皮膚透過のpathwayとハンセンの溶解度パラメータ

人工の均質なポリマーなら、ポリマーの溶解度パラメータは一つに決まる。
ポリマーのHSPに似たHSPを持つ化合物はポリマーを良く透過というより、よく溶解するだろう。

では、皮膚はどうかというと、どう考えても均質ではない。
という事は、皮膚のHSPは一つには決まらないということだ。

それでは、皮膚には何種類ぐらいのpathwayがあるのだろうか?
それを調べる方法はあるのだろうか?

というのは、皮膚を透過する透過係数Kpを予測するQSAR式を作ろうとした時に、化合物のHSPに一番近いpathwayとのHSP距離を計算したいからだ。
その最短HSP距離と分子の大きさや形状、運動状態などからモデル式を作成する。

そのような時は、透過係数のわかっている化合物のHSP(dD,dP,dHAcid,dHbase)を使ってSOM(Self Organization Map)を作成する。

詳しくはpirikaのこちらのページを参照してほしい。SOMの説明4次元HSPのSOM

簡単に言えば、SOM法とは多次元ベクトルを「似たベクトルを似た2次元上の位置にマッピングする」技術だ。

そこで、4次元のHSPをマッピングすると似たHSPのものはすぐそばにマッピングされることになる。そこで透過係数Kpが高いもの(1とラベリング)がどこにいるか、赤い丸でくくってみた。

このSOMは境界を無くすために、四角の上辺と下辺をくっつけて円筒にして、さらに円筒の左と右をくっつけてドーナツにして計算して、切り開いたものだ。

当然、透過係数は分子が大きければ、HSPがよくマッチしてしても2とか3にラベリングされることはあるかもしれない。
しかし、大まかには、皮膚には6種類ぐらいのHSPのpathwayがありそうなことがわかる。

つまり、ある化合物の透過係数Kpを考えたいとする。構造がわかれば、Y-MBでHSPを計算することができる。そうしたら、この6箇所の赤い丸のHSPとの距離を計算する。

その化合物は、一番HSP距離が短いPathwayを透過すると考える。

HSPを使ったモデルが、ざっとみたところ複数のpathwayを仮定していないようなので、ちょっと心配している。(逆に言えば、いくらでも特許、論文がかけるということだからいいと言えばいいが)

これも、pirika研究会での学生との勉強会ネタだ。