生物等価性とHSPiPのCLIライセンス

分子のHSPを計算するときには、SMILES分子構造を使う。
COVID-19を3つの部分に分けて計算したい場合は、3つのSMILES構造が必要になる。
JSMEの分子描画ツールはHSPiPのソフトウェアに含まれている。
分子を描けば、SMILES構造が得られ、それとともにその分子のHSPも得られる。


ファイザー社の「PF-07321332 PAXLOVID」は、SMILES構造が簡単に入手できます。
CC(C)(C)C(NC(=O)C(F)(F)F)C(=O)N1CC3C(C1C(=O)NC(C#N)CC2CCNC2=O)C3(C)C

そして、分子を3つの部分に分けます。結合を切って、メチル基を加えます。
これで3つの分子ができあがります。
SMILES記法では、各分子のSMILESをピリオドで区切ります。

CC1C2C(CN1C(=O)C(NC(=O)C(F)(F)F)C(C)(C)C)C2(C)C.CNC(C)=O.CC(C#N)CC1CCNC1=O
そして、YMBで計算した後に3つのSMILESと3つのHSPを得る。
left:CC1C2C(CN1C(=O)C(NC(=O)C(F)(F)F)C(C)(C)C)C2(C)C
center:CNC(C)=O
right:CC(C#N)CC1CCNC1=O

では、バイオアイソステアを考えてみましょう。
中心となる分子はアミドです。
バイオアイソステアの観点からは、アミドは次の官能基で置換することができます。

そこで、結合を切って、XやD(重水素)を設定すると、簡単に調べることができます。

Left: CC(C)(C)C(NC(=O)C(F)(F)F)C(=O)N1CC2C(C2(C)C)C1[X]
Center:
[X]C(O)C[X]
[X]C(=O)C(F)(F)[X]
[X]C(F)=C[X]
[X]C1(CC1)N[X]
[X]C(C(F)(F)F)N[X]
[X]S(=O)(=O)N[X]
[X]c1oc(nn1)[X]
[X]n1nnc(c1)[X]
[X]c1noc(n1)[X]
Right: [X]C(C#N)CC1C(NCC1)=O

そして、分子を作る。
CC(C)(C)C(NC(=O)C(F)(F)F)C(=O)N1CC2C(C2(C)C)C1[X] [X]C(O)C[X] [X]C(C#N)CC1C(NCC1)=O

2組の[X][X]を削除すると、新しい分子が得られます。
ただの文字列操作である。エクセルでもできます。

この分子には4つのアミドがあります。
そして、アミドとエステル+9つの官能基が存在します。
つまり、11*11*11個の分子を作ることができます。
HSPiPのCLI(Command Line Interface)ライセンスをお持ちの方は、全ての計算をバッチで実行することができます。全ての計算には30分程度かかります。

また、HSPだけでなく、(2021年版ではDonor Number, Acceptor Number)logKow, logS(水への溶解度)などのDescriptorも計算されます。

しかし、Xを左(右)に配置したり、2つのXを両端に配置したりするユーティリティが必要です。
YMB-2021版のプレビューでは、CLIユーザーがこのユーティリティーを使い始めています。
HSPiPの新バージョンの発売を楽しみにしてください。