10兆円大学ファンド、人材買い叩き

政府が10兆円規模の「大学ファンド」を設立するそうだ。ファンドの運用目標は「4.38%」、年間で4380億円儲けて、3000億円大学に分配するという。

そんなに数字のお遊びがしたいなら、10の大学に1兆円ずつ割り振って、経済学部の大御所に運用させて競わせたらどうだろうか?
これこそ競争資金だ。
国民は、どの大学が勝つか賭けをしてその売上の一部も優勝校へあげれば良い。

最下位の大学は入れ替え戦。将棋や箱根駅伝みたいに盛り上がるだろう。

日本の大学の没落ぶりは目に余るものがある。
大学の法人化で使える予算が減り続け「選択と集中」が進んだからだと言うが、それは嘘だ。
最近の値上げと同じでSDGsのせいにすれば言い訳になるのと同じだ。
国際ランキングは英語圏が高くなるようにできているので、鵜呑みにする必要はないが。

会議会議と忙しくて教育などしない教員と、バイトバイトで忙しくて学ばない学生の利害が一致しただけだろう。
「大学教育には期待しない、入社してから鍛え直す」としていた企業の側も没落して、社内教育もろくにできなくなった。

そんな学生を取るのだから、企業も人件費をかけられないので人材の買い叩きに走る。
最近の大学の没落に輪をかけているのが、この民間企業の人材買い叩きだろう。
それは、学生を安い給料で雇うことではない。
共同研究と称して、「学生の労働力は0円」で買い叩くことだ。さらに産学連携とか称して、非常勤講師の私にまで「やりがい搾取」を求めてくる。

そうした共同研究に組み込まれた学生は悲惨だ。ちょっと見には学生のうちから企業的な研究手法を身につけられてラッキーに見えるかもしれない。
でも、大切な基礎を学ぶ時間も無く追い立てられるので、研究者としての寿命はとても短くなる。

そうした企業は、「つまらない仕事を安くアウトソーシングできてラッキー」ぐらいにしか思っていないことも多い。

受けなければ研究費がつかない。受ければ研究ができない。
没落するしかないのか。

私の教育方針は、「大学では死なない程度の失敗、後悔をやり尽くさせてから社会に送り出す」だ。効率は悪いが、質は高い学生が出来上がる。危機感を持った学生が集まり始めている。

自分は、ハンセンの溶解度パラメータや熱力学物性推算と逆設計をやっているが、趣味のようなものなので予算はついたことは無い。でも楽しくやれるのでラッキーだ。
必要なものはMac miniとネット環境だけでできてしまうので、予算などいらないといえばいらない。

そんな自分にも、色々なところからコンタクトが入るようになってきた。
外資系は文字通り桁違いだ。ついでに僕の息のかかった学生を欲しがってくれる。

優秀な学生は、外資系を目指そう! 可能であれば大学も海外へ。