バージョン履歴

2023.12.16

HSPiPの新機能

Ver. 1 2008年11月販売開始
Ver.2 2009年3月 Y-MB搭載 Smilesの構造式から原子団に分割
Ver.3.0.02  2010年2月 (マイナーVer. 3.0.03-38)    (Y-MB3.1多分)
Ver. 3.1.03 2010年12月 (マイナーVer. 3.1.04-26) 10KDB (Y-MB3.3多分)
Ver. 4.0.03   2013年1月 (マイナーVer. 4.0.04-08) Y-MB3.5 低分子物性推算機能
  (映像工房クエスチョン様から入手できるe-Book日本語版はVer. 4.0相当)
Ver. 4.1.03  2013年8月 (マイナーVer. 4.1.04-07) Windows 10以前のOSで動く
以降はWindows 10のみサポート (Y-MB 2013)

Ver. 5.0.03 2015年11月 (マイナーVer. 5.0.04-13) QSAR機能 (Y-MB 2014)
  (映像工房様から入手できるHow to use 日本語版はVer. 5.0相当)
Ver. 5.1.02  2018年11月(マイナーVer. 5.1.02-08)
Ver. 5.2.02  2019年8月 (マイナーVer. ) YPB2019
Ver. 5.3.02 2020年6月 (マイナーVer. )
Ver. 5.4.02 2022年1月
ver. 6.0 2024年1月 (Y-MB 2024)

Y-MBのこれまでのバージョンを再現できるように、アプリケーションを作ってみた。
原子団の分割のバグは再現できない。

HSPiPのバージョンアップによる変更点とバージョン履歴
メジャーアップグレードの変更点のみ示します。

v.6 2024.1.1販売開始

HSPiPバージョン情報
V6.0.03 2024年1月

  • 5.4より前のバージョンからアップデートされた方は、6.0の準備のために行われた大幅なマイナーチェンジに気づくだろう。
  • コアHSPパラメータはY-MB24アルゴリズムを使って計算されるようになった。いつものように新しいY-MBでは平均的な値は良くなっているが、特定の推定値が悪くなっている例を見つけるかもしれない。第6版を新しいフォルダにインストールしたので、バージョンを入れ替えることができる。
  • 良いニュースは、私たちが何年も使ってきた以前のY-MBは印象的なほど優れていたので、改良版でも「普通の」分子には大きな変化はないことです。より大きな改良点は、以前のY-MBが問題を抱えていた、大きくて多機能な分子である。
  • いくつかの非中核パラメータは、深い技術的な理由から、以前のY-MBを使って計算されている。常に強調してきたように、これらは役に立つと思う人のために “そのまま “提供している。ほとんど使われていなかったHSP@Tオプションは削除された。もちろん、標準的なT計算はプログラム全体で利用できる。
  • Y-MBへの3Dファイル(molfilesなど)の読み込みが合理化された。これにより、いくつかのわかりにくいファイル形式を読み込む機能は失われましたが、一般的なファイル形式については信頼性が向上しました。必要であれば、OpenBabelを使って、使用されている.mol、.sdf、.pdfフォーマットに事前に変換することができます。
  • P = Polymers形式は、医薬品の原薬やナノ粒子など、他のデータを保存するために常に使用されてきました。しかし、Pと呼ぶことで、一部のユーザーは使用を控えていました。現在ではM = Materials & Polymersに変更しました。いくつかのコントロールの名前が変更され、”Further Comments “カラムの名前が “Source “に変更されましたが、機能は同じです。
  • データポイントのフィットは、指数へのフィットが選択されていない限り、結果を示すグラフィックがありませんでした。これが追加されました。結果は奇妙に見えるかもしれませんが、それはフィットの焦点がセット全体ではなく、良い値に当てられているからです。
  • Sボタンをクリックすると、選択した溶媒を表示するS+オプションがある。溶媒の選択がどの程度良いかを示すメトリックスが表示され、1つか2つの溶媒を変更することで、より良い溶質の測定値を得ることができます。この新しい機能の使い方は、ヘルプでS+を検索してください。
  • データ値を持っている人のために、Sボタンは溶媒を最大値からの距離で色分けして表示します。
  • 3DOのワイヤーフレームで、マウスが溶媒を識別できない不具合が修正されました。
  • DIYで、溶媒オプティマイザーだけでなく、メインの溶媒テーブルに分子を追加するオプションが追加された。
  • 最初のカラムに同じ溶媒を使用するグリッドで、100%:0%の項目が重複していた。これらの項目は削除された。
  • 我々は第6版のリリースまでHSPiPの価格を上げないと決めていた。つまり、2015年以降HSPiPの価格は変わっていない!我々は、多くのユーザーが値上げをしない価格で良い買い物ができたことを嬉しく思っているが、そろそろ我々自身にもフェアであるべきであり、この間の大きなドル高に追いつく必要がある。もちろん、現在HSPiPを使用しているユーザーには、新しいバージョンへの無料アップデートとスティーブンのテクニカルサポートが無料で提供される。HSPiPは非常に魅力的なパッケージであることに変わりはない。
  • そして、今回のリリースにはヒロシからのメッセージがある。

Dr. 山本博志からのメッセージ

Y-MB24へようこそ。今回のリリースにあたり、いくつかの重要な点を述べたいと思います。

HSPiPはデータベースソフトではない。
溶媒を扱う時、ユーザーはHSPの値だけでなく、実験的な沸点、アントワン定数、RERなどを必要とする事がある。それらを空欄にして、実験値の収集はユーザーに任せるのは簡単だ。しかし、そうすると多くの関数が機能しなくなる。そこで、Y-MBの特性推定関数を用いて空欄を埋めている。これらは推定値であるため、この新しいバージョンでは答えが変わってしまう。我々はユーザーの便宜のために推定値を提供しているのであり、個々の溶媒の精度を保証するものではない。

ユーザーによっては、個々の溶媒の推定精度が悪化していることがわかるだろう。
いつも申し上げているように、実測値をすでに知っているのであれば、なぜY-MBのものを使っているのか!

Y-MBの結果を分析したあるAI会社は、「分子構造からHSPをR = 0.98で予測するモデルを作りました」と言った。これは明らかに間違いだ。彼らが作ったモデルはY-MBの推定値を予測するモデルだ。HSPiPをデータベースソフトと誤解するとこうなる。
Y-MBをクラックして自分のHSP推定式だと主張するケースもある。AIの技術が進歩すれば、このようなことはますます簡単にできるようになるだろう。
ユーザーはその意味をよく考えるべきだ。AIによるY-MBを選択することはいつでもできるが、長期的に見れば、より良い、より賢いHSPiPの継続的で忍耐強い開発を失うことになる。

このバージョンによって、特許や論文に記載されている結果が変わる可能性もある。
もちろん、特許や論文にはどのバージョンが使われ、どのオプションが採用されたかが明記されているはずなので、結論そのものが変わることはない。
前述したように、新しいバージョンは新しいフォルダにインストールされるので、第5版と第6版を実行して結果を比較することができる。

HSPiP QSARはSMILESから計算されたY-MBの推定値だけを使うので、新しい結果も異なるだろう。あまり変わらないかもしれないが、それでもチェックは必要だ。

HSPiPにおけるQSARの意義を説明しよう。QSARは主に分子構造に基づいて定量的な値を決定するキープレーヤーを見つけることである。もし全ての定量値がHSPだけに依存するのであれば、QSARは必要ないだろう。HSPに加えて、例えば分子のMVolやOvalityを考慮することで、より良く説明できる溶解度現象もある。他のパラメータが重要な場合もある。QSARはそのようなパラメータを見つけるためのツールである。

そのプレイヤーが分かれば、Y-MBの推定値ではなく、実験値から正確なQSAR式を作るべきだ。しかしその前に、正と負の係数を見ることで洞察を得よう。
そして、FindMolsを使って、より良いかもしれない分子を特定しよう。予測された化合物を実際に実験しながら、ゆっくりと実験値を集めていけばいい。

FindMolsの結果は、特に以前のバージョンで問題となった高機能性分子については、新しいバージョンでは異なるものもあるだろう。
新バージョンはより良い分子を同定する可能性が高い。
Y-MBとFindMolsを使用して独自のGreenSolvent.sofxを作成した場合、旧バージョンを保持したままプロセスを再実行し、新しいGreenSolvent24.sofxを作成することをお勧める。

