ごまめの ねごと (Ⅰ) (11)
事 実
事実は、時に見たくないものである。
だが、事実は直視しなければならない。
すべてのことは 事実から生まれる。
育 て る
”育てる”ということは、一片の疑いも逡巡もなく、そいつに任せきる
ということではあるまいか。
祈 り
ゴミ集めの車のチャイムに ”乙女の祈り”のメロディを採用した人は、
コチコチに頭の固い人か、或いは女性をバカにした人か、のどちらか
である。
信
信じることは 易い。
信じられることは 怖い。
信じられて平気なのは 神様だけだろう。
情 熱
一瞬のためにすべてを忘れる情熱。
馬鹿だな と思うけど、偉いな とも思う。
れ ん び ん
人の善意を、無条件で受け容れることの出来ない人。ーーー可哀想に。
信 用
信用は積み木と同じ
積み上げるのは ひとつずつ
そしてーーー壊れるのは 一瞬。
か な し み
じっと目を閉じていると、涙が目じりからすーと流れる。ーーーその
ようなかなしみ。
時
どんなに来てもらいたくない日でも、その日は必ずやってくる。容赦な
くやってくる。時の不思議。
ーーーそして、確実にその日は去っていくのだが・・・。
ら し さ
「ーーーらしさ」、というものは、
それを意識し始めた時から
「ーーーらしく」なくなるものである。
幸 せ
「好き・嫌い」が、理論の問題ではなく、感情の問題であるように、「幸
せ」であるかどうかも理論の問題ではなく感情の問題である。
だから「幸せ」には誰でもなれる筈なのだが・・・。
人 間
人間というものは、所詮 淋しきもののようである。
自 信
経験を伴わない自信はありえない。自信は、経験によってしか生まれな
い。
め し
「めし の数を沢山食っている、ということは、ただそれだけで、どう
にもならないものを持っている」ーーーということも、ないことはない。
根 性
根性とは、ひょっとすると、やせ我慢のことではあるまいか?。
距 離
二点間の 最短距離は、「直線」なのだが・・・。
幸 福
ふっくらとした朝ごはんにゆげのたった豆腐の味噌汁ーーー。
一日の仕事を終えて風呂に身を沈め、目を閉じて、ふうっと大きな息を
はくーーー。
「幸福」とは 、そんなものではあるまいか。
ほ と け
いつか、ラジオの放送劇の中でふと耳にしたーーー「ほ・と・け」ーー
ーという言葉の音階的な響きの柔らかさ、美しさ、静かさーーーに妙に
感じ入ったが、「さ・つ・き」という言葉の音から来る五月の感じとい
うものは、これもまた、日本語の中でもケッサクのひとつだと思うが、
如何?
(69・S・44・5)(日本海石油)