解熱鎮痛剤

2024.8.5

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薬のHSPを3次元にプロットすると、似た性質の薬は似たHSPを持っていて、ハンセン空間中で似た位置にプロットされることが多い。赤い球は解熱剤のHSPなので、マウスでクリックして、どの薬がどの位置にあるのか確認してみよう。アセトアミノフェンだけ少し外れるが、他のものは似た位置にあることがわかる。

化合物としては芳香族のカルボン酸やそのエステルが多い。
こうした解熱鎮痛剤の溶解性が調べられ、その溶解度パラメータが決定されている。Paracetamolの溶解性に関しては既に書いた。詳しい計算方法はこちらを参照してほしい。

種論文

A New Expanded Solubility Parameter Approach 
Emmanuel Stefanis and Costas Panayiotou 
International Journal of Pharmaceutics
Volume 426, Issues 1–2, 15 April 2012, Pages 29-43

Determination of Solubility Parameters of Ibuprofen and Ibuprofen Lysinate
Teja Kitak 1, Aleksandra Dumicˇic ́ 2, Odon Planinšek 1, Rok Šibanc 1 and Stanko Srcˇicˇ 1,*
Molecules 2015, 20, 21549–21568; doi:10.3390/molecules201219777


繰り返しになるが、2017年の分割に従って、距離の式を33式作成して評価する。

Paracetamol

HSPiPに搭載の式(1)(3)では精度がでない。Beerbower Typeの距離の式が効果的であった。

ASPIRIN

Paracetamolと同様でHSPiPに搭載の式(1)(3)では精度がでない。Beerbower Typeの距離の式が効果的であった。

Benzoic Acid

分子中の官能基が一つの為か、式(1)(3)でも相関が出る。

SALICYLIC ACID 

全体的に精度がでない。溶解度が高い(距離の値が小さい)領域だけを見ると(31)式が優れている。

Ibuprofen

Benzoic Acidと同様で、式(1)(3)でも相関が出る。

Sodium Ibuprofen

非常に意外だったのだが、ナトリウム塩で式(1)(3)が高い相関が出た。

Ibuprofen Lysinate

構造がいまいち不明だ。単に混ぜ物のように記載されていたり、酸無水物で表記されたりする。ナトリウム塩とは異なり、式(1)(3)では精度がでない。

全体的な傾向として、官能基が複数になったときには、式(1)(3)では精度がでない。
Euclid Type とBeerbower TypeではBeerbower Typeの方が優れているが、これは式中、Coeffも含め最適化している為であるかもしれない。複数の官能基をもつときには、極性項の分割でLa(分子中で一番大きな係数を持つ官能基)の方が選ばれる確率が高くなる。

残念ながら、最適な式はケースバイケースとなってしまう。理論的な取り扱いとは言えないが、実用上は多くの洞察を与える。


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