私(Prof. Abbott)は、長年HSPiPのために働いてくれたY-MBの古いバージョンを誇りに思っている。
多くの作業の後、Y-MB24が既に優れたモデルを改良していることを嬉しく思う。どんな予測スキームも100%信頼できるものではない。
長年にわたりHSPiPのコミュニティは、バグや問題を特定するのに役立つ問題をフィードバックし、我々はそれを修正することでコミュニティ全体にとってより良いものになるようにしてきた。
Y-MB24へのフィードバックをお待ちしています。

v5.4欠番

V.5.3


HSPiPユーザーの皆さま

HSPiPの重要なアップグレードであるv5.3.02が、Hansen-Solubility.com Webサイトからダウンロードできるようになりました。
これまでの、すべてのアップグレードと同様に、新バージョンは無料です。
これまでのHSPiPの一般的なプログラム設定はそのまま引き継がれます。

最近更新していない人のために、v5.3の特定の新機能を必要としない場合でも、このバージョンには、v5.2.07までのマイナーな微調整とバグ修正がすべて含まれます。
分子の部分構造検索などを通じて、新しいエキサイティングな機能を追加しました。

v5.3の主要な追加機能は、粒子/ポリマー配合を扱うユーザーにとって興味深いものになるはずです。

SFBox-FE(フロントエンド)が実装されました。オランダのワーゲニンゲン大学にあるFrans Leermakers教授のSFBoxプログラムを介して、SF理論を用いたポリマー/粒子/溶媒相互作用の強力な計算を実行できます。

それはどういう意味でしょうか?
過去数十年間、粒子/ポリマー相互作用の世界のトップアカデミーは、Scheutjens-Fleer(SF)理論を使用しており、これはSelf-Consistent Field theory(自己無どう着場理論)と呼ばれることもあります。

粒子に付着しているポリマーの量と、どれだけ一杯(またはどれだけ少し)溶媒に突き出ているがわかります。

単純なポリマーでも機能しますが、ジブロックおよび櫛形分散剤やグラフト化ポリマーでも同様に機能します。
非常に強力で便利であるにもかかわらず、計算が専門家のコーディング能力を持たない人にとって複雑すぎるため、処方コミュニティでは広く使用されていませでした。

しかし、今や、これはHSPiPの一部であり、ポリマーが粒子の周りで何をしているかだけでなく、粒子/ポリマー/溶媒の組み合わせの安定性(これらの計算には数秒かかります)も簡単に(計算は「瞬時」に)確認できます。

これは画期的なことです。

これを可能にしたのは、Leermakers教授からの寛大な支援に加えて、SF理論がさまざまな相互作用を計算するためにχパラメータに依存しているという事実です。

そして、チャールズが何年も前に示したように、HSP距離からχパラメータに直接進むことができます。

これは、粒子とポリマーのHSP(およびA、Bブロック、または櫛の異なるHSP)を測定した場合、SF計算に使用するχパラメーターの適切な推定値をすぐに取得できることを意味します。
 
eBookはSFBox-FEに関する章が更新されており、eBookが提供する強力な機能についての完全なヘルプが提供されています。

このような新しいツールを使用すると、私たち全員が学ぶことはたくさんあります。私たちは特に、SFBox-FEの良い面と悪い面についてのフィードバックを歓迎します。

そして、そう、SF理論を使用して、A-Bジブロックを介した溶液の増粘など、ポリマーの挙動の他の側面をモデル化できます。

私たちはSFコミュニティの専門家と協力して、HSPiPに追加のSFモデリング機能を追加する方法を検討していますが、これには時間がかかります。

最後に、HSPiPのメジャーリリースに関するこれらの不定期のメールを受け取りたくない場合は、返信メールでお知らせください。
リストからあなたの名前を削除します。

スティーブン

V.5.2


親愛なるHSPiPユーザー,
チャールズ、ヒロシと私はv5.2を発表することを嬉しく思います。

ヒロシは長年にわたり、ポリマーのHSPを推定するY-PBスキームに取り組んできました。これは5.2で実装され、Hiroshiが広範囲のデータセットから多大な労力で組み立てたポリマー特性の膨大なリストと共に実装され、その多くは比較する必要があり、最終的に選択される必要がある非常に可変的な値を含んでいます。これは、多くの主要なポリマー特性のための最良の利用可能な実験値のためのワンストップショップです。

同時に、オープンソースの化学機能である強力なRDKitをHSPiPに統合し、機能を追加しました。最も目に見えるのは、Smiles を Y-MB に入力すると、3D 構造が得られることです。また、Y-PB SMILESから構造を取得します。RDKitはまた、InChI変換のようなものを改善することができました。

SMILESの3D構造により、ゴダード教授の有名なQEq(電荷平衡法)技術のヒロシのバージョンを実装し、(オプションで)3D分子上の電荷分布を示す事ができます。これは、ユーザーが自分の分子の側面をよりよく理解するのに役立つ可能性があります。.5.2 が進化するにつれて、3D 構造情報は他の方法で使用されます。

拡散は多くのHSPiPユーザーにとって非常に重要であるため、最新のBrandsch拡散係数推定機能を拡散モデラーに追加しました。これは、このような推定方法の最先端です。

また、いつものように、バージョン情報ドキュメントに記載されているマイナーな改善の範囲は、ダウンロードページにあります。

新しいバージョンは、もちろん、ハンセン溶解サイトのダウンロードページ上から、すべてのユーザーに無料で提供されます。

X-Abilityとの提携は無くなりました。
X-Ability社がWinmostarに搭載して販売していたHSPモジュールは、今後(2020以降)販売されません。
また、HSPモジュールのサポートは、こちらでは一切行いません。X-Ability社へお問い合わせください。

また、日本のユーザー向けに特別なお知らせを行います。v5.2は、ヒロシと化学ソフトウェアの専門家X-Abilityとの間の新しいコラボレーションの始まりです: ユーザーサポート;ヘルプと電子ブックの日本語版;特別なトレーニングコース;新しいサーバー機能など。詳しくは、x-ability.jp坂牧までお問い合わせください。

スティーブン、チャールズ、ヒロシ

変更点

  • We now have the Y-PB (Yamamoto Polymer Breaking) method for better predicting polymer HSP values and a range of other properties. It is anticipated that this first release is the start of a set of upgrades to Y-PB as we gain more experience with it.
  • The polymer database linked to Y-PB now contains over 1400 polymers with a large number of experimental details selected by Hiroshi from a number of different datasets, plus the Y-PB estimates of HSP values
  • Thanks to the amazing RDKit, an open source chemistry capability which we acknowledge with warmest thanks, we can now convert a Y-MB SMILES into a 3D structure for you to view.
  • From this 3D structure we can calculate the charges on each atom via the famous Goddard QEq approach, using Hiroshi’s special implementation. Users might find this of interest in thinking about how the molecule might interact with others.
  • RDKit comes with its own InChI-to-SMILES converter so the InChI handling is now more robust
  • A little-used feature to view a polymer SMILES via a set of mol files has been removed because any Y-PB molecule can be viewed by clicking the Y-MB tab where the polymer molecule is shown with distinctive chain bonds
  • The 3D views now all have Mouse-Wheel zoom in and out as well as Shift-Drag
  • Ctrl-D/Ctrl-P between relevant tables now copies the name as well as the HSP and MVol values
  • Showing names/numbers from the Solvent Match option in Polymers was unreliable. This has been fixed.
  • A new estimator for Diffusion Coefficients has been added to Diffusion using the sophisticated Brandsch model that uses the Tg of the polymer and the Tm of the diffusing molecule. Brandsch has worked extensively with the issues of diffusion through food packaging and this is a further refinement of the estimation schemes associated with the names of Pirringer and Brandsch.
  • A Help button has been added to Diffusion
Ver.5.1 November 2018 未翻訳
  • The new XML-based .hsdx and .sofx file formats have been introduced as the future of HSPiP’s file system. These are far better for internal use within the program, but importantly, allow CAS and SMILES to be an integral part of the file formats, making it much easier to process data internally or externally. Note that you can always use your older files and if you want to save in the old format you simply choose the Save as .hsd and Save as .sof options in the main form and the Optimizer
  • The PowerTools have been removed. They have been replaced by the SMILES drawing system and by the QSAR. Japanese users can still access similar tools via Hiroshi Yamamoto’s Pirika site.
  • The Print and Screen Capture utilities have had problems for some years thanks to the complexities of screen resolutions so have been removed. Printing is less common these days and can be done via clicking the table icons to paste into Excel; and everyone now has good screen capture tools. Removing the capture buttons has freed up space to move some controls around to be more logical – you should have no trouble finding them.
  • The NoChk option from 5.0.13 has been removed because the CAS-based checking does not cause the problems that the NoChk option was able to avoid.
  • The transition from 32x to 64x caused some problems for users in the early days. But the vast majority of users are now on 64x systems so support for 32x (which was always a problem!) has been removed and users on super-old systems will need to continue using the classic 4.1.07 version.
  • The small spheres of good solvents were not smooth, to save computational time in early versions. With modern PCs this limitation has been removed so spheres are smoother.
  • The 3DO dataset did not auto-update if a fresh solvent set was added or if a solvent parameter was changed. This has been fixed.
  • Following a user’s request, the Solvent Optimizer now estimates the density of the chosen blend., within the limits of simple approximations and the MVol and MWt entries (if they each exist) in the table.
V.5.0.03(先生から送られたメールの翻訳です。2015.11.26)

