2024.9.04
pirika.comで化学 > 化学全般 > 化学工学 > 復刻版:ASOGによる気液平衡推算法 > 第2章 ASOG法
2.1 ASOG法による活量係数の計算式
ASOG法で活量係数を求める基礎式は次の6つになる。
ln γi = ln γiFH + ln γiG (2-1)
ln γiFH = ln (viFH ) / (∑j (vjFH xj ) + 1- (viFH )/∑j(vjFH xj ) (2-2)
ln γiG =∑k vki (ln Γk – ln Γk(i) ) (2-3)
lnΓk = -ln∑l Xl akl +1- ∑l(Xl alk) / ∑m(Xm alm ) (2-4)
Xl=∑i xi vli / ∑ixi ∑kvki (2-5)
ln akl = mkl + nkl/T (2-6)
γi:活量係数
ln γiFH :溶液中の成分分子の違いによる寄与
lnγiG :グループ間の相互作用をしめす寄与
vjFH :純成分j中の水素原子を除いた原子の数
xj:溶液中の成分jのモル分率
vki:成分i中のグループkに含まれる水素原子を除いた原子の数
Γk:グループkのグループ活量係数
Γk(i):標準状態(純成分i)におけるkのグループ活量係数
akl:グループkとlについてのグルーブ間相互作用パラメータ(akl ≠alk)
Xl:溶液中のグループlのグループ分率
化学工学系で扱う式は、上付き、下付き、Σなどを多用するので、何をしているのか非常にわかりにくいものになる。
でも安心して欲しい。Σなどの計算はコンピュータが自動でやってくれる。
コンピュータに与えなくてはならない値はvj^FH 、vki、mklとnklの4つだ。
これらのパラメータは、純成分を2つ(2つ以上でも同じ)選べば、決まってしまう。
最初の例題のエタノール/水系でこれらのパラメータを見てみよう。
まず、vjFH には純成分j中の水素原子を除いた原子の数を入れる。エタノールはCH3CH2OHだから、vエタノールFH は3になる。
水はH2Oだからv水FH は1になる。
vkiには成分i中のグループkに含まれる水素原子を除いた原子の数を入れる。(ただし、CH3-, -CH2-, >CH-, >C<は1:1:0.8:0.5個と数えなければならない。)エタノールは分岐がないので、v(CH2,エタノール)=2、v(OH,エタノール)=1と数える。また水は分子1つで1つのグループになるが、個数としては1.6個と数える。v(H2O,水)=1.6になる。
ここで大事なのは、vjFH とvkiは純成分を選べば1つに決まることだ。そこで溶媒データベースの中にその値を登録しておけば、溶媒を選択するだけでそれらの値を特定できる。
次に、グループkとlについてのグルーブ間相互作用パラメータaklを求める。今回のエタノール/水の中に存在するグループはCH2, OH, H2Oの3グループだ。グルーブ間相互作用パラメータaklは非対称(akl ≠ alk)な値なので、a(CH2,OH), a(OH,CH2), a(CH2,H2O), a(H2O,CH2), a(OH,H2O), a(H2O,OH)の6つの値を求めなくてはならない。
ただ、これらの値もASOGのパラメータとして既に求まっている。そこで溶媒ペアが決まればデータベースから持ってくるだけだ。
つまり、活量係数γiを決めるには溶媒を2つ決めるだけでいい。簡単だろう?
次節: 2.2 ASOG法による気液平衡の推算
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