SOM 黒曜石の産地分類

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2021.6.3改訂(2002年頃の記事)

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黒曜石(Obsidian)の産地分類、SOMによる解析

黒曜石の組成を自己組織化マップ(SOM)を用いて2次元化して産地ごとで近い組成は近い位置にマッピングされるというデモです。(JavaScript版2018.11)

 

Readボタンを押してデータを読み込み、Startしてください。何か模様が出てきたら成功です。動きが止まったらStopボタンを押してください。(乱数を使っているので、やるたびに結果は変わります)NameとかLabelのラジヲボタンをクリックしてみてください。

SOMを理解するには適切な題材だと思います。

うちのえのころチビズは石ころが大好き。
これは保育園でも有名な事で、先生からも「大きくなったら石の研究者になるんだもんねー」と言われている。
黙々ときれいな石を探す癖は1歳を過ぎた頃には既に出ていた。

そんな彼等の為に今月の一押し文献では自己組織化のニューラルネットワークを用いた黒曜石の産地特定の方法を紹介します。

黒曜石とは火山から溶けたガラスが吹き出して急冷してできたガラスです。
そのガラスの組成は産地ごとにほぼ一定であることが知られています。
この黒曜石は割れる時に鋭い刃ができるため、旧石器時代や縄文時代にはナイフの代わりに使われていました。

当然日本中に火山はあるわけですけど縄文時代の人ですらどこの黒曜石でもいいという訳では無く、きっとうちのチビズのように大きくて黒光りしてきれいなナイフが好きだった様です。

そこでその時代からブランドものの黒曜石は一種の貨幣のように流通していたようです。

そうすると例えば青森県の遺跡から出てきた黒曜石のナイフがどこの産地のものかが分かるとその時代の交易の範囲がわかります。

そこで黒曜石の組成を蛍光X線分析をしてどんな元素がどのくらい含まれるかを分析します。
その割り合いは火山のあった所の大地の組成に依存するので黒曜石ごとに微妙に違います。

まるで指紋のようなものです。その辺りの事は沼津高専の先生のホームページに詳しいのでそちらを参照にして下さい。

http://www.busitu.numazu-ct.ac.jp/mochizuki/

そうした組成を、判別図、主成分分析、クラスター分析、マハラノビス距離を用いた判別分析などで解析します。

自己組織化のニューラルネットワーク、SOMを用いた解析は船津先生がChemishの使い方の説明で使っておられます。

今月も文献では無いのですが、データはhttp://obsidian.pahma.berkeley.eduからもってきます。

日本ではいくら探してもこうした生データは入手できません。アメリカの大学は流石です。惜しみ無くデータを使わせてくれます。

地図で赤い印をつけたカルフォニア、ネバダ、アリゾナ州の黒曜石の産地6ケ所を今回は選びました。

nameのカラムには通し番号。ラベル(LB)としてBM:Bristol Mountain、DPE:Devil Peak East、DPW:Devil Peak West、OB: Obsidian Butte、WT:Tank Mountain、LOC:Tank Mountain、BC:Burro Creek、RM: Partridge Creek (Round Mountain)を使います。

そして後はチタンからバリウムまで元素のPPMを入れます。

Devil Peakの黒曜石(Obsidian)には鉛などが入っていますがこれは除きます。

こうして134種類の組成と産地のテーブルが出来上がります。

nameLBTiMnFeRbSrYZrNbBa
1BM926.79378.059390.26193.82147.6419.45132.820.32900.66
2BM857.3366.18956.26180.08137.0921.99129.4422.89898.73
3BM806.86385.138733.92181.22139.4221.18128.3120.491095.63
11
133RM313.101532.8739118.085275.7177.40339.969102.20954.4346.021
134RM296.721491.4118460.011253.3595.28541.14595.75553.14844.123

このテーブルが既にプログラムのテキストエリアに入れてあります。そしてリードボタンを押して、スタートします。番号のラベルから名前のラベルに変えます。しばらくすると次のような図が得られます。(画面はバージョンによって異なります)

初期の乱数にもよるので同じ図にはならないと思いますが、同じ産地の黒曜石は2次元上で似た位置にきている事がわかると思います。

組成は9種類の元素を使っているのでテーブルは9次元ベクトルになります。

それを2次元に写像するのですがその時に似たベクトルは似た位置に来るのが自己組織化ニューラルネットワークの特徴です。

どの元素が主成分かとか言った事を考えなくて済むので非常に便利です。

そして例えば(あるかどうかは知りませんが)カルフォニア半島の遺跡から黒曜石のナイフが出てきたらその組成を調べて同じようにこの2次元マップに写像します。

そしてそのマップされた位置でこれはどこの産地の黒曜石に一番近いといった議論をします。

またこの2次元マップ上の右上のBC3点はRMに近いとか左下のDPW2点はBMに近いとかどうしてだろうと考える種になります。

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