チャールズ(ハンセン先生), Hiroshi と私はHSPiPのバージョン5がリリースされた事をとても嬉しく思っています。
これはメジャーアップデートです。以下に付ける詳しいバージョン情報(ウエッブサイトにも置いてあります)を読んで頂ければ、我々が何を成し遂げ、それらがどんな新しいアイデアをユーザーにもたらすか、お判り頂けると思います。

大事な点は、アップデートが無料で行われるにも関わらず、多くのPredictive Power(予測能力)の向上がはかられてる点です。

特にY-MBのアップデート、VLE(気液平衡)計算の改良、QSAR(定量的活性物性相関)のツールなどです。

このソフトは最新の64Bit Windows OS (もしくは、Macの64bit Windowsエミュレーション上) 7, 8, 8.1, 10と最新の高解像度のスクリーン上で動作します。

そして、もし、既にWindows10を導入していないなら、新しいDotNet Framework 4.6(無料)をダウンロードしてインストールする必要があります。

ソフトが64x化された事によって、これまでと異なり
c:program files/Hansen-Solubility/HSPiP 
にインストールされ、以前のバージョンは 
c:program files (x86)/Hansen-Solubility/HSPiP 
に手つかずに残されています。

そこで、望むのであれば古いバージョンも平行して使い続ける事が出来ます。例えば、解像度の低い古いプロジェクターを使おうとしても、新しいバージョンではスクリーンに合わないかもしれません。
もちろん、ファイルフォーマットの.hsd と .sof は変更ありませんので、全てのバージョンで使い続ける事が出来ます。
古いバージョンも我々のHPに残しますので、再ダウンロードや古いPCへの再インストールが必要になった時には何時でもご利用ください。

この変更は、様々な高解像度のスクリーンやフォントなどのスクリーン設定、そして複数のモニターの利用下で、HSPiPを正しく動作させる事が段々難しくなってきたのがその理由です。

Windows 10でのこれらのサポート環境は前の物よりは良くなっていますが、別の問題も引き起こします。この大きな変更を今行う事で、将来のHSPiPとWindowsプラットフォームへの対応の布石にしたいと思います。

この対応に思った以上の時間がかかり大変申し訳なく思っています。

しかし、皆様がHSPiPをアップグレードし、引き続きより良い改良を我々とともに行って行く事を期待しています。将来どのような改良を行ってくのか?に関しては、余りにバージョン5に注力しすぎて明確なアイデアは今の所ありません。

しかし、これまでの7年間たゆまぬ改良を重ね(最初のバージョンのリリースから今日で8年目に入ります)、世界中に大勢のHSPiPユーザーを獲得しました。引き続き適用範囲の拡大をめざし、皆様や共同開発者から提供された情報にこれまで以上に目ざとく対応して行きたいと思います。

いつも言っている事ですが、皆様からのフィードバック、バグ・レポート、提案、コメントなどをお待ちしています。

以下、バージョン履歴:

