悩 み (1)
金魚鉢の金魚、何のくったくもなく、悠々と泳いでいる。------ 「魚に魚以上の問題が起こらないように、人間には人間以上の問題は起こらない」ーーーと言ったのは誰だったか。
客観的に、巨視的にみれば、例えば宇宙の中の地球としてみれば、その中にうごめく人間の悩みなどものゝ数ではあるまい。丁度われわれが金魚鉢の中の金魚を見るように・・・。
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しかし、人間と言う立場で見れば、乞食にだって乞食なみの悩みはあろう。
[長き夜を泣き明かしたるものにあらずんば、未だ共に人生を語るに足らず]、とはカーライルの言葉だったか。
どんな悩みだって、魚に魚以上の問題が起こらないように、人間には人間以上の問題は起こらない。ーーーだから、人間に解決できない問題はない。ならば、お前の悩みだって・・・。
長
「チョウ」がつくだけで偉いのなら、「盲チョウ」だって「脱チョウ」だって偉いことになる。「町長」なんかチョウが二つもついているのだからもっと偉いことになる。と笑い飛ばした奴がいた。
サルの社会にも、れっきとした「長」がいて、その長が一群の秩序を保ち、その社会の幸福を保証しているのだという。
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「XX長」というものを考える。
結局、「長」の真価を評価する決め手は「決断」ということではあるまいか。「XX長」が「長」の責任において「決断」を下すという事は、少なくともその瞬間においては孤独であるということである。
結局、そのXX長にどれだけ「長」としての重みがあるかということは、どれだけ本当の意味の「決断」をしてきたかということではなかろうか。
「決断」を伴わない「長」は存在する価値がないとも言える。
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強い光は濃い影を伴い、高く上るものは強く落ちることを覚悟しなければならない。
馬を問わず
昔、支那のさる偉い人が、大変大事にしていた馬が、主人の留守中に厩の火事で焼け死んでしまった。
さて大変なことになったと一同寄って案じているところへ、血相変えて帰ってきた主人が、「火事は大丈夫だったか?。家人に怪我はなかったか・・・」と、ただそのことだけを尋ねて、あの大事にしていた馬の安否を一言も問わなかった」というお噺がある。
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今朝、会社への出掛けに、玄関で靴を磨いていた女房がこういった。「この靴も大分酷使したわねえ」ーーー「それじゃ、その靴を履いて毎日出勤している俺はどうなんだ・・・」
現代版、「靴を問う」というお話。
真っ赤な太陽
小二の女の子、突然「キセツってなあに・・・?」。
父親「春とか、夏とか、冬とか・・・一年の中でも、花が咲いたり、暑くなったり、雪が降ったりするだろう。そのことを季節って言うんだよ」。
「ふうん。それじゃ、コイの季節ってのはどんなキセツのこと?」
「・・・・」。
(68・S・43・7・37歳・)(横浜製油所)