目               (62) 
         
       「目は心の窓」というけれども、この目の光というもので人の意気込みというものが判る。 
       例えば、ゴルフの打球を追う時のパーマーの目はどうであろうか、サッカーの神様ペレがボールを蹴る時のあの目はどうであろうか。ーーーまさにタカが獲物を狙うあの目である。 
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       たとえば、本を読むとき、自分の目に意識をやって、ちょっと瞼に力をいれ少しでいゝから目を見開く感じにしてみると、今までよりぐっと眼前が明るくなり、活字が眼底に焼きつくような感じがするだろう。 
       昔の人が本を読むときに言った「眼光紙背に徹す」というのは、そこらあたりのことを言っているのではあるまいか。 
         表   現             
         
       「色は白いが、ニキビがある」というのと、「ニキビはあるが、色が白い」という二つの表現。・どちらも ”色が白い”ということと、 ”ニキビがある”という二つの事実は変わらないのだが、前者は「ニキビがある」ということが印象付けられ、、後者は「色が白い」ということが印象付けられる。 
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       表現というのは難しいもので、例えば、あの人は「ドライな一面ウエットな人」というのと、「ウエットな一面ドライな人」というのは、これはイコールではないのである。 
       日本語の構成は 「・・・・だから、・・・である」と結論で締めくくる形が多いが、英語では逆に 「・・・である。何故ならば・・・だから」、と、結論を先にいう構成が多い。 
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       我々のビジネスにおける会話では、問題は結論なのだから ”結論は00です”と云う事をまず云って、それから理由を言うという癖をつけるべきである。 
       例えば、提案の審査をしているとしよう。説明者がまず ”この提案は、B級で採用したい。と言ってから、理由はこうである”と説明すれば、聞く方はB級で採用することの是非を考えながら説明を聞くことが出来る。 
       飲み屋の請求書だって、、請求額「0000円也」と、まず結論が最初にあって、、内訳,ーーー酒XX円。冷奴○○円・・となっているではないか。 
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       それからもう一つ。外人は何かを説明するとき先ず ”言いたいことが、いくつある”と、言ってたとえば指を三本立て、一つは○○○。二つは△△△と指をを倒しながら説明する。 
       ついでながら、もう一つ感心するのは、戦争映画なんかで見るのだが、作戦命令を説明し終わったあと、いいっぱなしでなく、「エニー クエッション」何か質問は?と必ず相手に問い返すことである。 
       例えば入社式で、所長(支店長)が、「皆さんに今日の晴れの入社式に際して、言っておきたいことが三つあります。一つは、健康に留意して貰いたい。二つ目は、いつも笑顔を忘れないでもらいたい。三つ目は、長幼の序ということを忘れないで貰いたい」と話したとする。 
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       新入社員はコチコチである。これを三つと前置きしないで話を終わると、それっきり・・・。家に帰って思い出そうにもとっかかりがない。せいぜい”・・・何か健康のことだったかなあ・・・”程度であろう。そこで「三つのこと・・」と言っていたなあとなれば、さて三つーーー、一つは○○○、と言う具合に思い出し、もし一つ思い出せなかったにしても、少なくとも自分には一つ思い出せなかったということは判るわけで、翌日仲間に尋ねることが出来ようというものである。 
        真   贋             
         
       上野の美術館までモナリザを見に行って 「本物も、銀行でくれたカレンダーの複製みたいに立派だった」と感心ている人がいたそうだけどーーー。どうも、最近本物と偽物の区別がつきにくくなった。 
       部屋に飾ってあるバラ一輪 ”おや、きれいなバラですねえ。ヘーこれ本物ですか?なるほど、そういえば匂いがいいやーーー。(疑い深そうに花ビラをさすりながら)いやあ、造花みたいに見事ですねえーーー“。 
 
 