  • この新しいHSPiPは、メジャー・バージョンアップのリリースだ。これは64x 用のプロセッサー用にコンパイルされているので、古いXPマシンでは動かない。
  • このソフトは、これまでのc:\Program Files (x86)では無く、c:\Program Filesにインストールされる。そこで、あなたが望むのであれば、古いバージョンのHSPiPにショートカットを設定すれば、問題なく無く古いバージョンも使える。これは、特許用など、計算結果に一貫性が必要な場合に古い計算結果を使い続けたいという要望に答える為の物だ。
  • このHSPiPは古い4.0では無く、新しいDotNet Framework 4.6を必要とする。そこで多くのユーザーは新しいFrameworkをダウンロードしてインストールする必要がある。
  • 64BitやFramework 4.6への変更は、Windows 10パラダイムへの現在なされている移行に対して、DotNetシステムが今後もマイクロソフトによって、より長くサポートされる事を期待してのことだ。特に、ハイレゾのモニターに対する問題は、新しい環境に於いては、よりうまく制御されている。以前のバージョンのHSPiPユーザーの相当数が、HSPiPの適正なスクリーンの設定を調整せねばならず、小さすぎたり、スクリーンに合わない環境で使わなくてはならなかった。”スクリーンの解像度”の問題は全てのソフトウエアー開発者が現在も直面している問題で、新しいバージョンも、完全である事を保証するわけでは無い。しかし、複数モニターを使っているケースも含め、様々なスクリーンでテストした所より良くなった事だけは確かだ。(小さなラップトップのモニターから、大きな外部モニターにHSPiPを移すと混乱が生じる場合がある。)HSPiPを2つ目のモニターで走らせている場合、他のフォームも2つ目のモニターで開くようになった。
  • ウインドウズ7では、そのような”スマート”な自動サイズ変更ができないので、プログラムは解像度に依ってはうまく動かない。古いプロジェクターでも問題があるかもしれない。最新の使用感を得るため、全ての古くさい解像度で完全に動作させる事は不可能であるという事だけだ。
  • 新しい”スクリーン解像度に適合した”部品配置への移行は、多くの標準のボタンやチェックボックスの位置を動かす必要があった。ユーザーが、新しい部品配置をよりきちんとした、そして、より論理的であると思ってくれる事を願う。
  • 技術的な理由で、HSPiPのメインのパネルは、マニュアルでのサイズ変更、拡大はできなくなった。
  • Y−MBエンジンは著しく改良され、HSPの推算値や他の推算値は大幅に改良された。一般的に言って、こうした変更はより良くなったと言えるだろうが、常に否定的な側面も併せ持つので注意が必要だ。必要であれば、一貫性を保持するケースには以前のバージョンを使って欲しい。
  • Y−MBの予測値のアウトプットは、新しい列の形でメインのデータ・フォームに貼付けられる。そこで、最初は戸惑うかもしれない。自分が何処に居るか知る簡単な方法は、列を水平にスクロールしてみる事だ。Excelの固定カラムのように、番号と名前の列が固定されたままになっている事が判るだろう。
  • 初期設定のオプションでは、いくつかの選択されたものだけしか表示されないが、もっと多くのデータ列が扱えるようになった。Allオプションで全ての列が表示される。
  • 熱膨張係数、MIRやlogKsoilなどのパラメータの推算値は、もはや与えられない。これらのパラメータは、良い実験値のデータが少なく、満足する結果が得られないからだ。内部的には、熱膨張係数は、温度依存性の効果を取り込んだ新しいアルゴリズムに完全に置き換えられた。logKsoilの推算を必要とするユーザーは、自分自身のQSAR式を組み立てるのがいいだろう。(手始めとなるデータを付け加えた。)
  • 溶媒の最適化ルーチンにあった“方眼”のオプションは、ほとんど使われず、フィードバックも無かったので取り除かれた。この実験的なオプションは(今の所)有用で無いと言う事だろう。メインフォームにあった球のオプションも取り除かれた。球でないプロットが評判が良くなかったからだ。
  • いくつかのボタンの表記方法が変更になった。例えば、昔のO, P と δボタンが、Optimizer, Polymer, DIYに置き換えられた。そして、昔のWF表記がWire Frameに、Xが3D Resetに置き換えられた。
  • Y−MBで選択される、Full Datasetオプションの時に、No Headerオプションが選択できるようになり、データだけがクリップボードに置かれる。
  • 以前のバージョンでは自分だけの値を入れたMyDBがサポートされた。これは新しいバージョンでは使えなくなった。こらは、新しいY−MBで官能基のリストが拡張された為で、この機能は取り除かれた。
  • DIY のAzeotropes/VPの部分にあるVLE(気液平衡)計算は完全に書き換えられた。そして信頼性と予測性が向上した。これはHSPiPのアップグレードの目玉の機能でもある。Y−MBで新しいパラメータセットが使われる一つの理由が、VLE計算の信頼性の向上をはかる為である。
  • VLEの重要な利用分野の一つとして、蒸気による脱脂やエネルギー回収システム用などの要求に応える共沸混合溶媒の探索があげられる。溶媒のSMILESの構造式を受け付ける機能が実装され、全ての溶媒の組み合わせで共沸(もしそれが存在すれば温度と%)が計算される。
  • 新しいQSAR(定量的構造活性相関)の機能がHSPiPの環境に付け加えられた。
  • この強力なQSARの能力については、別の資料で議論する。多くの例題(logKsoil のQSARを含む)が含まれる。QSARによる現実的な研究に対して、耳障りでも良いフィティング、悪いフィティングの例を示し、QSARの集中講義としよう。
  • Accelrys (現在のDassault Biovia)のPipeline Pilotなどに代表されるようなサーバー・ベースのワークフローを使いたい研究者の為に、CLI (Command Line Interface)バージョンのHSPiPを購入するオプションがある。CLIの値段と互換性の情報は要請があればお答えしよう。CLIバージョンはスタンドアローン・バージョンと全く同じルーチンを使っているので計算結果は何時も同等である。
  • CLIバージョンのフル機能は別のドキュメントで議論される。
  • 余り使われない機能で新しいY−MBエンジンと互換性の無い機能は取り除かれた。Analogs(類似度)、SP値の自動グループ分け、DIYの所にあるHSEでのFunctional Distance(官能基距離)などだ。
  • 新しいY−MBエンジンでは融解熱を推算するようになった。推算値はSolubility form(溶解フォーム)に含まれる。これは以前のバージョンではユーザー定義の入力しか無かった。
  • GA(遺伝的アルゴリズム)オプションを使い、ハンセンの溶解球を2つ探索した場合、両方の溶解球の値がクリップボードに配置され、Word や Excelにペースト出来るようになった。
  • Sphere中に名前や番号を表示する機能で、文字のサイズを、V.Small(とても小さい)からV.Large(とても大きい)まで5段階で変える事が出来るようになった。Mediumが以前のバージョンと同等だ。
  • FindMols(分子の探索)オプションで、提案される分子のリストから、原子単位の除外(ハロゲン、窒素、シリコンなど)が行えるようになった。
  • SO(溶媒最適化)で、テーブルから溶媒をコピーした際に、greyed-out(灰色に色づけ)された溶媒がコピーに含まれなくなった。PWでの結果などにも含まれなくなった。
  • Y−MBにある3次元分子のグラフィックには、メインのパネルに与える不調を減らす為に、小さな変更が加えられた。
  • ポリマーのパネルでSolventsボタンがくりっくされた時に、様々なポリマーの組み合わせについて溶媒が色分けされるようになった。ポリマーSphere全てに対して外側にある溶媒は赤、一つのポリマーSphereの内側にある溶媒は白抜きの青、全てのSphereの内側にある溶媒は塗りつぶしの青だ。
  • AdscientisのDr Eric Brendléとの実りある協力のおかげで、IGC(インバース・ガスクロ)のフォームは、2つの改良が加わった。最初の改良は、Vg値のテキスト・ファイルを読み込む事が可能になり、それらのChi値が自動的に推算されるようになった。2つ目は、これらの計算されたChi値は、もはや固定相のMVol(分子体積)を使わない。と言うか、固定相の分子体積はとても大きいと言えるので、MVol_Solvent/MVol_Stationary_Phase補正値の値は、原則的に0であると言う事だ。この事は、(研究者が興味を持っている)絶対的なChi値は妥当では無い事を意味している。しかし、この事は、HSP値の推算値は、このChi値の補正から除かれるべきであることも意味する。残念ながら、以前のバージョンではこれを考慮に入れていなかったので、小さな分子体積の添加剤のHSPの推算は問題が多かった。しかしながら、最も外れる大きな誤差は、おそらく中性の支持層の効果によって引き起こされている事は指摘しておこう。Adscientisの研究では、多くの典型的な支持体は大きな影響を持ち、これがしばしば無意味なHSP値を作り出してきた。そこで、中性に近い支持体が使われた時だけこのテクニックは妥当である。
  • ヘルプファイルには、よく使われるキーボード・ショートカットのリストが付け加えられた。
V. 4.1 (リリースにともなって送られたメールの翻訳です。2013.8.26)

HSPiPを購入に当たっても注意喚起(2017.6)
HSPiP ver. 4.1.07をインストールしたユーザーから不具合のレポートが複数ありました。日本語OS特有の問題でまれにしか起こらないため、修正はできないとの事です。購入前には是非お読みください。

チャールズ(ハンセン先生), Hiroshi と私はHSPiP ver.4.1をリリースできたことをとても嬉しく思っています。

この新バージョンは、今年(2013)6月に行われたHSPiP開発者会議で行った作業の結果が反映されています。

我々が独自に持ち寄った改良のためのリストに加え、共に改良に携わっているユーザー・コミュニティーからのたくさんのリクエストが検討されました。

いつものように、ユーザー・コミュニティーへの我々の感謝の気持を込めて、このバージョンも追加費用無しにアップグレードできます。

www.hansen-solubility.comのダウンロードのページへ行き、最新版のインストーラー.msiをダウンロードし、インストーラーを走らせてください。(企業のIT環境によっては管理者権限が必要になる場合があります。)

後は今まで通りに使うだけです。

今回改良された部分についてはダウンロードのページにWORDファイル(英語)として置かれていますし、このメールにも付け加えてあります。(メール版については翻訳したものを、載せました)

e-Bookに付け加えられた新しい章、FAQ(よくある質問)への答えは、ユーザーコミュニティーで広く議論されている内容に関するまとめなのでご一読することをお勧めします。

Hiroshiは物性値の温度依存性を詳しく検討し、Y-Predictのパワーツールに温度依存性の物性推算の結果を搭載した。こうした物性推算は、例えば表面張力の温度依存性などが計算でき、インクジェットなどの新しいサイエンスに非常に有用だ。

HSPiPの溶媒最適化機能(SO)で、提案される混合溶媒が混じらない事があるのが大きな問題になっている。v4.1では我々に出来る最良の方法で混和性を予測するツールを付け加えた。

複雑な熱力学上の理由から高精度に推算することは難しいことは解っている。また、広範な、信頼性のおける混和性のデータベースを得ることも難しいことは解っている。この混和性のツールはそれなりに機能しているし、今後の発展を目指して行きたい。

この開発者会議の間、もっと長期的視野に立った議論も行われた。それは、「我々はHSPのパワーをより拡張できるだろうか?」という命題に関するものだ。我々はその答えをまだ知らないが、試す価値のあるいくつかのアイデアは持っている。

