1.5 活量係数式

2024.9.04

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1.5 活量係数式

しかし、それでは扱いにくいので、Antoine蒸気圧式のように、組成を入力したら、活量係数を返してくれる活量係数式の形まで持っていくのが普通だ。ここではASOG法で採用されているWilson式を簡単に紹介しょう。

Wilsonの式:均一液相系に適用される活量係数式で,N成分系中の成分iの活量係数は次の式であたえられる.

ln ⁡γi = -ln [∑(j=1)N xjΛij ] + 1 – ∑(k=1)N (xk Λkl) / (∑(j=1)N xj Λkj )   (1-6)

Λij ≡ (υji ) exp[ -((λijii))/RT]   (λij = λji )   (1-7)

xj:純成分jのモル分率  υj:純成分jの液モル容積

この、(λijii ), (λijjj )を成分iとjについてのWilsonパラメータと呼ぶ。ただし、文献によっては、Λij、ΛjiをWilsonパラメータと呼ぶこともあり混乱する。(λijii )をSmall Wilson パラメータ、ΛijをLarge Wilson パラメータと呼んだりすることもあるが、パラメータ自体の絶対値の大きさは逆転するので、そこでも混乱する。

このLarge Wilsonの活量係数式(1-6)は、非線形の式なので、パラメータは簡単には求まらない。マルカート法などを使って、先ほど求めたモル分率に対する活量係数の値から収束計算する。
Large Wilsonパラメータが求まれば、それを(1-7)式に代入して、Small Wilson パラメータを求める。

その際には純成分の液モル容積が必要になる。正確にはΛijを求めた時の温度でのモル容積が必要だ。しかし、任意の温度でのモル容積を求めるのは困難な事、(1-7)ではi成分とj成分の比率になっているので大きくは変わらないことから、一番データのある25℃でのモル容積で代用する事も多いようだ。

エタノール/水であれば、蒸留酒(ビールを蒸留してウイスキー、ワインを蒸留してブランディー)を作るとか、サトウキビの発酵で作ったアルコールから無水の燃料用アルコール用(ガソリンと混合する)に蒸留するなど化学工学的に非常に重要な分離プロセスになる。蒸留、液液抽出、固液抽出など活量係数が必要になる化学工学の領域は非常に多い。

次節: 1.6 気液平衡の基礎式


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