QSphere:量的な問題を解く

2024.7.17

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HSPiPの解析方法は良溶媒と呼ぶものがSphere(球)の内側、貧溶媒と呼ぶものがSphereの外側にくるように、ハンセンの溶解球の中心と半径を求める。ある意味定性的な解析方法だ。

もし、定性的なSphereの内側を厳しくしていけば、(例えば1g/100cc以上溶けたものを良溶媒と呼ぶ、を10g/100ccに変更する)理想的にはハンセンの溶解球の半径が短くなる。ただし、その仮定は、溶解球の中心が変わらない理想的な玉ねぎの場合しか成立しない。もっとも良く(大量に)溶かす溶媒が玉ねぎの輪切りの中心にあるとは限らない。

そこで今回拡張した33種類の距離の式作成アプレットに新しい機能を付け加えた。
Scoreは実数であるので、この実数に対して距離の計算値が一番高い相関係数になるようにSphereの中心(玉ねぎの、ずれた中心点)を求める機能だ。

例えばC60の溶解性をScore 01とScore logSolubilityで最適な距離の式を構築させる。

Score 01の場合はREDが1以下の時には、ここで定義したlog Solubilityが0.5mg/ml以上溶解するとは言えてもどのような溶媒を探索すればさらに結果が良くなるかについては何も言えない。また貧溶媒についてはとても混沌としている。

それに対してQSphereで求めた距離の式を使うと、溶解量と距離に高い相関がある。
そこで、溶解量を最大にしたい時には、距離が0となる溶媒を検索すれば良いことがわかる。

また、dH項の分割に関して、C60の溶解に関する影響を定量的に考察することが可能になる。

アバターチュートリアルでレジスト現像液の設計を解説した。
半導体用レジストポリマーの現像液設計(溶かさない溶媒設計)

この例は、露光された部分とされない部分でポリマーが溶解性が微妙に変わることを利用する。そこで0であるか1であるかを知りたいわけではない。
例えばポリマーの分子量が大きいところでは残膜率99.5%以上で分子量が小さいところで0%程度の溶媒を設計したい。その時にはQSphereの方が適している。

昨日の新聞で、次世代極端紫外線(EUV)露光装置用カーボンナノチューブ(CNT)ペリクル(防塵膜)が開発されサンプル提供が始まったとある。

CNTの溶解性は集合状態のCNTを解繊したり実施に分散させたりをHSPiPを使って研究された(e-Bookを参照)。

Multicomponent Solubility Parameters for Single-Walled Carbon Nanotube-Solvent Mixtures

Shane D. Bergin, Zhenyu Sun, David Rickard, Philip V. Streich, James P. Hamilton, and  Jonathan N. Coleman, (Coleman先生はグラフェンの溶解をHSPiPを使って検討している。)

この解析も、QSphereを使った方が解析が明瞭だ。

特に、この場合はdHacidLa,dHbaseLaやyEDLa, yEALaなどが大きな役割を果たしている。

パルスNMRやLumisizerなどでは測定値が実数で得られる。そのような場合には、QSphereは試す価値がある。


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