HSPiPのユーザーコミュニティーの助けを借りながら、さらに改良を続けていこうと考えている。

Steven Abbott


v4.1.03

  • FAQ(良くある質問)の章がeBookに付け加えられた。この処置は次のキーとなる質問に答えるものだ。それらは、Radius(相互作用半径)の意味と何故、我々がそれを計算で出せないのか、Sphere(ハンセンの溶解球)のフィティングの質、大きな分子をY−MBで計算する時の制限、電荷を持った化合物の問題と何故我々がそれを計算で出せないのか、そして最後に水とメタノールのHSP値について議論する。
  • HSPiPのヘルプファイル(リッチテキスト・フォーマット)にHSPiP Data フォルダーが含まれるようになった。これはデータをワードなどで読みたいユーザー向けのものだ。
  • Solvent Optimizer(溶媒最適化機能)にLimit(限界)オプションが付け加えられた。これによって、ある使われている溶媒は、限界以上の溶媒量が使われる事が無くなる。例えば、化粧品業界ではプロピレングリコールの使用量は50%に規制されている。そこで最適化された値が63%であったらその答えは無意味だ。そのような場合、重量のカラムにL50と入力すると使用限界値を50%に設定する事を意味する。他の溶媒をL20と指定すれば、20%を超えるような処方は提案されない。
  • SO(溶媒最適化機能)でCopy All Solvents(全ての溶媒をコピーする)の機能はコピーされるカラムに問題があった。それが修正された。また、FindMols(分子の探索)結果をSOにインポートする際のバグも修正された。
  • New Line(新しい行)オプションがSOに付け加わった。良溶媒を2つ選択したとすると、その2つの溶媒をハンセン空間上で結ぶ線に近い溶媒も良溶媒となる可能性が高い。標準のCtrl-Clickでそのような2つの溶媒を選択する事ができる。選択を外すにはCtrl-ClickではなくCtrl-Shift Clickを使う。
  • 選択された特定の混合溶媒を非選択にする作業は退屈だろうから、(本当に非選択にしたいのかを確認した後に)非選択にするClearボタンが備わった。
  • 多くのユーザーは、「SOが提案した溶媒ペアが混じり合わない事がある」事を欲求不満に思っている。新しい相溶性推算機能がY-MBに追加された。信頼性の高い相溶性の推算は驚くべきほど難しく、ほとんどの方法は徒労に終わっている。ここに搭載された推算機能は900+の溶媒ペアの相関から~ 90%の精度で予測する。もし間違って予測しているというフィードバックを頂ければ、このアルゴリズムをより良く改良しようと思う
  • 相溶性のチェックのショートカットとして、SOにはMChkボタンがある。これは選択された溶媒ペア全ての相溶性チェックが(同じアルゴリズムを使って)行われる。
  • Antoine定数の推算機能が新しいものに改良され、蒸気圧が関与する物性値に高精度の計算結果を与えるようになった。そして、Y−MBではOther(その他)のテキストに表示されるのではなく、Antoine定数の専用のボックスが用意された。
  • VLE(気液平衡)計算は非常に改良された。前バージョンのMargules法は放棄され、より洗練されたWilson法が採用された。ユーザーに取っては(パラメータの名称以外)インターフェイスの変更は無い。しかし、大抵の計算結果は、共沸点の予測も含めて、より良くなった。
  • 改良された共沸/気液平衡の計算で、混合溶媒中の溶媒1のwt%を指定できるようになり、その際の混合溶媒の沸点も計算される。
  • Wilson パラメータを使う事によって、溶解性の計算精度が以前のMargulesパラメータを使ったバージョンより向上した。
  • DIYで計算される結果のうち、FlashPt (引火点)と MCI(分子結合指標)はクリップボードに付け加えられていなかったが、それが修正された。
  • SOで3成分最適化に対して時間制限を設定する事ができたが、新バージョンでは長い計算時間がかかりそうな時に単に警告が現れ、望むのであればキャンセルを選択する事ができるようになった。
  • TWのクリップボードへの出力にカラム・ヘッダーが付け加えられた。
  • DIY ポリマーでPolymer SMILES のテキストファイルに対してBatch Break(連続変換)が(Y−MBのFile Convertと同じように)可能になった。結果はExcelなどにペーストするようにクリップボードに配置されるとともに、Polymers tableに読み込めるように.pdsとしても保存される。
  • 界面活性剤の計算は、以前のNumbersタブではなく、それ自身のタブで行われるようになった。
  • DIYにあるEACN推算機能が、Lille大学のAubry教授らのグループの最新の広範囲のデータセットを用いて改訂された。いまや、これはHLD-NAC界面活性剤理論のキーパラメータを推算する非常に強力なツールとなっている。
  • 多くのユーザーがメタノールは異常値をとる事を見つけているので、“clustered”(クラスターを作っている)メタノールの為のHSP値を提供する事に決めた。メタノールがそのようなクラスターを形成する事は疑いようがない。そしてメタノールのもうひとつの端(長鎖のカルボキシル化合物が存在する時に現れる)を様々なデータセットの値を横断的に解析する事によって決定した。これは水や1,4-Dioxaneの代替値と同様で、どちらの値を取るかはユーザーが決める必要がある。
  • いくつかのポリマー(PVP, PVC, PVdC, PLA、コレステロール)のHSP値は、データセットを注意深く再評価する事によって改訂された。保存ルーチンで、レートなどの追加データが失われるバグが修正された。
  • ポリマー理論の中で、架橋がかかったポリマーの膨潤性を記述するFlory-Rehnerオプションが追加された。
  • Y−MBで新しいボタン、àSOが追加された。このボタンをクリックすると、関連のあるデータは全てSOの溶媒データに新しい行として付け加えられる。その際に、溶媒名は“From Y-MB”となる。
  • Y-MBで3D構造をインポートする際に、.xyz フォーマットと単純なMOPACカルテシアン・フォーマット(.mop)も読み込めるようになった。どちらの場合にも結合と結合の次数(単結合、2重結合、芳香属性結合など)は明示的でなく、他の複雑なルーチンを使って推算しなくてはならない。しかし、複雑な分子では100%信頼が置ける訳ではない。
  • 拡散モデラーにWLF (Williams-Landel-Ferry)オプションが利用可能になった。これはがr捨てん移転温度(Tg)以上の温度で拡散係数が大きく変化する事を表現するのに適している。ある温度でのD(拡散係数)が解っていれば、任意の温度での拡散係数を計算する事ができる。多くの場合、その値は驚くべきほど大きな違いになる。WLFモデルは、PE, PPやPETなどの通常のポリマーに見られるアーレニウス・タイプでは無い温度効果を示す。興味深い事にどちらのモデルも食品産業で使われている。WLFは、例えば、非晶質の糖類への拡散を記述し、アーレニウス式は典型的なパッケージフィルムを透過する拡散を記述する。
  • 拡散モデラーの計算である環境の下、非常に長い時間スケールで計算すると問題が起こる事があったが、より複雑な長時間スケールの計算が扱えるようになった。
  • エキスパート・ユーザーから、ラクトン環を持つ化合物のY−MB計算結果が満足できないとフィードバックがあった。現実をより良く反映するようにラクトン環のパラメータが再構築された。このような実験値に基づくフィードバックは大歓迎だ。
  • メインとSOで、Tenperatureオプションが使われている時にデータがクリップボードに置かれると、(フォームで表示されている差分ではなく)計算された値が使われる。つまり、δDが18 -0.4とフォームに表示されていても、クリップボードには17.6が置かれる。
  • NADES(Natural Deep Eutectic Solvents:)のデータセットがSOフォーマットで追加された。これらは多くの産業分野で注目を集めている。NADESに関する議論はイオン液体の章に追加されている。
  • Y-Predictパワーツールがアップデートされた。熱膨張や臨界定数への深い洞察に基づいた新しいアルゴリズムが使われている。また、多くの温度依存性の物性値を予測できるようになった。例えば、298Kから408Kの表面張力の値を計算できるようになった。こうした計算により、テトラリンの400Kでの表面張力が検討できる。
  • ユーザーの利便性の為に最新の.msi インストーラーは Hansen-Solubility.com

(注:プログラム本体をダウンロードしても、ライセンスを購入しなければ利用できません。ライセンスを既にお持ちの方は、念のため古いHSPiPのフォルダーの名称を変えた後に、新バージョンをインストールし、ライセンス・ファイルを移動してください。)

Ver. 4(のリリースにともなって送られたメールの翻訳です。2013.1.7)


(一部の方にこのメールが届いていないようです。ユーザー登録がきちんとされていないので、山本宛か、先生の方にメールで確認下さい。)

HSPiPのユーザーの皆様

明けましておめでとう

我々はHSPiPの第4版をリリースしたことをアナウンスできることを光栄に思っています。もちろん、これまでのユーザーの方は無料でアップデートできます。いつもの、
http://www.hansen-solubility.com/index.php?id=25
へ行き、インストーラーをダウンロードしてインストールを行えば、すぐにでも新しいバージョンが動き出すでしょう。(ただし、会社の規約次第ではアップグレードに管理者権限が必要になるかもしれません。その場合はシステム管理者へお問い合わせください。)

