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悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

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02-Jan-2013

哀 し き 酒

 話には聞いていたが最近はやりの「回る寿司」に初めて行った。
 寿司やの板さんは勘定を間違えないために、握りながら客ごとにひと粒づつ飯つぶを手元に並べているんだ、という話を聞いたことがあるが、誰が考えたのか、この”回転すし”なら実に簡単明瞭。ネタの値段によって、ひと皿百円~三百円とお皿の縁の色が変えてある。
 板さんは回る台の中にいて無くなったお皿を補充していく。食べ終わって積み上げたお皿の縁の色と枚数でたちまち勘定がはじき出せるいう仕組み。これなら明朗会計で、どちらも間違えようがない。

 感心しつつ、あなごを肴に一本?傾けながら、遠い昔、下松時代ーーー新入社員の頃のことを思い出していた。同じ課に”しんちゃん”という愛称で呼ばれる楽しい人がいた。
 あれは、忘年会だったろうか,会社のクラブで課員全員で大いに飲んで、例によってブレーキが故障。「よーし、ボーナスも出たことだし今日は豪遊しよう。割り勘でたまにはキャバレーにでも行くか?」と”しんちゃん”が提唱。「行こう・行こう」と忽ち衆議一決。タクシーに分乗して乗り込んだところが,隣街・徳山の映画館を改造した何とか言う大きな・キャバレー。

 入り口で、女性の手配からテーブルの割り当てまで全ての話は”しんちゃん”が取り仕切ってくれ、皆はどうせワリカンだから、と割り勘負け?しないようにカポカポ飲んで思い思いに騒ぎ出す。ホステスはいいカモが来たとばかりにポンポンと景気よくビールを抜く。

 ところが、くだんの”しんちゃん”飲んでわいわい騒ぎながら、その抜いた栓を集めてはポケットに入れる。酔ってはいるがビールの栓を集める趣味も珍しいな、とこちらも酔った頭で考えていたのが浅はかだった。何とこれが”しんちゃん”の深慮遠謀ーーー。
 勘定を払う段になってその”しんちゃん”帳場のカウンターに集めた栓をざらりと広げて誇らしげに言ったものであるーー「ワシらはこれ以上は飲んじょらんからの、ヨロシク」。
*              *
「若手社員六人を飲みに連れて行ったら、翌日には一人が午後出勤、一人が三十分遅刻、三人が反応なし、朝早く来て礼を言ったのは一人だけ。午後出社した者は、上司に遅くまで付き合うのも仕事のうちだと思っている」という記事が新聞に出ていた:。

 土筆生が下松に新入社員で入った時の上司は、課長がY・Tさん、係長が ”スッポン徳一”ことT・Uさん、その下がまだ係長でもなかった”イワカメ”ことK・Iさんーーー。
 いずれ劣らぬ酒豪で、今日土筆生がささやかながら?御酒をたしなめるのは、すべてこの方々の懇切丁寧なるご指導のたまもの、今でもこのお三方の方には足を向けないで寝ているが、その教えの第一条は、「飲んだ翌日は這うても出て来い!」、だった。「吐いても二日酔いでも、とにかく出て来い!」・「いつもより早めに出て来い」・・・。

 はるか昔のことだが「言い訳をするな」。「飲んで休むくらいなら初手から飲むな!」としゃにむに鍛えられた。あの頃が懐かしい。

          電  話

「Sだがね、暫く」・・・思いがけない同期のH・S君からの電話。大阪からだと言う。何年ぶりの声か?。
「ところで今日は何ごとだい?」
「うん、スリーラインの片々草な、あれは今も君が書いてるんかい?」
「そうか、そんなら言うとくけどな、五月号の ”桜”・・・。まず”散兵戦の花と散れ”の散兵センのセンは戦いではなくはライン・線・・・「散兵線」の花と散れ、の間違い!。
 もひとつ、陸軍の徽章は”星”、桜は海軍。”七つボタンは桜に錨”というだろう。それからついでに、知覧は陸軍の特攻基地。散る桜、は海軍の人のもの、だから知覧から飛び立ったんじゃない。以上・・・じゃあナ」。

 こういう仲間に支えらて「片々草」は今日もいく・・・。

(89・H・元・7)