、水に溶けにくいものは環の中に入り込む。
化合物の大きさや極性によって、取り込まれ方は異なる。
それが測定され、包摂定数という値で公開されている。
薬関係では、YAKUGAKU ZASSHI 132(1) 85-105 (2012) の上釜兼人先生の論文にまとまっている。
Loopボタンを押すと構造と(logを取った)包摂定数が表示される。
このデータを、HSPiPを用いて解析し、包摂定数のQSAR式を作って公開している。
シクロデキストリンは環の大きさによって水への溶解性が大きく変わる。
しかし、OH基を少し修飾してあげると溶解性が大きく変化する。
学生だった時に、ジメチル硫酸で水酸基を皆メチル化したことがある。
すると非極性溶媒に溶解するようになり、その時は、逆に非極性溶媒には溶解しない、水溶性の色素が包摂され、溶液に色がついた。
バケツの中とバケツの縁の極性のバランス次第だ。
保湿性を上げたり、有効成分をCyDに包摂させ、化粧品にも広く応用されている。
ジメチル体の包摂定数がいっぱい集まったら、同じように解析してみようと思う。