下記に詳細がリストされていますが、多くの変更がなされていますが、キーとなる変更は2つです。
物性推算の機能、Y-MBがアップグレードされより信頼性の高い推算機能が付け加えられました。

そして、HSPiPに任意のWebブラウザーで動作するパワーツールの第一弾が搭載されました。これはHSPiPをアプリ化する長い道のりを我々がスタートした事を意味します。(アプリ化というのは、Webアプリと呼ばれる、PC、Mac、Linuxなどマシンに依存しない、iOS, Androidまで含めて同じように動作するアプリケーションの事を指します。)パワーツールは幅広い機能をHSPiPに追加する事を可能にします。幾つかはよく検証されたもの、いくつかは実験的なもの、教育的なものが含まれます。パワーツールは不定期に、しかも頻繁にアップグレードされますが、HSPiP本体とは異なり、再インストールを初めからやり直す必要がないので、会社などでの計算環境では使いやすいでしょう。パワーツールに関するリクエストに対しては我々も喜んで対応しますが、いずれ公開しようと考えている開発中の第2弾も多く抱えています。(対応が遅れることがありますがご了承ください)

パワーツールはローカルのwebブラウザーで動作しますが、外部のインターネットにはセキュリティーの観点からアクセスしないように作られています。このプログラムは新しい、標準的なHTML5/CSS3/JavaScript を使って開発されているので、最新のブラウザーを使う必要があります。Chrome, FireFoxそしてSafariでは良好に動作しますが、IE9, IE10ではマイクロソフトの”標準的でない”実装のため機能に制限があります。

HiroshiのHP, Pirikaサイト (www.pirika.com) に慣れ親しんでいるユーザーであれば、ほとんどのパワーツールはHiroshiの実験的(彼は怖いもの見たさのプログラムと呼んでいた)なアプリをベースにしていることに気がつくでしょう。第一弾のパワーツールは、多くのPirika訪問者の熱狂的なフィードバックによってブラッシュアップされた人気の高いアプリがもとになっています。

HSPiPの値段はかなり長い間据え置かれていました。そこで新しいバージョンでは、第3版以降加えられた多くの機能、第4版で搭載された新しい機能に見合う値上げを行います。しかし、先にも述べたように既にHSPiPをお持ちのユーザーは無料でアップグレードができます。

我々は、引き続きHSPiPのメインの機能、パワーツールの機能に対するフィードバックをお願いしたいと思います。製品がより良くなるなるためのこうした貢献に対して、我々の感謝を表すために、この無料のアップグレードを続けていきたいと考えています。

Steven, Charles, Hiroshi

第4版の変更点の詳細

  • 新しいY-MB(Ver. 3.5)はHSP推算値と、重要な物性の推算精度が向上している。
  • HSPiP、パワーツール第一弾がリリースされた。これらはHSPのデータファイル(hsdフォーマット)に対して追加の機能を提供する。HSPiPをインストールしていない共同研究者がhsdフォーマットのデータを見るためのビュワーが提供される。パワーツールはPC, Macなどの標準的なプラットフォームで動作する。(iPad, Androidでも動作するが、ライセンス認証の問題が解決されていない。)パワーツールはローカルのマシン上で動作し、インターネットへのアクセスは使われていないので、データのセキュリティーは確保されている。
  • 長い間要望の多かった、HSPiPのメインSphereフォームがフル・スクリーン対応になった。(それをしなかった最大の理由)美的感覚からは完全とは言えないが、3D表示やテーブルの表示領域の拡張は多くのユーザーにとって有用だろう。
  • MVC (Molar Volume Correction:分子体積の補正)オプションは相対的な体積(鮮やかさを誇張しているが)で溶媒を表示する。分子体積による、”間違って外側にいる”、”間違って内側にいる”効果を理解する助けになる。
  • DIY ポリマータブで、テーブル中のモノマーから任意の割合の共重合ポリマーのHSPが推算できるようになった。ポリマーSmilesのn-mer計算のアルゴリズムが改良された。
  • NumbersタブでSMILES構造式からオイルのEACN (Effective Alkane Carbon Number)が計算できるようになった。これは、界面活性剤のHLD-NAC理論で使われる。
  • FindMolsとSolvent OptimizerでDonor/Acceptorオプションが使えるようになった。
  • Solvent Optimizerに“Best +”オプションがついた。これは、1か2ボタンによって得られた、自動的な最適解のそばにある混合溶媒をみつける機能だ。これにより、ほんの少量の変わった時に見つけられなかった(指定された距離の中にある)他の混合溶媒を見つける事が可能になる。
  • Solvent Optimizerに余分なデータを含ませるカラム、(BPt, FlashPt, VP@25, MPt MWt)が欲しいという要望は多くのユーザーから頂いていた。XCエクストラ・カラム)オプションを選択するとこれらの追加のカラムが表示される。DefaultSolventOptimizer.sofファイルにはこれらの追加カラムに(我々にできる限りの)データが埋め込まれている。しかし、これらのカラムを遡及的に全て埋めようとはしていない。デフォルト、もしくは新しいリストを作ってユーザー自身が作って頂きたい。関連するデータはマスターデータベースから右クリックすることによって自動的に移動する事ができる。
  • FindMolsが .hsdファイルを作成できるようになった。もしこれをSolvent Optimizerにインポートしようとすると、10k データベースにある分子のRERとAntoineの値が無くなった。これが修正され、XC(エクストラ・カラム)の値もインポートされるようになった。これにより動作は幾分遅くなり、適用されるのもFindMolsOutput.hsdだけだ。もし、手で作った .hsdファイルが使われたら、10kデータベースにあるRERや他のデータを予測するのは現実的ではない。
  • もし溶解度を実測するターゲットがX%の溶媒を含んでいたら? 試験管中の溶媒(混合溶媒かもしれない)のHSPとその%を、現実の溶解試験を行う(混合)溶媒に含めることができるようになった。Helpファイルの(DILUENT)を参考にして欲しい。
  • Y-MBでもっと早くに消すべきだったが、歴史的残存項 “Check dTot”の値が消去された。これからはdTotの値は、各項(dd, dP, dH)の合計として計算されるもので、独立に推算されるものではない。
  • マスター・データベースのHSP値はこれまでに変更されることはなかった。しかしながら、一つだけ、1,4-Dioxaneの別の値が追加になった。もとのとても小さなdPの値(ダイポールモーメントが0に相当する)はこの溶媒を正しく表してはいないとかんがえられる。さかのぼって、もしくは将来的にどちらの値を使うかはあなた次第だ。もちろん、10KデータベースはY-MBをベースにしているので、Y-MBの更新に伴って大幅に値が変更された。
Ver.3.1.03(のリリ-スにともなって送られたメールの翻訳です。2010.12.10)


(一部の方にこのメールが届いていないようです。ユーザー登録がきちんとされていないので、山本宛か、先生の方にメールで確認下さい。)

V.3.1.03の完成に寄せて

HSPiPの全てのユーザーに次のアナウンスをすることを光栄に思う。我々はHSPiPのメジャーアップデート、Version 3.1.03を完成させて、
いつものダウンロードページに置いた。
http://www.hansen-solubility.com/index.php?id=16

このアップデートは全てのHSPiPユーザー(Ver. 1からver.3までの全てのユーザー)が利用可能だ。

多くの改良がなされたので、このメールに全ての事を書くのは無理だ。そこで、同じWebページ上に修正箇所の一覧を書いたワードのファイルを置いた。その文書はソフトウエアーがマイナー/メジャーアップデートがなされるたびに、更新される。

そこで、時々そのページに行って新しい版が無いかどうか確認して欲しい。ダウンロードしてインストールし直す手間をかける価値があるかどうか判断するのに役に立つだろう。
(山本注:アップデートの内容は日本語訳したものが下の方に置いてあります。)

次の点に注意して欲しい。
この版を走らせるには最新の Microsoft DotNet Framework 4.xをインストールする必要がある。
古い Framework 3.5を使っている場合にはマイクロソフトのHPから最新のものをダウンロードしてインストールする必要がある(これは無料でできる)。

会社のコンピュータにこれをインストールする為には管理者権限が必要になるだろう。 Framework 4がインストールできるまで、新しいバージョンをインストールするのは待った方が良い。
さもないとHSPiPが動かなくなる。(訳者注:古い版を残したい場合には、購入とインストールの仕方をお読みください。)

