2022.11.13
アバターを使ったビデオ・チュートリアル日本語版トップページ
概要:
HSPiPに搭載されている物性推算機能(Y-MB)は重原子120個まで扱うことができる。
通常はこれで十分であるが、中にはオリゴマーを計算したいので、限度を引き上げられないかと言う相談を受ける。
MAXATOM=200と指定するだけだから簡単であるが、それはやらない。
平均値としてのハンセンの溶解度パラメータ(HSP)と部分的なHSPの取り扱いを説明する。
VTube作成
3作目になると、だんだんクオリティーに関しても気になってきた。
そこで、何度も撮り直した。
自分は発表が下手だと凹んだ。
時間は10分以内に収まった。
アバターも2体使ってみた。
ボイスチェンジャーも購入したのだけど、音量が出ないで今回は諦めた。
メータバースの講義室を作って、皆アバターで参加して、録画して、YouTubeに載せるみたいな事ができるとビデオチュートリアル作るのも楽になる。
同じようなHSPを持つ化合物
mol | δD | δP | δH | δT | MVol |
---|---|---|---|---|---|
15.8 | 3.7 | 6.3 | 17.4 | 132.6 | |
15.7 | 3.9 | 5.9 | 17.2 | 102.7 | |
16.2 | 3.3 | 6.4 | 17.7 | 241.5 |
これは、同じような溶解性であるといえるだろうか?
エステル化合物、アミン化合物、カルボキシル化合物の溶解性は、誰に聞いても異なると言うだろう。
このぐらいの小さな分子であっても、平均値としてのHSPは分子の溶解性は表していないことになる。
(詳しいことは、HSPの50周年記念講演会で話した。)
部分溶解度パラメータ
(2017年バージョンY-MB、HSPiPには未搭載)
分子を部分構造に分割して物性を推算する原子団寄与法は古くから使われてきた。
この原子団寄与法を部分溶解度パラメータ計算に使うと、Const.(定数)が問題になる。
Const.が十分小さければ、無視できるが、そうでない場合には部分を計算するときに、Const.が原子団の数の分入り込んでしまう。
そこで、本来、このような使い方をするときには、原子団ごとのfactorを求める時に、Const.が0になるように調整してパラメータを決める。
ただし、HSP50記念講演会でも話したが、Const.を0にすると精度の出ない物性値(例えばδD)もある。
そうした時に解析ツールをどう設計するかがMI系の技術者の腕の見せ所になる。
出来合いのPythonツールを使えば済むと言う話ではない。
[δD, δP, δH]MVol
このようにしてみると、エステル、アミン、カルボキシルの部分で、部分溶解度パラメータは大きく変わる事がわかる。
生体のレセプターは、平均的なHSPと分子体積で化合物を取り込むかもしれないが、取り込まれた先で、反応が関与する場合には、部分のHSPとその位置が関与するのだろう。
ダイオキシン類が何故毒なのかと言えば、ホルモンと同じようなHSPとサイズを持っている。
だから取り込まれるが、期待通りに働かず、レセプターからも出ていかないから毒性が高いのではなかろうか?
部分のHSPから全体のHSPに戻す
もし、重原子数500のHSPをどうしても計算したいなら、5つの部分に分け、混合HSPを計算すれば良い。
各部分のHSPと官能基の体積がわかるのですぐに計算できる。
実際にやってみよう
メルクのコロナ経口薬の モルヌピラビルを使って実際にやってみよう。
SMILESの式はネットを探せばすぐに出てくるだろう。
CC(C)C(=O)OC[C@@H]1[C@H]([C@H]([C@@H](O1)N2C=CC(=NC2=O)NO)O)O
このSMILESをHSPiP/DIY/Y-MBから計算すると平均的なHSPはすぐに求まる。
この分子を3つに分割してみよう。
JSME: 分子のお絵かきソフト
HSPiPにはJSMEと言う分子のお絵かきソフトが同梱されている。
JSME(ChemDrawでも何でも良い)を使って、モルヌピラビルのSMILESを読み込み、適当な結合を切断して3つの分子を作る。
これを自動化させるのは結構難しい。
エーテル結合を切断するとアルコール、3球アミンを切断するとNH基になりHSP的に大きく変化してしまう。
そこで、切断した結合に必要に応じて、メチル基をつける。
そしてSMILESボタンを押すと、3つの分子がピリオドで区切られたSMILESが得られる。
この3つのSMILESをHSPiPで計算して、混合HSPを計算してみよう。
元のモルヌピラビルの値と比べてみよう。
ハンセン空間にプロットしてみる
この3つの部分のHSPをハンセン空間にプロットしてみる。
ブログ:コロナ用経口薬はどこに溶解するか?
HSPがわかっている溶媒とモルヌピラビルの3つの部分をハンセン空間にプロットしてみる。
大きな緑色の球の中心がモルヌピラビルの平均的なHSPの値になる。
部分構造の1つは大きく外れ、炭化水素のエステルぐらいの溶解性である事がわかる。
参考
固定ページ
コロナ軽症用、経口治療薬のハンセン溶解度パラメータ。
大きな分子を分割して領域ごとのHSPを見る。(色素増感太陽電池、有機EL材料を設計)
ファイザーの新型コロナに対する飲み薬、パクスロビドのハンセン溶解度パラメータ
JSME(分子描画ソフト)の利用
コロナ経口薬の分子構造を描画してみよう。
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