Pirika logo
JAVAと化学のサイト

Pirika トップ・ページ

Pirikaで化学

ハンセン溶解度パラメータ(HSP):

雑記帳

片々草はじめに

片々草(I) 目次

片々草(II) 目次

悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

Last Update

02-Jan-2013

金   堂            (82)

 奈良、薬師寺の金堂が再建された。(五一・四・一)総工費十億円は、館主 高田好胤師が、般若心経の写経奉納を一巻千円で全国に呼びかけて浄財を集められたもの。十億円といえば百万巻の写経が奉納されたことになる。
 *
 再建に使用された木材は、樹齢二千五百年~三千年の檜三百本を、日本にはもうそんな樹はないので台湾から持ってきた。しかも柱は割れを防ぐため、木の中心部をはずしてとらねばならないという。そして、この木から円柱を彫りだすのには、最初に正方形の柱を作り、この角を落として正八角形の柱にする。さらに十六角・・・三十二角・・・六十四角・・・とやって最後に直径二メートルの円柱を作っていくのだという。何もかも気の遠くなるような話である。

 この再建を依頼されたのが、伝統的宮大工の棟梁、西岡常一さん(六十八歳)。
 彼のもとに全国から腕に覚えのある大工さんたちが、一世一代の仕事がしたくて集まってきたが、その採否の決め方が面白い。人間でなく持ってきたその人の道具箱を見るのである。それも金槌なんかには目もくれず、ノミ・カンナ・ノコギリといった刃物を丁寧に見ていく。
 ”随分荒っぽい仕事をしてきなはったな” ”そこいらのプレハブならこれでもいいかも知らんが、このカンナの台を見なはれ、(台に金尺をあてて)これが、ピタッと吸いつくようでなけりゃいかん。ほれ、こんなに隙間がある。これでカンナクズ出るんかいな。電気カンナかなんかでブーンとごまかしてきたんじゃろ・・・”。

 ”木造の建物を造るのは、自然に向かうのではなく、自然の中に自分が溶け込む気持ちでなけりゃいかん”という西岡さんの仕事。
 何千何万という木を組み合わせて出来上がった五重の塔が、垂直から一分(三ミリ)の狂いしかなかったという。真偽の程は定かでないが、いずれにしても、この一分。ーーー一分の狂いもなかったというより、たった一分の狂いで建った、というところが又何とも自然らしくていい話ではないか。

        吸いがら              

 朝・駅前ーーー通勤客が同じ方向へせっせと足を運ぶ。路傍に雨上がりの小さな水溜まり、煙草の吸殻がここに集中して捨てられている。人間には何気なく捨てゝいるような吸殻でも,、水溜りがあればそこに捨てようと言う良心?はある。
 横浜駅では、ホームに吸殻を捨てないように「クリーンデー」「ノー ポイデー」と垂れ幕を下げて乗客に呼びかけているけれども、”ここに捨てるな”という運動よりも ”ここに捨てろ”という設備をもっと増やしたらどうだろう。

 根岸製油所では入り口の道路わきに「これより禁煙」という看板の下に直径三十センチくらいの大きな赤い灰皿が取り付けてある。そこから、構内事務所までガードをくぐって数百メートルの道路には一本の吸殻も紙くずも落ちていない。

 ”この土手登るべからず”。という立て札を立てるよりも、皆がそこを通りたがるのならば ”ここから登れ”と小さな階段をつけてやる配慮こそ必要だと思うが如何なものか。
 パリ ソルボンヌ大学の掲示板に 「禁止することを禁止する」という傑作な落書きが書かれたと何かで読んだが、大衆の気持ちを言い得て妙ではないか。

        デ ー タ             

 五月号こうもりの編集後記に、片々草のことを「コンピューターに”昭和ヒトケタ”と”製油所・保安帽” に”愛”をぶち込めば、片々草になる」と評されていた。成る程そんな見方もあるもんかいな、と感心したが、これではまだインプットのデータ不足。ついでにもう少々データを付け加えさせて頂く。

 まず「”教練・三八銃”に ”軍歌”をプラスし ”日の丸”をかけて、”原爆”と”敗戦”で割る」 これに「”九州とO型の血”をふりかけて”縄のれんとコップ酒を加え、やきとりの煙でいぶす”」これらを大括弧でくくり、四つ玉のソロバン(残念ながらコンピュータではない)を使って「情」で割る。ーーーワカルカナ?。ワカルカナ?。ワカンナイだろうなあ。

(76・S・51・7)。