このバージョンのハイライトのいくつかを紹介しておこう。
eBookがプログラム本体から切り離され、 Acrobat Readerで読めるPDFファイルとして提供されることになった。
このeBookで特筆するべきは、HSPの歴史に関するものだ。
ハンセンが行った、最初の88溶媒を使ってSphere(球)を決定したやり方が写真で示されている。
金属の棒と色のついた磁石のビーズを3次元空間に配置して、溶解する溶媒が何時も似た所にある事が確認された、歴史的な写真だ。

eBookを(コピープロテクトなしで)無料で配布するというのは、難しい判断だった。しかし、溶解の科学の世界に対する我々からのプレゼントだと考えることにした。

新しいSphere探索のアルゴリズムが搭載された。
Double Sphereは、材料の中に2種類の領域があると思われる場合にはとても有効だ。
(訳者注:こちらの記事を参照してください。)
Dataモード(訳者注:Sphere Dataでは非常に解りにくいので、Quantitative(定量的) Sphereと自分は呼んでいる。こちらの記事を参照してください。)は従来の、1、0で表した溶解性から、溶解の実データ(g/100ccなどの溶解度、膨潤度の%、光学密度などなど)を再現できるように球を決めるアルゴリズムだ。

Y−MBのアルゴリズムが更新され物性推算の精度が非常に向上した。

多くの機能がユーザーの要請によって付け加えられた。多くのユーザーは全ての推算機能をほとんど使っていないだろうが、ユーザーごとに求めるものは異なり、実際にこうした機能を必要としているユーザーもたくさんいる。

(重要:Y-MBのアルゴリズム変更に伴い、計算結果が前のバージョンと異なる。特に官能基を多数持つ中分子でズレが大きくなるようだ。以前の3.0.38を残しておくことをおすすめする。)

(我々の中でさえ)議論が分かれるのだが、水素結合項をドナー/アクセプターに分割するオプションが搭載された。
eBookの新しい章を良く読んでこの機能を使うかどうか判断して欲しい。(訳者注:こちらの記事を参照してください)

HSPiPのユーザー・コミュニティーのこれまでのフィードバックに我々はとても感謝している。このおかげで我々のソフトウエアーはより良いものになった。そして、工業的にも学問的にも非常に幅広い分野にまたがる複雑な問題に対して、HSPが現実的な答えを出し続けられる事を覚えておいて欲しい。

HSPの値を測定するサービスが2つ始まった事をお知らせしよう。

我々は多くの研究者から、こうしたサービスの提供を受けられないか問い合わせを受けて来た。
つまり、20+の溶媒でSphereを決める実験にリソースを裂きたくない、外注したいという要請だ。

大きな会社では、ハイスループット(HT)のロボットを使ってHSPを求めてしまうやり方を使う事ができる。
そんなやり方を規模の小さな会社でも利用したいと興味を持つだろう。
それを行う2つの会社はどちらもHTの技術を使って、比較的早く、ルーチン作業でHSPの測定を行う。
我々は、それら2つの会社とは財務的なつながりは全くない。
ただ、ユーザーからそうした要請が多く寄せられていると持ちかけただけだ。
ただ、他の国のユーザーには残念なお知らせだが、これらの会社はどちらもヨーロッパを拠点とする会社だ。
もし他の会社でそのようなサービスを手がけているなら、そうした会社の詳細を紹介するWebページを立ち上げようと思う。
もしHTシステムを持っていてHSP測定の外注を受けられる余力のある会社があったら連絡して欲しい。

現在の2社とは、
オランダ、アムステルダムのVLCI (www.vlci.biz) 社で、32種類の溶媒を使って、0/1か1-6段階の溶解性を調べるサービスを提供している。

ベルギー、 Mortsel ( アントワープ)のAgfa-Labs (www.agfalabs.com) 社は、HSP空間の溶媒の実際の溶解度を調べる技術を持っている。
実際の溶解度(g/100cc)は、以前の0/1のスコアーと比べて多くの情報を提供する。

それを扱うには最新のHSPiPを使うのが前提だ(Sphere Dataモード)。
どちらの会社も、データはHSPiPのフォーマットでクライエントに送り返されるので、ユーザーはさらに突っ込んだ解析を自分で行うことができる。

最後にHSPiPのトレーニング・セミナーだ。
2011年にコペンハーゲンでトレーニング・セミナーを開催できないか、可能性を探っている。
もし1-2日セミナーに参加して他のHSPiPユーザーと会合する事に興味があるのなら連絡して欲しい。

しかし、そのようなセミナーに参加する事は多くのユーザーに取ってコスト的に無理がある事も認識している。

代替案としては我々の誰かが、そちらに赴いてトレーニング・セミナーを行う事だ。これなら、ユーザーが大勢居る場合には効率的だ。

他には、 tips and tricks(内密情報と妙技:裏技的な使い方?)の授業を Stevenとインターネットを介して行って欲しいというならコストはかからない。

Live Meeting 、 BeamYourScreen, WebEx などのウエッブ・サービスが使えるなら、Stevenのラップトップを見ながらあなたの関心のある問題を探求することができる。

Stevenは今まで何回もやって来たが、問題なく機能しているようだ。

さて、v3.1を楽しんでいただきたい。そして、質問やバグ情報、リクエストなど送ってください。v4へ向けて、我々は既に動き出しています。

Steven, Charles and Hiroshi

2010.12.9記

V3.1.01の変更点

これは多くの機能が改良されたメジャーアップデートだ。

まず、第一に、このプログラムはドットネットフレームワーク4.0(FW4)上で動作する。これには多くの理由があるのだが、FW4は前のフレームワークと比べ随分小さくなりダウンロードも容易になったので、ネットで探してダウンロードして欲しい。(ダウンロードされていない場合には警告が出て動作しない。)

変更点:

  • マスターのデータベースは全ての化合物について、整理し直された。推算値は括弧でくくられ、実験値のデータと区別された。(これは以前からリクエストが多かったが、方法論の問題でこのリリースまで改善できていなかった。)MIRのデータは最新のものに変更された。予測式の多くのパラータについてアップデートされた。
     
