データサイエンティストより「好きな仕事を楽しもう」

自分も現役の時にヘッドハンティングされたことがある。コンピュータを使った材料設計ではちっとは知られていたから。

最近、さまざまな大学がデータサイエンス学部などを立ち上げている。学生にもすこぶる好評で志願者がとても多くなっていると聞く。

そこで学んだ学生は企業でも好評で、就職先に困らないらしい。

そんな記事を朝刊で読んで違和感を感じたのは私だけだろうか?

そうした、データサイエンスを学んだ学生は、例えば、データを解析して、会社を辞めそうな人の特徴を統計的に見出すのに役立っているとか書いてあった。

一生懸命新人教育をして、3年で30%ぐらいが辞めてしまう。それをなんとかしたいという会社は多いので、データサイエンティストの需要はそこそこあるのだろう。

まー、統計など知らなくても、マーフィーの法則で、やめて欲しく無い人が辞める確率は、常に、辞めて欲しい人が辞めない確率を上回ることぐらいは常識として皆知っている。

働き蟻のうち10%は常に遊んでいて、遊んでいる蟻を取り除くと、また10%は遊び始めるのと同じで、できる人が辞めると、その次にできる人が同じ確率で辞める。

すると、大多数の普通の人と、辞めて欲しい人からなる集団ができて、その後は安定化する。

こんな解析ができる重要な社員なら他の同期より一杯給料もらえるのだろうか?
一般的な会社なら、役職につくまでは給料は横並びが多い。

なら、そういうデータサイエンティストを採用できなかった会社は、給料1.5倍出すからってヘッドハンティングすればいいだけの話だ。

優秀な社員が辞めないような手を打てるような優秀な社員はどこ行っても食っていかれる。
それはAIやMI 人材でも同じで、使い物になると辞めていく。

同じく、新聞ネタで、72歳以下の引退した教授を中国が引き抜いているとある。
給料は2100万円、6200万円の住居購入費、2000万円の赴任手当、3600-1億8000万円の研究費だと。
こんな条件を出されたら、「ポチと呼んでください」って尻尾振りたくなる。
しがない非常勤講師などいらんと言われるだろうけど。

だけど、「辞めて欲しくない人は優遇しろ」というのが、僕の言いたいポイントではない。会社であっても、大学であっても、「この人がいるから一緒にやって行きたい」と思わせるような出会いが無かったのが可哀想だ。

そして、残念ながら、今思い返すと、統計的に高く評価される人がキーパーソンかはわからない。というか人によっても異なるだろうし。

と言うことは、統計をいくら振りかざしても、辞める人を押し止められない事になる。

大体、欧米とか進んでいるところは、採用自体が、この会社で活躍できる人材を統計的に見極め、AIが採用する時代だ。AIはそもそも辞めそうな人を採用しない。

統計などは、AIと最も相性が良い。人間のデータサイエンティストなんていう職業はAIにとって変わられる一番危ない職業なのに人気があるのが不思議で違和感がある。
グローバル化で英語のできる人材が「国際人」とか言っていたけど、AI翻訳がここまで進めば価値が激減する。

プログラマーだってそうだ。そのうちAIが作ってくれる。DX 技術者もAIと相性が良い。
人材が足りないって言うのに余り踊らせれないことだ。

真鍋先生もおっしゃっていたように、「好きなことを楽しんでやる」の原点に戻った方が良い。

とは言いながら、来年から、第一薬科大学でデータサイエンスを教える自分が何言っても説得力ないな。。。