空 の 旅 （５７）
羽田から千歳まで七十分の空の旅。この間のサービス・・・。
「皆さま、本日は当０００をご利用頂き誠に有難うございます。当機の機長はＸＸ．私は専任スチュワーディスの△△でございます。レディス アン ゼンツルメン・・・センキュー」
（何故、乗客が機長の名前を知らなければならないのかなあ。それに、日本の飛行機が日本人を乗せて日本の空を飛ぶのに、英語の説明が必要なのかなあ？）
＊
「只今から規定によりまして、救命胴衣、酸素マスク、非常口のご説明を申し上げます・・・。レディース アン・・・」。（面倒くさいけど、キテイによりやむを得ないか）。
「新聞・週刊誌のご用はございませんか」
「皆さま、只今ベルト着用のサインが消えましたが、飛行中は気流の関係もありますので、なるべくお締めになったまゝで・・・」。（それなら、サインを消さなきゃいいじゃん）。
「お客様、おしぼりでございます。どうぞ」
「皆さま、只今当機はＸ湾上空を飛行中でございます。レディース アン・・・」（上空を飛んでいたって下は見えないじゃないの）
「お飲み物でございます。ジュース・コーラ・コーヒー・コーチャ・・・」。（何か昔の映画館のオセンにキャラメルの口調に似ているな）。
「皆さま、当００では、只今ホワイト何とかのキャンペーンを行っております。ただいま係員が三角くじをお持ちします、当籤なさった方には・・・。なお、外れたかたには、ご希望により当機の絵葉書を差し上げます・・・。レデーィス アン・・・」。
今度は急に男のダミ声で、 「本日は、０００をご利用頂き・・・。私は機長のＸＸでございます。当機は只今高度何メートル。時速何キロメートルで飛行中でございます。機外の温度は何度。・・・レディース アン・・・センキュウー」。（俺は何メートルの高さを何キロメートルで飛んでいたっていゝんだ。。予定時間につくかどうかが問題なんだ）。
「皆さま、只今左手前方に００湖が見えてまいりました。レディース アン・・・」。（座席は通路を挟んで六列縦隊，見えるのは左側の窓の人だけ、言ってみれば六分の一だけじゃないか）。
「お客様、キャンディーでございます・・・」。
「皆さま、当機は間もなく着陸体制にはいります。（ヤヤ、キゼンタル調子で）倒された座席はもとにお戻しになり、出したテーブルは元の位置へ・・・ベルトをお締めになって，煙草は空港ロビーまで禁煙となっております。レディース アン・・・」
「皆さま、当機は只今千歳空港に到着いたしました。本日は北海道の旅に当０００をご利用頂き有難うございました」。また皆さまとお会いできることを楽しみにお待ちしております。レディース アン ゼンツルメン ・・・・・センキュウー」
＊
たかだか七十分の旅に、こうサービス？ずくめじゃ，うたゝ寝もできないが、愚痴ばかりも言っておれないから、ひとつ褒めておこう。
スチュワーディスが制服以外に装身具・・・イヤリング・ネックレス・ブローチ・・・・指輪などを一切つけていないこと。・・・”私達はサービス業、もしや、お客様より高価なものをつけていたら失礼にあたるから”・・・だということを聞いたが、飾りたい盛りのお嬢さん方である。そんな考え方が徹底しているのだとすれ立派なものだな。
武 将
ＮＨＫ・ＴＶで大河ドラマというのをやっていた。あの中で、歴史の事実としての筋はともかくとして、戦国武将の居ずまいというものに心魅かれるものがある。
＊
床机に座っている武将。裃に威儀を正している武将。鎧・兜に身を固めて馬にまたがって采配を振る武将。居並ぶ諸将を前にして戦術を練る武将ーーー。
もちろんドラマの筋を劇的に盛り上げるための見せ場と判るが、一国の将が自分の国と民のために、全身全霊を傾けて自分の信念に命を懸けて必死に生きる。その寸分の隙のないたゝずまいに心魅かれる。