  • 以前の.ssd(Sphere Solvent Data)から、より自由度の高いファイルシステムにに変更になった。当然、以前のssdファイルも読み込めるが、これからは.hsd (Hansen Solubility Data)が標準になる。
    (重要:ssdファイルの拡張子をhsdに変えないように。hsdフォーマットは最初の1行目がタイトル行になります。hsdとして読み込んでタイトル行がないと、エラーになります。最悪、無限ループに入り込み立ち上がらなくなります。)
  • オフィシャルのHSPの値の変更はあまり無い。
    重要なDBEについては実験値に基づいて少し変更された。
    他の化合物としては、N-Acetylmorpholine; N-Ethyl Formamide; Propionamide; 1,2,3-Trichloro Propene; Ethylene Carbonateについて変更された。
    これらの変更については様々な観点からクロスチェックをして妥当性を熟慮した。グリーンソルベントとして重要な、succinates/glutarates/adipatesのメチル、エチルエステルの値、glycerol carbonates 、Dimethyl Isosorbideの値が新規に加わった。
  • XPのマシンの一部で、Ctrl-Shiftクリックでマスターデータベースからソルベント・オプチマイザーに溶媒をコピーできなかった。
    代わりの方法として右クリックを実装した。加えて、RER(相対的揮発度)アントワン定数から計算されたRERの代わりにマスターリストから転送されるようになった。
  • マスターデータベースから1行全体をコピーしたい人向けに、 Ctrl-F のオプションをつけた。
  • ソルベント・オプチマイザーでPw (PairWise )ボタンが実装された。これによって、すべての溶媒の組み合わせが計算され、クリップボードに保存されるので、エクセル等にペーストする事ができる。これはポリマーの球に入る溶媒ペアを網羅的に探索するのに有効だろう。
  • ビデオプロジェクター(ネットブックなど)などの画面が小さな機器でプログラムを走らせるユーザー向けに、マイクロソフトの AutoScroll が有効になり、フォームの一部が見えない場合にスクロールすることができるようになった。
  • ポリマー・フォームにクリアー・オプションが加えられ、もとのビューにリセットできるようになった。
  • 自分自身のポリマーデータセットを.pdsフォーマットで読み込み、保存できるようになった。以前の Polymers.dat 一つしか扱え無かったものの置き換えだ。
  • WFオプションが加わり、球をワイアーフレームで見ることができるようになった。 これはポリマーフォームで、複数のポリマーを溶媒ボタンを使ってみる時などに特に有効だろう。
  • FindMolsで官能基を探索する際に沸点のカラムに分子体積の値が入るエラーが修正された。そして、ユーザーのリクエストにより、200以上探索できるようにリミットを解除できるように改良された。
  • Sphereの探索で十分なデータ数が無い場合などに、テストした溶媒にはそんなに大きな δD の溶媒が無いにも関わらず、非常に大きな δD 値になることがある。その際には “Possible δD bad fit” ( δDのフィティングは悪い可能性がある)という警告を発するようにした。
  • ポリマーフォームでポリマーをダブルクリックすると他のポリマーとの重なり具合を計算するが、いくつかのポリマーで間違いがあるのを修正した。
  • VLEの計算で分子のデータがデータベースにある場合に計算値の代わりにその値を使うように修正した。
  • InChIKeysがデータベースに付け加わり、 CASやFormulaなどと同じやりかたでサーチできるようになった。
  • 新しい上級者用のSphere(球)探索のテクニックが搭載された。ダブルSphereと定量的なSphere探索アルゴリズムだ。これは今までの一つのSphereでは物足りない上級者用の機能だ。
  • マスターデータベースを自分のオリジナルの物に変えたい場合には、 HSPiPData フォルダーに MyMasterDataSet.hsd をおけばよい。そのファイルの作り方はいろいろあるだろうが、フォーマットを合わせる為には、 DIY の中にあるFile Convert 機能を使うのが一般的だろう。
  • Y-MBで物性推算を行った後、データをクリップボードに送る際に、HSPのデータだけを送るか、全てを送るか選択できるようになった。どちらの場合でも、HSPの値はこれまで通り、 Ctrl-Pで標準インプットとしてペーストされる。
  • ほとんどのフォームで該当するテーブルを印刷する機能をつけた。この機能ではプリントのオプションを選択できない。もっと装飾的な印刷を望むなら, Copy Table の機能を使ってエクセルなどのプログラムにペーストして,そちらのプリントオプションを使えば良い。
     HSPiP のユーザーからのデータで, sodium lauryl sulphate (プラス,それに似たような界面活性剤)と, sodium sulphate の頭の部分のHSPの値が改訂された。
     溶解性推算ルーチンで,マニュアルでHSPや分子体積の値が入れられるようになった。これによって,例えば混合液のHSPの値があるのであれば,混合溶媒の溶解性を計算できるようになった。 Yalkowsky の概算は改良され,エントロピーの効果が理想的な溶解を覆す事はもはやなくなった。
  • オプチマイザーで溶解のグラフが現れている時に,相対的な溶解性が示される。今まではDistanceのカラムにその相対的な溶解性が書かれていたが,そのカラムは Rel.Sol. に改名された。テーブルのキャプチャーもそのように変わった。
  • オプチマイザーのパラメータはクリップボードのへの受け渡しに含まれるようになり,どのパラメータを使ったかの記録が残るようになった。もう一つのオプションとして,パラメータを.sofファイルに読み書きできるようになった。もし異なる.sofファイルを読み込んでも,現在の設定を変えたくない事があるだろうから, これはオプションで選択できる機能だ。
バージョン3.0.xで新しくなった事

HSPiPはハンセンの溶解度パラメータ(HSP)の強力な力をユーザーが実務的に利用できるようにするために存在する。バージョン3ではこれまでの通り、ユーザーの疑問に答える詳細なリソースが付け加えられてる。新しくなった点は以下のものだ。

  1. インターフェイス
     フォーム、ヘルプ、e-Bookのレイアウトが改良された。サーチコマンドはより強力に直感的になった。
  2. Sphere(HSPの球を求めるプログラム)
     難しいデータセットに対しても、よりピッタリした球を与えるようにフィティングのアルゴリズムが改良された。フィティングのオプションが増えた。溶解や分散の度合いを表すScoreを1-6の数字で
    表す”勾配法”、分子体積を考慮に入れる”MVol補正”、そしてHSPを強制的にベクトルの長さである”δTot”で扱う方法が拡充された。環境ストレス破壊をおこす傾向の視覚的な手引き。
  3. データベース
     10000化合物のHSPの値に加え、基本化合物については、密度、融点、沸点、臨界定数、Antoine定数など鍵となる物性値が拡充された。化合物の類似性、HSP距離(+沸点)や官能基の種類を指定した、化合物の探索が可能になった。GRAS化合物、食品/化粧品、シグマアルドリッチの香料、医薬品、NMR用の重溶媒、皮膚への浸透助剤など実際的な化合物がデータベースに付け加えられた。
  4. e-Book
     新しい章が拡張された。イオン液体、手袋の安全性、ポリマーの接着、粘度、溶解性。HSPを使ったこれらの解析についての章が付け加わった。 “初めてHSPを測定するするときのやり方”の章が付け加わった。
  5. 推算機能
     HSPを推算する強力なY-MB法が、より強力になり、より大きな複雑な化合物に対しても安定性が増した。界面活性剤のHSPの計算が改良された。ポリマーSmielsが修正された。ポリマーのデータベースに加え、AB, AABBタイプの共重合性ポリマーのHSPの推算の信頼性が向上した。新しい、”横断的に読み込む”機能が搭載され、2つの化合物のHSPの距離だけでなく、鍵となる物性値の比較が容易になった。新しい、共沸や気液平衡の推算機能が搭載された。新しい溶解の推算機能が搭載された。
  6. ポリマー
     データベースにあるポリマーへのガイドとデータの信頼性が改良され、ユーザーがどの値を使うか判断しやすくなった。ポリマー溶液理論の新しいモデラーが搭載された。HSPのポリマー物理に基づいた、ポリマーの接着や粘度の新しいモデラーが搭載された。これは大幅に拡張された接着の章に詳しく記載されている。
  7. 溶媒の最適化
     溶媒を最適化するのに2成分系だけでなく1−3成分系が使えるようになった。
    改良されたアルゴリズムによる、蒸発を”実時間”で扱うモデラーが搭載された。蒸発における”湿った泡”と”赤面する”の新しいモデラーが搭載された。液膜を作ったり作らなかったりする過程の水の凝集を扱う。新しい”相対的な溶解度”
  8. 拡散のモデラー
     より強力になり精度があがった。拡散の”ケース”と”異常なスーパーケース”を記述できる能力があると証明された。表面の透過係数量の推算ができる。重要な表面状態と透過実験におけるラグタイムの計算が計算できる。ラグタイムと皮膚への浸透の新しいモデラーが搭載。透過データから拡散係数の濃度依存性の推算が可能になる。
  9. ツール
     ガスクロマトグラフィーのリテンションインデックス(GCRI)の推算。気流中での蒸発絶対値のモデラー。重水素溶媒のNMR溶媒の選択。

V3.0.38 蒸発の問題に対する解決版。蒸発に関するコードがしっかりした。
Sphere(球)のフィットで”穴”がないか、Sphere(球)の半径を確認する。
古いデータのアップデートが無いか最新のデータベースの値を自動的にチェックする。2つのssdファイルをマージ(連結)する時に違う値に対して自動的に警告する。

V3.0.30-37 正しい蒸発モデルに関するユーザーコミュニティー内での議論に基づき、細かい修正がバージョンごとに行われた。
改訂されたアルゴリズムを用いた緩やかな蒸発ルーチン。

V3.0.20-29 ユーザーインターフェイスの軽微な修正。データベースのマイナー変更。

V3.0.03-19 第3版の初期バグのフィックス。Windows 7への対応。溶媒の最適化ルーチンのへの” bad solvent only “オプションの追加。

V3.0.02 HSPiP 第3版のリリースバージョン。第2版からの大幅な改良。詳しくは上記の説明をお読みください。

V2  Y-MBによりHSPの推算が自動的に行えるようになった最初のバージョン。
データベースの値を全面的に見直し改訂した。ユーザーコミュニティーからのフィードバックを取り入れて多くの改良を行った。(注:実際には多くのサブバージョンが存在するが、V2とV2 updateの2種類しか区別されていない。)

V1 1st Edition. 第一版。ハンセン先生の本からHSPの基本的な機能を実装した。HSPの推算方法は手計算にたよる。


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