プ ロ (48)
ある冬の朝、空港にお客さんを迎えに行く時間に合わせて、「明日、朝七時二十分に家に寄るように」と会社の運転手さんに頼んでおいた。
当日、TVでニュースを見ながら朝食をとる。ブラウン管に一分刻みで時間が出る。七時十八分。もうそろそろ迎えが来る頃、玄関に出て待っているかーーーと思う間もなくブザーが鳴った。ぴったり七時二十分である。
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よくまあ、一分も違わず正確にこられたものだな、と感心したのが浅はかであった。その運転手さんは、寒空の中を門前に立って、七時二十分がくるのを待ってブザーを押したのだった。
時間の約束というものは、その時間に遅れさへしなければ早くてもいゝというものではない。約束の時間とは相手にも都合があってのこと、その時間そのものが約束なのである。
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この運転手さんの車に乗っていつも思うのだが、雨が降っている時でも、目的地に着くと必ず運転席から降りて後ろをまわり、ドアを開けてくれようとする。 ”いいです。いいです”。と自分でドアを開けて外に出ようとしても、必ず降りて回ってくる。
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ふだん馬鹿話もし、よく知り合っている運転手さんなのだが、仕事で誰かと相乗りしている時は、その人といろんな話題で話し合っていても、こちらが名指しで問いかけた話以外には、絶対にこちらの話に口を出すことはない。
職業意識とは、自分の課せられた業務に徹してそれだけを果たすということ、プロとはかくあらねばならぬと思う。
男・女 (結 婚)
最近、結婚年齢が男女ともに低くなってきたように思う。物価が高い、給料が少ない、生活が苦しい、とは言うが、事実そうやって好き合った同士が、何はともあれ結婚できる世の中である、ということは有難いことではないか。
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結婚についてーーー”男は、半分しか結婚しない” という。後の半分は?。女房のため、子供のために自分が選んだ仕事と、結婚するのである。
考えてみれば女にとっても、いくらホレられたからと言って、男から全身全霊をあげて結婚され、べったりのマイホームオタクで腑抜けみたいになられたのでは困ったものであるに違いない。
また反対に、男にとっても、女から事毎に男の世界の事柄に介入されたのでは,これまた困ったものだろう。
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男が自由に男たちの世界で振舞えるように縛らないこと。ーーー女とは、男にとって ”無ければたちまち困るものだが、あることを感じさせないものーーー。空気のような存在”であって欲しい”といえば、人権蹂躙と叱られようか?。
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昔、軍隊では、”支給した靴に足を合わせろ”と言われたそうだが、お互い長短補いあって、それぞれの分野で、お互いが全力を尽くすこと、そのためには少々の不満は許しあって、お互いが自分を合わせる努力が大切なことではあるまいか。
会 議
仕事を進めるのに、いろんな方面に関連のある仕事の場合、我々は「会議」いうテを使う。
そして、 ”会議の進め方”などというセミナーが,多数の参会者を集めて商売になるご時世である。いかに企業が会議に時間を取られ、期待するような効果が上がっていないか判ろうというものである。
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日石の会議室にも「会議の進め方」という立派なパネルが掲げてあるが、さてわが社の、というより、あなたの会議は、思うように進められているだろうか。
例えば、参会者は定刻にちゃんと集まっているか。二十人の会議で、一人が来ないために五分会議が遅れたとすると、その人はのべ一時間半分の、人の時間を盗んだことになる。。
そして始まった会議が「会して議せず。議して決せず。決して行わず」ということのないようにーーー。我々の会議をもう一度、一人ひとりが反省し認識を新たにする必要がある。
(73・S・48・9)